長年愛されてきたファイル圧縮ソフト「WinRAR」が、Windows 11環境でついに速度向上を実現した。今回のアップデートでは、特に右クリック時に表示されるコンテキストメニューの表示速度が大幅に改善され、ダークモードの機能や表示にも「多数」の改良が加えられたとされる。
参考:WinRAR 7.10 Beta 2 released
しかし、これらの改良が注目される一方で、Windows 11にはすでに標準搭載されたRAR対応ツールがあり、無料で高いパフォーマンスを発揮していることが競争の課題となる。
この標準ツールは、現時点で市場の多くの圧縮ツールを凌駕する性能を持ち、ユーザーに追加費用を必要としないという利点がある。WinRARの遅れた高速化への対応がユーザーの心を取り戻せるかは未知数である。ファイル圧縮の進化が続く中、WinRARの今後の動向が問われている。
WinRARがついに高速化へ 新アップデートの内容とは?
長年愛用されてきたファイル圧縮ソフト「WinRAR」が、Windows 11環境での速度向上を実現した。新たにリリースされたベータ版では、特に多くのアーカイブを選択して右クリックした際のコンテキストメニュー表示速度が大幅に短縮されている。また、アプリのダークモードに関しても「多数」の改良が加えられ、より使いやすいインターフェイスを提供している。
具体的な改善点として、ダークモードオプションの名称変更や、設定エクスポート時のUACプロンプトが不要になった点が挙げられる。また、コマンドラインで非RARアーカイブを解凍しようとした際には「不良アーカイブ」エラーコード13が返されるようになるなど、細部にわたる改良が行われた。これにより、USBドライブ上での柔軟な使用も可能となっている。
Windows 11標準ツールとの比較が示すWinRARの課題
今回のアップデートがもたらす利便性は評価されるべきだが、WinRARが抱える課題は依然として残る。Windows 11には、すでに高性能なRAR対応ツールが標準搭載されており、無料で利用できるという圧倒的な競争優位性を持つ。この標準ツールは多くの市販ツールを凌駕するパフォーマンスを発揮しており、追加のソフトウェアが不要である点がユーザーにとって大きな魅力となっている。
WinRARは、長年のユーザーに支持されるブランド力を武器に、新しい機能や改良を積み重ねているが、標準ツールとの機能差を埋めるには時間がかかる可能性がある。今回の高速化対応も、その努力の一環と言える。
圧縮速度とダークモードを改良したWinRARの今後の展望
WinRARのアップデートには、いくつかのバグ修正も含まれている。例えば、特定の条件下で圧縮速度が低下する問題や、Windows 7環境での無限ループ発生、サブフォルダー内実行ファイルの起動エラーなどが解消された。これらの修正は、ユーザー体験を向上させるものであり、WinRARの信頼性向上に寄与する。
一方で、Windows 11標準ツールの存在は、WinRARにとって大きな挑戦となっている。ファイル圧縮ツールの進化が続く中で、WinRARがこの競争環境でどのように差別化を図るかが問われている。ユーザーのニーズに迅速に応えることで、その地位を再確立できるかが今後の鍵となるだろう。