ASUSは中国市場向けに新たなRX 6750 GRE 10GBグラフィックスカードを発表した。このモデルは旧型のRX 6000シリーズGPUの在庫処分を目的としているが、未だに市場に残り続けている。RX 6750 GREはNavi 22チップを基盤にしたもので、ASUSのAtlas SharkおよびMegalodonブランドでリリースされ、3ファンとデュアルBIOSスイッチを搭載するなど、基本的な機能は備えているが、性能は新世代モデルに劣る。

特に、次世代のRDNA 4 GPU「RX 8000」シリーズが2024年初頭に登場することで、旧世代の売れ行きにさらに影響を及ぼす可能性がある。NvidiaのRTX 4060と比較しても競争力を持ちながら、米国市場では価格が299ドルよりも下がる見込みだが、グラフィックスカード需要の低迷は依然として続いており、旧在庫の処分には課題が残る。

ASUSが推進する「Megalodon」ブランドとRX 6750 GREの特徴

ASUSがリリースした「RX 6750 GRE Megalodon」は、旧世代のNavi 22チップを搭載しつつも、中国市場を中心にリーチを拡大しようとしている。このカードは、ASUSの「Megalodon」ブランドで展開され、パフォーマンスモードと静音モードを切り替え可能なデュアルBIOSスイッチや3つのファンを搭載している。

これにより、ゲーマーにとって使用シーンに応じたカスタマイズが可能である点が強調されている。一方で、このGPUは旧型のRX 6000シリーズに位置づけられるため、最新のRDNA 3シリーズや来年発売予定のRDNA 4世代と比べて処理性能やエネルギー効率が劣ると考えられる。

Tom’s Hardwareの報道においても、RDNA 2アーキテクチャでの限界が指摘されており、このモデルが登場した背景には、旧在庫の消化が進んでいない現状があるとみられる。こうした要素から、RX 6750 GREはコストパフォーマンスを重視するユーザー層を主なターゲットとして位置づけられている可能性が高い。

中国市場とアジア圏での旧型GPUの需要と課題

ASUSが中国市場向けに展開しているRX 6750 GREは、Navi 22ベースのカードとしてアジア圏を中心に販売が続いているが、こうした旧型GPUの市場投入には複雑な背景がある。旧世代のグラフィックスカードが未だに多く残っている要因として、PCゲーム市場の需要減少や新型モデルの発売スケジュールの影響が挙げられる。

特に、2021年の需要ピーク時と比較すると、市場全体の出荷量は依然として低水準であり、旧型モデルの販売は伸び悩んでいる。AMDとNvidiaの競争が激化する中、NvidiaのRTX 4060のような最新型モデルが登場したことで、旧型GPUの価値が相対的に低下している。

価格競争において、RX 6750 GREは299ドルのRTX 4060よりも低価格な269ドルで提供される可能性があり、これによりコスト重視のユーザー層を取り込む狙いが見られる。しかし、最新技術を求めるユーザーにとっては、RDNA 2世代の製品が魅力的な選択肢とは言い難い状況が続いている。

AMDの新世代GPU「RX 8000」シリーズの発表が迫る中、旧在庫の行方は

AMDのリサ・スーCEOが公表した2024年初頭のRDNA 4アーキテクチャ「RX 8000」シリーズの発売予定により、Navi 22搭載の旧モデルにとって今後の立場はさらに厳しくなる見込みである。新しいRDNA 4世代のGPUが登場すれば、旧世代モデルは3世代前の技術となり、性能や機能の面で著しい差が広がる可能性が高い。

このため、AMDやASUSは、こうした旧在庫をできるだけ早く消化することが重要課題となっている。これに伴い、ASUSは旧型在庫の処分を兼ねた「GRE」シリーズの導入を積極化しているものの、新世代の進化が速いため、需要の低迷が在庫処分の障害となるリスクが存在する。

新たな世代の投入が迫る状況下で、RX 6750 GREがコストパフォーマンスの魅力をいかに発揮し、ユーザーに選ばれる存在となるかが、今後のASUSやAMDにとっての課題であるといえよう。