エンタープライズ向けに設計されたAMDのクアッドコアCPU「Epyc 4124P」が、意外なゲーミング性能を発揮して注目を集めている。YouTuber「RandomGaminginHD」の実験では、このCPUがNvidia RTX 4060と組み合わせて、1080pの解像度で「Cyberpunk 2077」や「Red Dead Redemption 2」などの人気タイトルを快適に動作させた。
特に「Counter-Strike 2」では、平均269.6fpsという高いフレームレートを記録し、限られたスペックでの可能性を示した。Epyc 4124PはSocket AM5対応のため、手頃な価格のマザーボードと組み合わせることで低予算のゲーミングPCを実現できる点が評価されている。この発見は、未使用のハードウェアを活用したいユーザーにとって新たな選択肢となるかもしれない。
AMD Epyc 4124Pが示すエンタープライズ向けCPUの新たな可能性
AMD Epyc 4124Pは、主にサーバー用途を想定したエンタープライズ向けのCPUである。このプロセッサはクアッドコア(8スレッド)構成で、通常、ゲーミング用として設計された製品ではない。しかし、Socket AM5に対応している点が興味深い特徴であり、この互換性が低コストでのゲーミングPC構築を可能にしている。
さらに、このプロセッサはTDPが高くないため、冷却面での要求が控えめであり、特別なクーラーを必要としない点もユーザーにとって魅力的だ。
YouTuber「RandomGaminginHD」の実験によれば、Epyc 4124PとRTX 4060の組み合わせは、1080p解像度でさまざまなゲームタイトルを快適に動作させた。これは、クアッドコアCPUの性能が現代のゲームにも一定の適応力を持つことを示している。エンタープライズ向けの設計がゲーミングに適用可能であることは、こうしたハードウェアの汎用性と潜在力を再評価するきっかけとなるだろう。
実験結果が示すゲーミングパフォーマンスの限界と課題
Epyc 4124Pのゲーミング性能は印象的だが、RTX 4070以上のGPUと組み合わせた場合にボトルネックが発生することが確認された。この点は、このCPUの性能の限界を示しており、高解像度や高設定のゲームではその制約が顕著となる可能性がある。
「Cyberpunk 2077」では87fps、「Microsoft Flight Simulator 2024」では53.4fpsといった結果は、快適さを維持する最低限の基準をクリアしているものの、ハイエンドゲーミングを追求するユーザーには物足りないだろう。
この結果は、CPUとGPUのバランスがゲーミングパフォーマンスにおいていかに重要であるかを示している。Epyc 4124Pを使用した場合、ミドルレンジのGPUが最適な選択となる可能性が高い。このCPUを活用する場合、低価格帯で最大限のパフォーマンスを引き出す設計が求められる。
低価格ゲーミングPC市場への影響とリユースハードウェアの活用
Epyc 4124Pの価格は149ドルと、一般的なゲーミングCPUよりも低価格である。この点は、手軽にゲーミングPCを構築したいユーザーにとって魅力的であり、特に未使用のエンタープライズ向けハードウェアを再利用する手段として注目される。公式の供給が限定的であるため、調達には一定の難しさが伴うが、それをクリアすれば、性能とコストの両面で大きな利点を得られる可能性がある。
こうしたCPUが市場にもたらす影響は、単なる性能の話にとどまらない。余剰品や中古品を活用することで、廃棄されるハードウェアの削減や、環境負荷の低減といった側面も考えられる。
この発想は、ゲーミングだけでなく、教育や家庭内エンターテインメント用PCの構築といった多様な用途にも応用可能である。Epyc 4124Pが示したこの新たな選択肢は、ハードウェア活用の在り方を再考するきっかけとなるだろう。