ゲーミングハンドヘルド市場で注目を集めるROG Allyが、Steam Deckを上回る理由が明らかとなった。『STALKER 2: Heart of Chornobyl』をプレイした検証によると、ROG Allyはそのスペックと互換性の高さでSteam Deckを大きく引き離している。

ROG Allyが搭載するAMD Z1 Extreme APUはSteam Deckの2倍の性能を誇り、Windows 11の採用により多様なゲームサービスへのアクセスやアンチチート対応でも優位性を示す。一方、Steam DeckはLinuxベースのOSに起因する互換性の制限が課題となっている。

さらにブラックフライデーセールによる値下げで、ROG Allyのコストパフォーマンスが大幅に向上しており、最新ゲームを存分に楽しみたいユーザーにとってROG Allyが最適な選択肢として浮上している。

ROG Allyが生み出すパフォーマンスの差異

ROG AllyがSteam Deckを大きく凌駕する理由の一つは、搭載されているAMD Z1 Extreme APUの性能である。このプロセッサは、Steam DeckのカスタムAMD Zen 2ベースAPUと比較して2倍の性能を誇り、高負荷の最新ゲームでもスムーズな動作を実現する。

例えば、『STALKER 2: Heart of Chornobyl』はROG Allyで高いフレームレートを維持しながら快適にプレイできたが、Steam Deckではラグやフリーズが頻発した。この違いは、単に内部スペックだけでなく、ソフトウェアの最適化にも起因している。

ROG Allyは、ゲーミングノートPCに近い設計思想を持ち、高性能なグラフィックスと計算能力を提供する。一方、Steam Deckはクラシックなタイトルや低スペックのインディーゲームに向けた設計となっている。こうした背景を考えると、ハンドヘルドデバイスの選択はプレイするゲームの種類に大きく依存する。

最新ゲームに挑戦するならROG Allyが適しているが、レトロゲーム愛好家にとってはSteam Deckの方がコスパの良い選択肢となるだろう。

OSがゲーム体験を左右する重要な要因

ROG AllyとSteam Deckのもう一つの大きな違いは、搭載されているOSにある。ROG AllyはWindows 11を採用しており、Steam、Epic Games、Battle.netなど多様なゲームプラットフォームに対応しているだけでなく、アンチチートソフトウェアの互換性にも優れる。

特に、競技性の高いタイトルでは、こうしたサポートの有無がゲームプレイに直結する重要な要素となる。一方、Steam DeckはLinuxベースのSteamOSを搭載しており、基本的にはSteamライブラリ内のゲームに最適化されている。このOSの違いが生む制約は顕著である。

SteamOSでは一部のゲームやオンラインサービスに対応できない場合があるが、Windows 11を搭載するROG Allyは、PCゲーム環境に近い柔軟性を持つ。こうした観点からも、最新タイトルを幅広く楽しむプレイヤーにはROG Allyの方が利便性が高い。

一方で、Steam DeckはLinuxのオープンソース文化を好む層や、カスタマイズ性を追求するユーザーに向いている。

市場価格とセールがもたらす競争の変化

現在、Best BuyのブラックフライデーセールによりROG Allyは非常に魅力的な価格設定となっている。ROG Ally Z1(非Extreme)は通常499.99ドルだが、セール中は349.99ドルという価格で販売されている。さらに、ROG Ally Z1 Extreme構成も通常649.99ドルのところ、499.99ドルで入手可能であり、Steam Deckのエントリーモデルと同価格帯に近づいている。

この値下げにより、これまで価格の高さが障壁となっていたユーザー層にも手の届く製品となった。価格の競争力向上は、ROG Allyの市場シェアを拡大する可能性を秘めている。特に、最新ゲームを求めるゲーマーにとって、この値下げは大きな誘因となるだろう。

ただし、価格の下落が一時的なセールに留まるか、恒久的なトレンドとなるかは不明であり、競合製品がどのように対抗するかも注目されるポイントである。この動きは、ゲーミングハンドヘルド市場全体に新たな価格競争の波を生む可能性がある。