Appleは新しいAirPods Pro 2に補聴器機能を導入したが、利用するためには3つの条件を満たす必要がある。最初の2つは比較的簡単だが、最後の条件が多くのユーザーにとって大きな障壁となっている。特に、この機能はアメリカとカナダでのみ提供されており、他の国での利用は規制当局の認可待ちとなっている。
AirPods Pro 2で補聴器機能を利用するための基本要件
AppleのAirPods Pro 2には、補聴器としての新たな機能が追加されたが、これを使用するためにはいくつかの条件を満たす必要がある。まず第一に、デバイス自体が第2世代のAirPods Proでなければならず、LightningまたはUSB-Cバージョンのどちらでも対応している。
この点に関しては、既存のユーザーであれば対応機種を持っている可能性が高いだろう。次に、利用するiPhoneやiPadがiOS 18.1以上を搭載している必要がある。これはAppleの最新のソフトウェアアップデートであり、アップデートを適用することで機能が利用可能となる。
しかし、この2つの条件は比較的クリアしやすいものの、最後の条件が多くのユーザーにとって高いハードルとなっている。
利用可能な地域―アメリカとカナダのみで提供開始
新しい補聴器機能は、アメリカとカナダでのみ利用可能であり、これはAppleの公式サイトでも確認されている事実である。つまり、これらの2か国に物理的に滞在していることが機能利用の第三条件となる。多くのユーザーにとって、この地域制限が最も大きな障害となっている。
他の国々での利用が許可されていない理由は、主に各国の規制によるものである。AppleはアメリカとカナダでFDAの承認を得たことにより、補聴器としての機能を公式に提供できる状況にあるが、その他の地域では同様の承認がまだ得られていない。したがって、国際的な展開が遅れているのが現状である。
新機能がもたらす健康効果とその背景
AirPods Pro 2の補聴器機能は、単なる音質向上にとどまらず、ユーザーの聴覚健康に大きな影響を与える可能性がある。この機能には、臨床的に検証された聴覚テストが組み込まれており、利用者の聴力を正確に測定することができる。また、補聴器としての役割を果たすことで、難聴者にとっての生活の質を大幅に向上させることが期待される。
Appleはこの技術を「臨床グレード」としており、従来の市販されている補聴器と同等の性能を誇るとされる。だが、こうした機能の実現には各国の規制や承認が不可欠であり、現在はそのハードルをクリアした国だけに限定されているのが実情である。このことが、利用可能地域の限定につながっている。
規制の壁が国際展開を妨げる理由
AirPods Pro 2の補聴器機能が国際的に展開されない背景には、各国の医療機器に関する規制が大きく関わっている。AppleはアメリカとカナダにおいてFDAの承認を得たが、それ以外の地域ではまだ承認が進んでいない。これにより、補聴器機能を提供するには各国の異なる規制をクリアする必要がある。
また、国ごとに異なる医療機器の定義や規制が存在するため、Appleが全ての市場で同時に展開することは難しい。例えば、ヨーロッパではCEマークの取得が必要であり、日本では厚生労働省の認可が求められる。こうした手続きが進まない限り、AirPods Pro 2の補聴器機能が他の地域で利用できる見通しは立っていない。