数ヶ月前に登場したAMDのRyzen AI 300シリーズプロセッサが、ノートパソコン市場で注目を集めた後、ついに携帯ゲーム機分野にも進出を果たした。特にOne-Netbook社の「OneXFly F1 Pro」は、AMD Ryzen 9 AI 365およびHX 370 APUを搭載し、ASUSのROG Ally Xに対して最大24%の性能向上を示している。
この差は、「Cyberpunk 2077」などの負荷の高いゲームを1080pの低設定、30Wでプレイした際に顕著であり、OneXFly F1 Proが安定したフレームレートを提供することで評価されている。さらに、消費電力を15Wに抑えた状態でも、Ryzen Z1 Extremeを23~24%上回る優れたパフォーマンスを発揮しており、低消費電力でのゲーム体験を重視するユーザーにとって理想的な選択肢となる可能性が高い。
ただし、この性能向上は1,099ドル以上という高額な価格が伴い、既存のROG Ally Xの799.99ドルと比較しても購入を慎重に検討する必要がある。
AMD Ryzen AI 300シリーズの性能優位性とROG Ally Xの現行水準の比較
OneXPlayerの新機種「OneXFly F1 Pro」に搭載されるRyzen AI 300シリーズは、ASUS ROG Ally Xを凌駕する性能を示している。特にRyzen AI 9 HX 370 APUは、30W消費時の1080p低設定で「Cyberpunk 2077」をプレイする際に平均フレームレートで22%、最低フレームレートでも19%の向上を達成。
これに対しROG Ally Xは、Z1 Extremeプロセッサの性能で市場の支持を受けてきたが、Ryzen AI 300シリーズによる性能の差は目に見えて大きい。この結果はClub386が報じたOne-Netbook社の実験データから明らかにされたものであり、AMDの最新技術が携帯ゲーム機に新たな基準をもたらしたことを示している。
性能差の一因は、Ryzen AI 300シリーズが最新のZen 5 CPUコアとRDNA 3.5グラフィックスを備えた点にあると考えられる。これにより、複雑な演算処理やグラフィック描写が効率化され、ゲーム体験が一層滑らかになっている。こうした性能差は、OneXFly F1 Proが単にスペック上の優位性を持つだけでなく、実際のプレイ体験においてもROG Ally Xとの差を生む要因となっているといえるだろう。
消費電力とパフォーマンスのバランスが示す低電力プレイの可能性
携帯ゲーム機で重要なのは、性能だけでなくバッテリー持続時間と消費電力とのバランスである。Ryzen AI 300シリーズは15Wや20Wという低消費電力時においても、ROG Ally Xに対して23~24%のパフォーマンス向上を示している。この点は、短時間の外出やカフェなどでのプレイ時にバッテリー持続時間を最大化したいユーザーにとって大きな利点だと考えられる。
Club386によるベンチマークによれば、15W消費でOneXFly F1 ProのRyzen AI 9 365 APUは43fps、ROG Ally XのZ1 Extremeは35fpsで動作する結果となっている。
消費電力を抑えつつ一定のフレームレートを確保できるこの点は、低消費電力でのパフォーマンスを重視するユーザーにとって一つの指標となりそうだ。AMDの技術力がもたらすこのバランスは、携帯ゲーム機の利用形態に新たな選択肢を加える可能性がある。
価格と付加価値の関係から見る次世代携帯ゲーム機の展望
OneXFly F1 ProのRyzen AI 9 365モデルは1,099ドル、フラッグシップのRyzen AI 9 HX 370モデルは1,339ドルであるのに対し、ROG Ally Xは799.99ドルという価格帯で提供されている。この価格差は、新技術による性能向上がユーザーにとってどの程度の価値をもたらすかを判断する一つの指標となる。
Ryzen AI 300シリーズは、最新のZen 5アーキテクチャとRDNA 3.5グラフィックスによるパフォーマンス向上が実証されているものの、価格が高くなることからコストパフォーマンスへの評価は慎重になるだろう。現在のROG Ally Xが多くのユーザーに支持されている理由には、手頃な価格と十分な性能がある。
AMDの革新が次世代携帯ゲーム機市場に新たな付加価値を提供する中で、今後もユーザーの需要に合わせた多様な価格帯と機能のバランスが求められるだろう。