サムスンが手掛ける折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip」シリーズに、新たな廉価モデル「Galaxy Z Flip FE」が登場する可能性が浮上している。このモデルには、サムスンの最新チップ「Exynos 2400」が搭載される見込みであり、これは「Galaxy S24」の一部地域版にも採用されるチップセットである。
従来、サムスンの折りたたみスマホにはSnapdragonが搭載されていたため、Exynosチップセットの採用は大きな変化となる。この変更の背景には、Snapdragon 8 Gen 3の高コスト回避やサプライチェーンの安定化といった戦略的な意図が見え隠れする。
Apple同様、自社製チップへの依存度を高めることで製品コストの管理を目指す可能性も指摘されているが、最終的な仕様や発売時期は不明だ。噂の中には「Z Flip FE」が「Z Flip 7」や「トリプルフォールドデバイス」と共に登場するという見方もあるが、サムスンからの正式発表はまだない。
サムスンがExynos搭載に踏み切る理由とは
これまで、サムスンの折りたたみスマホシリーズは一貫してSnapdragonチップセットを採用してきた。しかし、今回噂されている「Galaxy Z Flip FE」では、Exynos 2400が搭載される可能性が高い。これにはいくつかの要因が考えられる。
まず、Snapdragon 8 Gen 3は高性能である一方、製造コストも高く、コストを抑えたモデルでの使用は現実的ではない。サムスンがExynosチップセットを採用することで、価格を抑えつつ折りたたみスマホ市場での競争力を確保する狙いがあるとみられる。
また、自社製チップセットを利用することで、Appleのようにサードパーティ依存の低減が期待される。これは部品供給の安定や開発コストの最適化に直結する可能性があり、サムスンの戦略的な転換と捉えることができる。
さらに、Exynosチップの搭載が実現した場合、北米や他の一部地域ではSnapdragon搭載モデル、他地域ではExynos搭載モデルという形で、サムスンは市場ごとに異なる製品展開を行う可能性がある。この地域別のプロダクト展開は、コスト管理や供給安定性を重視するサムスンの方針と合致している。
TechRadarなども指摘するように、サムスンは折りたたみスマホ市場でのさらなるシェア拡大を視野に入れており、戦略の一環としてExynosを活用していくと考えられる。
Z Flip FEと他モデルとの違い ー 折りたたみスマホ市場への影響
「Galaxy Z Flip FE」が登場した場合、サムスンの折りたたみスマホラインナップは一層充実する。現行の「Galaxy Z Flip 6」がフラッグシップ折りたたみスマホとして位置付けられている中、FEモデルの登場によって価格帯が多様化し、幅広いユーザー層への訴求力が強まることが予想される。
特に、折りたたみスマホの高価格が一般的なスマホユーザーにとってハードルとなる中、より手に取りやすい価格のFEモデルは、普及の後押しとなる可能性が高い。一方で、価格帯の多様化が進むと、従来のフラッグシップモデルの魅力が薄れかねないという懸念もある。
サムスンとしては、FEモデルに搭載する機能やスペックの選定が慎重になるだろう。例えば、チップセットにはExynos 2400を採用しつつも、他のハイエンド機能を削減することで、ユーザーにとっての付加価値を高めつつ、価格とのバランスを取ることが重要となる。
こうした戦略は、折りたたみスマホ市場でのさらなるシェア拡大に寄与すると考えられるが、他メーカーも新たな製品を投入することが予想され、競争が激化する可能性がある。
サムスンの折りたたみスマホ戦略の今後と展望
サムスンは、ここ数か月間、折りたたみスマホ市場への取り組みを強化している。TechRadarなどの報道によれば、廉価版の「Galaxy Z Fold」の計画は中止された可能性がある一方、「Galaxy Z Flip FE」の開発は続いているとされる。
さらに、「Z Flip 7」や「トリプルフォールドデバイス」といった新しいモデルについての噂も浮上しており、サムスンが多様なラインナップ展開を検討していることがうかがえる。ただし、新モデルが登場した場合、折りたたみスマホの新規性やプレミアムなイメージは依然として維持される必要がある。
特にFEモデルが一般フラッグシップと同等かそれ以上の価格帯に設定される可能性があるため、価格以上の付加価値をどのように伝えていくかが課題となる。サムスンとしては、折りたたみスマホの技術革新やユーザー体験の向上を目指しつつ、新規市場の拡大を狙っているとみられる。公式発表はまだないが、今後の展開に注目が集まっている。