2024年第3四半期のスマートフォン市場レポートによると、サムスンはヨーロッパ、ラテンアメリカ、中東・アフリカの3地域で最多のスマートフォンを出荷し、それぞれ32%、33%、23%の市場シェアを獲得した。これによりグローバル平均でも19%の出荷シェアを記録し、全体でリードを保った。
一方、アジア太平洋地域ではシェア11%で第5位にとどまり、Appleや中国メーカーに後れを取った。北米市場ではAppleが圧倒的な53%のシェアを獲得し、サムスンは2位の23%に甘んじた。市場全体では出荷量が前年比2%増、収益は10%増と好調を示し、平均販売価格も7%上昇し過去最高を記録している。
欧州と中南米の堅調な出荷シェアが示す市場戦略の成功
サムスンは2024年第3四半期において、ヨーロッパで32%、ラテンアメリカで33%という高い市場シェアを達成した。これらの地域はスマートフォン市場において競争が激しいが、サムスンは新モデルの投入や中価格帯製品の拡充によって存在感を高めている。特に欧州市場では、フラッグシップモデル「Galaxy Sシリーズ」や「Galaxy Zシリーズ」が引き続き人気を集め、ラテンアメリカでは低価格帯モデルの需要が高い。
Counterpoint Researchのレポートによると、これらの地域における同社の成功は、販売網の強化と現地ニーズに即した製品展開によるものだとされる。ラテンアメリカではモバイルインフラの整備が進んでおり、コストパフォーマンスの良い端末が求められている点も追い風となっている。これらの背景を考えると、サムスンの柔軟な戦略が市場ニーズに応じた結果を生み出したことが明らかである。
今後もこの優位性を保つには、新興市場向けモデルの競争力をさらに強化し、より持続的な販売拡大の道筋を築けるかが焦点となる。
アジア太平洋地域での苦戦の要因とその影響
一方で、サムスンはアジア太平洋地域でのシェアが11%にとどまり、AppleやXiaomiなどの競合他社に後れを取った。同地域ではVivoが16%、Xiaomiが15%と高いシェアを獲得しており、特に中国市場では国内メーカーの存在感が圧倒的である。
この背景には、地元企業の販売戦略と製品価格が大きく影響している。多くの中国メーカーは、同等スペックの端末を競争力のある価格で提供することでシェアを拡大しているほか、現地に密着したマーケティング手法も奏功している。
ただし、サムスンが全体的な出荷量の維持に成功している点を踏まえると、特定地域での競争が必ずしも世界全体での地位低下を意味するわけではない。むしろ、競争の激化により、新しい販売戦略を模索する動きが活発化する可能性もある。
北米市場におけるAppleの独走とサムスンの課題
北米市場ではAppleが53%の圧倒的なシェアを誇り、サムスンは23%のシェアで2位に位置している。iPhoneシリーズの人気が根強い北米市場では、最新モデルの発売時期が市場シェアに大きな影響を与える。特に2024年にはiPhoneの高性能カメラ機能や新デザインが注目され、さらなるシェア拡大につながったと分析されている。
サムスンは折りたたみスマートフォン「Galaxy Zシリーズ」を投入し、差別化を図っているが、依然としてApple製品のエコシステムとブランド力には及んでいない点が課題となっている。今後の市場動向を左右する要因としては、5G対応端末のさらなる普及や、サブスクリプション型サービスを活用したユーザー囲い込み戦略の強化が挙げられる。
競合優位を築くためには、北米市場向けに特化したプロモーションやサポート体制を整える必要があるだろう。Samsungの市場対応力は問われており、さらなる飛躍を遂げるためには戦略の精密さが求められる。