Tech Spotによると、Intelの新世代CPU「Core Ultra 9 285K」が、その性能で前世代の「Core i9-14900K」に劣る結果を示したと報じられている。最新のベンチマークでは、45本のゲームでのテストにより、285Kが14900Kに平均5%性能で劣り、特定のタイトルではさらに差が開く場面も確認された。

さらに、同価格帯のAMD Ryzen 7 9800X3Dと比較しても大幅な遅れをとり、Intelの最新アーキテクチャ「Arrow Lake」に対する期待が揺らいでいる。特に、ゲーム向けCPUとしての選択肢として、285Kの購入は価格や性能の両面で慎重に見極める必要があると言えそうだ。

新世代メモリ「CUDIMM」がもたらす性能への期待と課題

Intel Core Ultra 9 285Kに搭載されたDDR5-8200メモリは、新しい「CUDIMM」仕様で設計されている。この技術は理論的には従来のUDIMMと同一の周波数とタイミングで動作するため、性能差がないとされる。

しかし、285Kの初期レビューでは、このCUDIMMが性能向上の要因であるかのような期待が示されていた点が議論を呼んでいる。今回のテストでは、実際の性能差が確認されなかったものの、次世代メモリ技術が最適化された場合の可能性を完全には否定できない。

この背景には、CUDIMMが特定の条件下でメモリ帯域の効率を引き上げる可能性があるという業界の見方がある。ただし、現時点では285Kと14900Kのベンチマークにおいて、CUDIMMの利点が顕著に現れていないのは明らかだ。今後のファームウェアアップデートやゲームエンジンの最適化次第では、性能差が縮まる可能性も示唆されているが、購入者にとって現状のメリットは限定的と言える。

次世代CPUにおけるメモリ技術の進化は競争環境を大きく左右する鍵となる。AMDが採用している3D V-Cache技術がゲーム性能において優位性を持つ中で、IntelがCUDIMMをどのように差別化していくのかが注目される。


Core Ultra 9 285Kが抱える価格と性能のバランスの問題

Core Ultra 9 285Kの価格設定は約630ドルとされ、同クラスのCPUとしては高額である。一方、今回のテスト結果から、ゲーム性能で前世代モデルであるCore i9-14900Kに平均5%劣ることが明らかとなった。この価格帯では、より低価格ながら優れたパフォーマンスを発揮するRyzen 7 9800X3Dが存在するため、消費者にとって285Kを選ぶメリットが見いだしにくい状況が続いている。

価格性能比を考慮すると、285Kのポジショニングは非常に厳しい。特に、ゲーム用途においてはAMDが提供するZen 5ベースのアーキテクチャが一歩先行している現状では、285Kの「最新モデル」というブランド価値も弱まっている。Intelが今後この価格設定を維持するのであれば、285Kの付加価値を再定義する必要があるだろう。

この状況はIntelがゲーミング市場での地位を再構築するターニングポイントとなる可能性を示している。価格の見直しや付随する技術サポートの充実が、285Kの競争力を取り戻す鍵となるだろう。


ベンチマークテストが示す最新CPUの限界と将来性

GeForce RTX 4090を使用した45本のゲームタイトルによるベンチマークテストでは、285Kが一部のゲームで14900Kに劣る結果を示した。特に、CPU依存度の高いゲームでは、前世代モデルに対する性能後退が確認されており、新しいアーキテクチャ「Arrow Lake」の強みが十分に発揮されていないと考えられる。これは、現時点でのソフトウェアやハードウェアの最適化不足が一因である可能性が高い。

一方で、このテストが285Kの可能性を完全に否定するものではない。Intelはこれまでに複数回、ファームウェアやドライバの更新でCPU性能を向上させてきた実績がある。特にArrow Lake世代は次世代ゲームエンジンとの互換性向上が見込まれており、今後のアップデートがゲーム性能にどのような影響を与えるか注目が集まる。

この結果は技術革新が時間をかけて成果を示す典型例であると言える。ゲーミング用途での性能が現状不十分であっても、285Kが今後の最適化によって「失われた性能」を取り戻す可能性は十分にある。Intelがどのようにこの問題に対応していくかが市場の信頼を左右するだろう。