Huaweiは最新のスマートフォンシリーズに搭載する新プロセッサ「Kirin 9100」の開発を進めている模様だ。従来の7nmプロセスを用いたKirin 9000Sとは異なり、新型はより高密度な6nmプロセスを採用するとされる。

しかし、これは5nmには到達しておらず、米国の制裁措置によりTSMCやSamsungとの提携が不可能なHuaweiは、中国のファウンドリ企業SMICと協力してこの6nmアーキテクチャを実現した可能性が高い。

リークによれば、Kirin 9100は単一の高性能Cortex-X1コアを備え、さらに複数のCortex-A78およびCortex-A55コアが組み合わされると予測される。一方で、GPUに関しては昨年のKirin 9000Sと同じMaleoon 910が引き続き使用される見込みで、大幅な進化は見られない。

これにより、Kirin 9100は次世代モデルながらも競合他社のプロセッサに対抗するには限界がある可能性が指摘される。

6nmプロセスの採用で期待されるパフォーマンス向上

Huaweiが開発中のKirin 9100は、従来の7nmプロセスから一歩進んだ6nmプロセスを採用すると報じられている。これは、従来のKirin 9000Sに比べてより高いトランジスタ密度と効率的なパフォーマンスを実現することが期待されている。

しかし、5nmや4nmといった次世代のプロセス技術には到達しておらず、現行の他社フラッグシップチップと比較すると、若干の技術的な見劣りは避けられないだろう。

SMICとの提携で開発されたと見られるこの6nmプロセスには、依然として技術的な課題があると考えられる。Wccftechによれば、Huaweiは米国からの貿易制裁により、先進的なプロセスを提供するTSMCやSamsungとの協力ができない状況にあり、依存先として中国のファウンドリ企業SMICが中心的な役割を担っている。

業界内では、SMICが独自に7nm以上のプロセスを提供できるか疑問視する声もあり、Kirin 9100の性能がどの程度まで引き上げられるかは今後の検証が待たれる。Huaweiが6nmプロセスによって競争力を維持しようとする試みは、中国市場での競争や国際的な技術進歩の中でどこまで効果を発揮するか注目される。

Cortex-X1の採用とARM設計への依存強化

Kirin 9100のCPU構成には、2.67GHzのCortex-X1コアがメインコアとして採用される予定である。このハイパフォーマンスコアの導入により、従来のカスタムTaiShanコアからのシフトが鮮明となり、HuaweiがARMの設計に依存する方針を強化しているといえるだろう。

さらに、2.32GHzのCortex-A78コアが3つ、そして2.02GHzのCortex-A55効率コアが4つ配置される見込みで、この構成は多様なパフォーマンスニーズに対応するためのバランスが取られている。

ARM設計への依存は、米国の技術規制がHuaweiの選択肢を狭める中での現実的な選択と考えられる。一方で、独自設計のコアを持たないことは、差別化の観点からはデメリットともいえる。

競合する他のプロセッサメーカーが独自のカスタムコアを採用して性能や効率を向上させている現状において、HuaweiがARMデザインを採用することで市場での競争力をどこまで維持できるかが焦点となる。今後もKirin 9100の実機レビューなどで性能評価が進むにつれて、この戦略が妥当かどうかが検証されるだろう。

GPUの据え置きがもたらす影響と市場での評価

Kirin 9100のGPUには、前世代のKirin 9000Sと同じMaleoon 910が引き続き搭載されると予測されている。これは、HuaweiがCPU性能には一定の改良を加えつつも、GPU性能においては大きな進化を図らなかったことを意味する。

Wccftechの記事でも指摘されるように、この選択によりKirin 9100は他社製品のハイエンドプロセッサと比較して、特にゲームや高負荷のグラフィック処理が求められるシナリオでの性能差が生じる可能性がある。

しかし、HuaweiがGPUの大幅な更新を避けた背景には、コストや製造技術の制約があると考えられる。GPUを含む半導体開発には膨大な資金と時間が必要であり、米国の制裁下でのファウンドリへの依存が進む中で、技術的なリスクを抑えた選択が求められた可能性が高い。

また、SMICとの提携が続く中で、既存の設計に依存することによって、製造プロセスの安定性を確保しつつ一定のパフォーマンスを維持する戦略とも考えられる。このような現実的な制約の中で、Kirin 9100がどの程度の市場評価を受けるかは、Huaweiにとっても重要な指標となるだろう。