2022年に発売されたSteam Deckを機に、ハンドヘルドゲーム機が再び注目を集めている。そんな中、ASUSはWindows搭載のゲーム機「ROG Ally」の後継機として「ROG Ally X」を投入した。ROG Ally Xは前モデルと比べて性能やバッテリー寿命が向上し、24GBのRAMと2倍のストレージを備えながら、デザインや快適さも追求されている。

一方で、グラフィックスの大幅な改善はなく、価格は初代の2倍に跳ね上がった。ゲーム性能は向上しつつも、コスト面で購入に慎重になるユーザーも多いだろう。

ROG Ally Xの進化したバッテリー性能と持続時間への配慮

ASUS ROG Ally Xの最も注目すべき進化は、バッテリー性能の改善である。初代ROG Allyではゲームプレイ中に頻繁に充電が必要になるなど、バッテリーの持続時間が一部で課題とされていた。しかし、ROG Ally Xでは80Whrの大容量バッテリーが搭載され、持続時間が向上している。

実際、1080pの解像度でFIFAを中設定でプレイした場合、2時間以上のゲームプレイが可能であり、グラフィック設定を低くすると約3時間もの稼働が見込まれる。

この改善はモバイルデバイスにおいて重要であると同時に、プレイヤーが外出先でも長時間のプレイを可能にする要素となる。しかし、バッテリーの大型化に伴い筐体がやや厚くなり、重量も678グラムと初代の608グラムから増加している。

これにより、長時間の使用で手に負担がかかる可能性もあり、持ちやすさとバッテリー寿命のバランスを慎重に検討した設計が問われるだろう。Gizbotも報じる通り、重さの増加がユーザーに与える影響は否定できないが、この点は「据え置き型ゲーム機に近づくための犠牲」とも言えるかもしれない。

快適さを追求したデザイン変更とグリップの改良

ROG Ally Xは、初代モデルと同様のデザインを踏襲しているが、快適さを向上させるための細かな改良が施されている。側面の丸みを帯びたグリップは、厚くなった筐体を持ちやすくするために調整され、長時間のゲームプレイでも快適に手にフィットする構造となった。また、追加された空気吸入口により、効率的な冷却が図られている点も新しい試みだ。

一方で、ヒートパイプの数が減少しており、これにより筐体の軽量化と放熱性能のバランスを保つ工夫が見られる。ユーザー体験として、これらの改良はROG Ally Xが単なるパワーアップ版ではなく、実際の使用シーンを考慮した設計となっていることを示している。

ASUSはデバイスの設計において、快適さとパフォーマンスを両立させることを重要視しており、携帯性と使用感のバランスをさらに追求した結果が現れていると言えるだろう。

コストの増加と価格に見合う価値への疑問

ROG Ally Xは性能面やバッテリー寿命での改善が図られた一方、価格が初代の倍に跳ね上がった点が賛否を呼んでいる。ROG Ally Xはより多くのRAMと2倍のストレージ容量を備えているが、肝心のグラフィックス性能は初代と同等であり、ユーザーによっては価格に見合わないと感じるかもしれない。

具体的には、1080pでの中設定でも重いタイトルは高フレームレートを維持できないため、携帯ゲーム機に高いパフォーマンスを求めるゲーマーにとっては物足りなさが残る可能性がある。

Gizbotによるレビューでも、コスト面でのバランスは課題として指摘されており、特にxGM Mobileポートの廃止や、グラフィックス向上がない点が疑問視されている。総じてROG Ally Xは、確かに性能向上を実現したが、価格の大幅な増加に対する満足感が得られるかどうかはユーザーの期待や使用状況次第であろう。

ASUSが今後どのようにユーザーのフィードバックを反映していくか、今後の動向が注目される。