新たに登場した非公式のPowerShellスクリプト「UnattendedWinstall」は、Windows 11の厳しいシステム要件を回避し、インストールプロセスをカスタマイズするための強力なツールである。
このスクリプトは、Windowsセットアップ時に必要なMicrosoftアカウント作成のスキップ、システムパフォーマンスの最適化、不要なプリインストールアプリの削除など多岐にわたる機能を提供する。特に、最新バージョンであるWindows 11 24H2でも動作が確認されており、ギーク層の間で注目を集めている。GitHub上で配布されているが、サードパーティ製ツールのため、実際の環境で使用する前に仮想マシンでの検証が推奨される。
非公式PowerShellスクリプト「UnattendedWinstall」の仕組みとその機能
「UnattendedWinstall」は、PowerShellスクリプトを利用してWindows 11のシステム要件を回避し、従来のインストールプロセスの制限を取り除く手法を提供する。このスクリプトは「回答ファイル(アンアテンドファイル)」というXMLファイル形式を利用し、OSインストール時の各種設定をあらかじめ自動化する仕組みを備えている。
回答ファイルを通じて、Windows 11インストールの際に通常求められるMicrosoftアカウントの作成をスキップするだけでなく、プリインストールアプリの削除やWindows Defenderサービスの無効化、システムパフォーマンスを最適化するレジストリ変更など、幅広いカスタマイズが可能である。これにより、OSをよりシンプルかつパフォーマンスに優れた状態で使用できる。
他の手法として、NTLiteのようなサードパーティアプリも類似の機能を提供しているが、PowerShellスクリプトによる柔軟な対応は、特にテクノロジーに精通したユーザーにとって魅力的なオプションといえる。
例えば、Windows Updateの機能を制限し、セキュリティアップデートのみを1年間受け取る設定も含まれていることから、ユーザーにとって手動設定の手間を減らしつつ、セキュリティを意識したカスタマイズが可能である。Neowinの記事は、このスクリプトの便利さとその技術的背景に関して高く評価しており、スクリプトがGitHubで公開されている点も注目に値する。
最新バージョンのWindows 11 24H2での動作確認とその実用性
「UnattendedWinstall」は最新のWindows 11 24H2バージョンでも問題なく動作することが確認されている。この情報は開発者からの公式発表に基づくもので、最新アップデートへの対応も随時行われていることから、OSのバージョンアップによる影響を最小限に抑える手段としても注目されている。
特に、インプレースアップグレード(既存のOSからの直接アップグレード)には対応していないため、必要に応じてRufusなどの他ツールの利用が推奨される。これは、Windows 11のシステム要件回避のために新規インストールが必要となる場合があるためである。
一方で、一般的なユーザーにとっては、スクリプトの導入や設定変更が容易でない可能性がある。高度なカスタマイズを求める場合、このスクリプトは強力だが、リスクを伴うため、実際の環境に導入する際には注意が必要である。
VM(仮想マシン)でのテストが推奨されるのもこの理由であり、テスト環境での動作検証を行うことで、思わぬ不具合や設定エラーを回避できる可能性が高い。こうした取り組みは、Neowinや他の専門メディアでも推奨されているアプローチである。
企業や専門家が示唆するスクリプトのセキュリティとその将来性
「UnattendedWinstall」の利用に関して、セキュリティ専門家やMicrosoftの公式発表では、サードパーティ製ツールのリスクについて注意を促している。
特に、Windows Defenderやユーザーアカウント制御(UAC)を無効にする設定は、システム保護を弱体化させる可能性があるため、セキュリティの観点からリスクを理解した上での利用が求められる。スクリプトの設定を再適用するための「UWScript.ps1」など、ユーザーが自由に設定を変更できる機能も備わっているが、一般ユーザーには慎重な運用が推奨されている。
また、Microsoft自体がこうした非公式のカスタマイズ手法を認めているわけではなく、将来的にOSのアップデートやパッチによってこれらの回避手法が利用できなくなる可能性もある。そのため、テクノロジー分野に詳しいユーザーにとっても、慎重なアプローチが必要であるといえる。