Apple Watch Ultraシリーズに、ついに大規模なアップデートが到来する。2025年内に発売が予定されている新モデル「Apple Watch Ultra 3」では、高血圧検出機能やiPhoneなしでの衛星通信、さらには初の5G対応といった画期的な機能が追加される見通しだ。

特に健康管理やアウトドアでの通信手段、次世代ネットワーク接続性に重点を置いた設計が注目されている。これらの機能強化により、日常利用から冒険用途まで幅広いユーザーのニーズに応える、究極のスマートウォッチへと進化を遂げる。

高血圧検出機能の導入がもたらす医療への新たな可能性

Apple Watch Ultra 3に追加される高血圧検出機能は、ユーザーの健康管理を次のレベルへと進化させる可能性を秘めている。この機能は、睡眠時無呼吸症候群検出と同様の技術を応用し、収縮期や拡張期の数値こそ示されないものの、高血圧の可能性を警告する仕組みだ。

マーク・ガーマンによれば、このプロジェクトは数年にわたって開発されており、遅延を乗り越えてようやく実現に至ったという。この技術が、普段から健康意識を高めるだけでなく、医療機関への早期アクセスを促すツールとして活用される可能性がある点は重要だ。

しかし一方で、この機能が医療機器としての精度や信頼性をどこまで担保できるのか、業界内でも注目が集まる。Appleがこれまで築き上げてきた健康テクノロジーの実績は評価されているものの、専門家の支援や規制当局の承認を含む追加の取り組みが期待される。

衛星通信で実現する完全なオフグリッド体験

Apple Watch Ultra 3では、iPhoneを必要としない衛星通信機能が導入される。Globalstar Inc.の衛星ネットワークを利用することで、スマートウォッチ単体でのテキストメッセージ送信が可能となる。この技術は、特にアウトドアや緊急時の利用を想定したものであり、冒険家や探検家にとって新たな安心感を提供する。

過去数年間、iPhoneが同様の衛星通信技術を採用しており、その利便性が広く認知されてきた。一方で、スマートウォッチに独立した衛星接続を持たせる試みは初の試みであり、Appleの技術革新を象徴する一歩と言えるだろう。この機能の導入により、緊急時のコミュニケーション手段の多様化や、携帯電話の電波が届かない地域での利用価値が大幅に向上すると考えられる。

ただし、衛星通信が現時点で一部地域に限定される可能性や、利用料金の設定が課題となるだろう。これらの制約がどのように克服されるのかが、今後の展開を左右するポイントとなりそうだ。

5G対応で広がる可能性と省電力への挑戦

Apple Watch Ultra 3では、シリーズ初の5G通信が採用される予定であり、これによりデバイスの接続性が大幅に向上する。具体的には、5G Redcapという省電力バージョンが使用され、従来の4G LTE通信を凌ぐスピードと効率性を実現する。

Redcapは、フルスピードの5G通信ほどの速度は出ないものの、バッテリー寿命を大幅に損なうことなく快適な通信体験を提供する設計となっている。この技術により、Apple Watch Ultra 3はさらなる機能強化を図りつつ、日常的な使いやすさを確保する。

また、5G対応による恩恵は接続性だけでなく、可能性の広がりにもある。たとえば、リアルタイムの健康データ共有や、高度な音声アシスタント機能の活用が挙げられる。一方で、これらの進化にはインフラ整備やデータ通信コストの負担といった現実的な課題も付きまとう。Appleがこれらの要素をどのように調和させるのかが、成功の鍵を握るだろう。

Source:9to5Mac