最新のWindows 11が、従来のハードウェア要件をはるかに下回る条件で動作することが証明された。改造版「Tiny11」を手がける開発者@NDTEV_が、RAM容量わずか184MBでWindows 11 24H2を起動させるという記録的な実験を成功させた。
実験に使用されたのはWindows 11 Enterprise LTSCエディション。このエディションはもともと2GBのRAM要件を持つが、184MBという容量で動作させる試みは注目に値する。ただし、起動やアプリケーションの応答速度には大きな制限があり、実用的とは言い難い結果となった。
この実験は、ハードウェアの限界に挑む技術者たちの創意工夫を象徴するものだ。今後も、このような挑戦がどのように進化していくか注目される。
Windows 11改造版「Tiny11」が示す最小要件への挑戦
Microsoftが公表しているWindows 11のハードウェア要件は、TPM 2.0の搭載や最低2GB以上のRAMが基本とされる。しかし、今回の実験で使用された改造版「Tiny11」は、この要件を根本的に見直し、わずか184MBのRAMでWindows 11 24H2を動作させるという前例のない挑戦を達成した。
この成功の背景には、Windowsの軽量化を目的としたカスタム構成がある。「Tiny11」の開発者@NDTEV_は、必要最低限のシステムコンポーネントのみを保持し、エンタープライズ向けのLTSCエディションを選択することで、動作に必要なリソースを大幅に削減した。一般的なWindows 11 HomeやProのエディションではなく、LTSCが選ばれた点も注目に値する。
この実験は技術的な好奇心を刺激するだけでなく、古いPCの再利用や低スペック環境での利用可能性について新たな可能性を示唆している。ただし、Microsoftの公式サポート外の領域であることを考慮すると、実際の活用には技術的な知識が不可欠である。
パフォーマンスの課題と実用性の限界
184MBのRAMで動作するWindows 11は、驚きの実験結果である一方で、パフォーマンスにおいて厳しい制約がある。実験ではアプリの起動に長い時間を要し、動作のスムーズさは通常のWindows 11環境とは大きく異なる。特にマルチタスクにおいては、ほぼ実用的ではない遅延が生じた。
こうした制約は、エンタープライズ用途や高負荷な作業には不向きであることを明確にしている。ただし、実験の目的が実用性ではなく技術的な限界を試すことである点を考慮すると、この結果は必然的なものであるともいえる。このような条件下で動作するOSの存在は、デジタル環境の多様性や技術者の工夫の象徴である。
将来的に、こうした技術が旧型のハードウェアにおける最小限のOS運用に応用される可能性もある。しかし、現時点では趣味的な実験の域を出ないものであり、一般ユーザーが取り組むべき領域ではないと言える。
改造版Windowsのリスクとコミュニティの未来
改造版「Tiny11」のようなプロジェクトは、一部の技術者コミュニティにおいて注目を集めているが、Microsoftの公式サポート外であることからリスクも伴う。セキュリティ更新の欠如や不安定な動作が主な懸念点であり、特にネットワーク接続時の安全性が課題とされている。
それでも、こうした技術的な挑戦が生まれる背景には、公式の制限を超えた柔軟性を求める声が存在する。特に、古いPCやリソースの限られた環境で最新のOSを利用したいと考えるユーザーにとっては、大きな希望の光となる。XDA Developersが報じたように、こうした挑戦は技術者同士の知識共有やイノベーションの原動力となっている。
しかし、公式の要件を無視した利用はリスクを伴うため、一般的な用途においてはMicrosoftが推奨する要件を満たした環境での利用が最も安全である。コミュニティと公式の間にある溝をどう埋めるかが、今後の課題となるだろう。