Appleの高性能VRヘッドセット「Vision Pro」が、PlayStationとの協業により新たな進化を遂げる可能性がある。現在はハンドトラッキング機能を主力とするVision Proだが、ゲーム利用における弱点を補うため、ソニーのPSVR2コントローラーとの互換性が進められているとの報告がある。
このコラボレーションが実現すれば、Appleの「空間コンピューター」はゲーム対応デバイスとしての存在感を大きく高めるだろう。ソニーのVR2コントローラーは6自由度(6DoF)を備え、VRゲームでの快適な操作が可能となる設計だ。
Bloombergの報告によれば、Appleは今年初頭にもこの協業計画を公表する予定だったが、遅れが生じている模様。Vision Proの高価格と売上低迷が課題となる中、この動きがどのような市場の変化をもたらすか注目されている。
AppleとPlayStationの協業が目指す新たなゲーム体験
Appleの「Vision Pro」は、従来のハンドトラッキングによる操作で高い評価を得てきたが、ゲーム用途においてはコントローラーが欠如していたことが指摘されている。この課題に対応するため、AppleはソニーのPlayStation VR2コントローラーとの互換性を模索している。
Bloombergのマーク・ガーマンによると、Appleは「大規模な取り組み」を進めており、このコラボレーションが実現すれば、同ヘッドセットはゲーム対応デバイスとしての競争力を飛躍的に向上させるだろう。ソニーのVR2コントローラーは6自由度(6DoF)を持ち、ゲームでの精密な動きをサポートする設計だ。
この互換性により、「Final Cut Pro」のようなアプリでの操作性も向上する可能性がある。Appleが掲げる「空間コンピューター」の理想像に近づく一方、ゲーム利用者にとっても利便性が向上する点が重要である。
この協業の背景には、VR市場での競争が激化し、ユーザー体験の差別化が求められている現状があると考えられる。
VRゲーム市場における価格競争とAppleの挑戦
「Vision Pro」の価格は3500ドルと高額であり、手頃な価格帯の「Meta Quest 3」などと比較して普及の壁となっている。この状況で、PSVR2コントローラーとの互換性が実現すれば、価格に見合う付加価値をユーザーに提供できる可能性がある。
ただし、競合デバイスが豊富なゲームタイトルとアクセスしやすい価格設定で市場をリードしている中、Appleがどのようにしてゲーム市場での地位を確立するかは課題である。Appleはこれまで、App Storeへのゲーム追加やハードウェアの拡充など、ゲーム分野への再注力を見せてきた。
先月にはCorsairとの提携を発表し、ゲーミングキーボードやマウスの在庫も開始した。この動きは、従来のモバイルゲームやカジュアルユーザーから、よりコアなゲーミング層へのアプローチを示唆している。高性能な「M2チップ」を搭載するVision Proが、この市場でどの程度支持を得られるかが鍵となるだろう。
Appleとソニーの戦略的意図と今後の展望
Appleとソニーの協業には、互いの市場での課題を補完する狙いがあると見られる。ソニーにとって、PSVR2のコントローラーがAppleのデバイスと互換性を持つことは、在庫からの新たな収益源となる可能性がある。
一方、Appleはゲーム分野への進出において、信頼性と実績のあるソニーとの連携が大きな後押しとなるだろう。しかし、Vision Proの販売台数が低迷する中、ゲーム開発者に移植作業を促すための十分なインセンティブを提供できるかは課題である。
Questシリーズが高性能を低価格で提供する中で、Appleの高価格戦略がどこまで通用するかは未知数だ。今後の動向次第では、Appleがゲーム市場でのプレゼンスをさらに強化し、VR業界全体の技術革新を促進する役割を果たす可能性もある。