One-Netbookが手掛ける次世代ゲーミングハンドヘルド「OneXFly F1 Pro」が、低消費電力でも高いゲームパフォーマンスを実現し、話題を集めている。このデバイスは最新のAMD Ryzen AI 9 HX 370 APUとRadeon 890M iGPUを搭載し、TDPを15Wに抑えながら「Black Myth: Wukong」などの高負荷タイトルで安定したプレイを可能にしている。

Notebookcheckによるテストでは、解像度スケーリング65%設定で平均58 FPSを達成し、1080p環境でのプレイに適していることが確認された。Arc Graphics 140VやRadeon 780Mなど他のGPUでは、同様の設定で30 FPS以下にとどまる一方、Radeon 890Mの性能が頭一つ抜けていることが浮き彫りとなった。ただし、スケーリング設定の違いによる影響には注意が必要であり、同条件での比較には慎重な視点が求められる。

OneXFly F1 ProのパフォーマンスとOLEDディスプレイの革新性

OneXFly F1 Proの特徴のひとつは、144 HzのOLEDディスプレイを搭載している点である。このOLEDディスプレイにより、映像がより鮮明かつ色彩豊かに映し出されるだけでなく、応答速度の向上も実現している。

特に144 Hzのリフレッシュレートは、画面の動きが激しいアクションゲームやFPSゲームでその効果が顕著で、遅延やブレを感じさせない滑らかなプレイ体験を提供してくれる。このような高品質なディスプレイは従来のゲーミングハンドヘルドでは実現が難しかったが、One-Netbookはこの技術革新により、ゲーミングデバイスの新しいスタンダードを確立しようとしている。

また、OLEDディスプレイのもう一つの利点は省電力性能である。一般的にOLEDは液晶と比べて消費電力が少なく、さらにOneXFly F1 Proのように低TDP設計を施した場合、バッテリー寿命が長くなる可能性が高い。

長時間のプレイをする上で、これは大きなアドバンテージとなり、外出先でも充電を気にせずに快適に使用できるだろう。このように、ディスプレイの革新性と省電力性が相まって、OneXFly F1 Proは新たなプレミアムゲーミング体験を提供する存在となっている。

AMD Radeon 890Mと低TDPの驚異的なパフォーマンス

OneXFly F1 Proのもう一つの注目ポイントは、AMDの最新Ryzen AI 9 HX 370 APUとRadeon 890M iGPUが低TDPで高性能を実現していることである。

この組み合わせは、TDPを15Wに制限しながらも、Black Myth: Wukongのようなグラフィックが要求されるゲームにおいても、平均58 FPSというフレームレートを叩き出している。これは、ゲーミングノートPCや高性能なデスクトップPCでしか達成が難しかった数値であり、ハンドヘルドデバイスにおける技術的なブレイクスルーといえる。

Notebookcheckによると、他のGPUであるArc Graphics 140VやRadeon 780Mでは同じ条件下で安定した30 FPSを維持できなかったが、Radeon 890Mは低TDPの制約を受けても明らかに優れたパフォーマンスを発揮している。

こうした低消費電力での高いパフォーマンスは、今後の携帯型ゲーム機における大きな期待を生むだろう。とはいえ、解像度スケーリングが65%に設定されているため、パフォーマンス評価には慎重な視点が求められる。この設定の違いを踏まえれば、実際のパフォーマンスはユーザーの環境やゲームの要件により異なる可能性があるだろう。

One-Netbookの意図と今後の展望

OneXFly F1 Proの開発背景には、One-Netbookがゲーミングハンドヘルド市場でのプレゼンスを拡大し、競合他社との差別化を図ろうとする意図があると考えられる。特にOLEDディスプレイと低TDPでの高性能という組み合わせは、ユーザーの期待を超える使用感を提供することを目指しているといえるだろう。

OneXGPUの後継機として登場したOneXGPU 2の成功を足掛かりに、One-Netbookはより高性能なOneXFly F1 Proを投入し、次世代のハンドヘルドデバイスとしての位置付けを狙っている。

このOneXFly F1 Proの成功は、単にデバイスの性能だけではなく、ユーザーの体験価値を高める点でも重要である。今後、さらに最適化されたゲームソフトや新しいファームウェアアップデートが提供されれば、OneXFly F1 Proのポテンシャルはさらに引き出されるだろう。