AMDの最新プロセッサ「Ryzen 7 9800X3D」の詳細なスペックが、マザーボードメーカーのMaxsunによるリークで明らかになった。TDPは120W、キャッシュ容量は96MBに達し、基本クロックは4.7GHz、ブースト時には5.2GHzに到達するという。
しかし、このスペックが高性能を保証するわけではない。最近のベンチマークでは、同モデルのゲームパフォーマンスが前世代に比べて僅かな向上しか示していない点が指摘されている。
AMD Ryzen 7 9800X3Dの主なスペックとは?
AMD Ryzen 7 9800X3Dは、リークされた情報に基づき、TDPが120W、キャッシュ容量が96MBという強力なスペックを持っている。具体的には、32MBのL3キャッシュと64MBの3D V-Cacheを搭載しており、これは前モデルと同様のキャッシュ容量である。この点は期待されていたほどの進化を見せていないと言えるだろう。
クロック速度に関しては、基本クロックが4.7GHzと前モデルRyzen 7 9700Xより900MHzも高い数値となっている。これはTDPが高いことによるものと考えられる。また、ブーストクロックは5.2GHzとされており、前モデルよりも若干低下している点が注目される。シングルコアのクロック速度はまだ明らかになっていないが、5.4GHzから5.5GHzの範囲に達すると予想されている。
これらのスペックは、特にクロック速度やキャッシュ容量において、いくつかの改良が見られるものの、大きな進化を期待していたユーザーにはやや物足りない印象を与えている。公式のスペック発表は2024年10月25日とされており、さらに詳細な情報が期待される。
パフォーマンスの評価:他モデルとの比較
AMD Ryzen 7 9800X3Dは、基本スペックこそ魅力的であるが、実際のパフォーマンス評価は必ずしも期待に応えるものではない。特にゲームにおけるベンチマークテストでは、前世代のRyzen 7 7800X3Dと比較して、わずかな性能向上しか見られなかった。例えば、「Far Cry 6」では11%のパフォーマンス向上が確認されているが、「Shadow of the Tomb Raider」ではわずか4%、そして「Black Myth: Wukong」では2%にとどまっている。
一方で、Cinebenchによるベンチマークテストでは、シングルコア性能が18%向上し、マルチコア性能も28%の改善が見られた。この点では一定の進化を示しているものの、全体的な評価としては「次世代チップ」として期待されるほどの劇的な向上とは言い難い。
この結果は、特にゲーマーやクリエイター向けの高性能プロセッサを求めるユーザーにとっては、期待外れと感じられるかもしれない。ベンチマークスコアが今後のアップデートで改善されるかどうかが注目されるところである。
リークによる発表日と発売時期の予測
Ryzen 7 9800X3Dの公式なスペック発表は2024年10月25日に予定されているとリーク情報では伝えられているが、実際の販売開始日は2024年11月頃になる可能性が高い。これまでのAMDのリリーススケジュールを考慮すると、正式な発表と発売までの間隔は比較的短いことが多く、今回もその例に漏れないだろう。
一部のリークでは、このモデルが「Ryzen 9 9800X3D」として誤表記されていたが、実際にはRyzen 7シリーズの一部であることが確認されている。このような誤報も、発表前のスペックリークによく見られるものであり、公式情報が発表されるまではさらなる誤解が生じる可能性がある。
発売日が11月に設定されている背景には、次世代のRyzenプロセッサが控えていることがある。これにより、AMDは次世代のCPU市場において他の競合と一線を画す準備を整えている。これからの数週間で、さらなる情報が明らかになることが期待される。
ゲームベンチマーク結果の失望
Ryzen 7 9800X3Dのベンチマーク結果は、多くのユーザーにとって期待外れと感じられる可能性がある。特に、前世代の7800X3Dと比較した際のゲームにおけるパフォーマンス向上が限定的である点が批判の対象となっている。Far Cry 6では11%の向上が確認されたが、Shadow of the Tomb Raiderではわずか4%、Black Myth: Wukongに至っては2%しか性能が向上していない。
一方で、Cinebenchの結果においては、シングルコアで18%、マルチコアで28%の向上が見られ、クリエイティブな作業や重い処理を必要とするアプリケーションにおいては評価されるだろう。しかし、ゲーミング用途においては、これらのベンチマーク結果は物足りなさを感じるものであり、Ryzen 7 9800X3Dがゲーム向けに最適化された製品ではない可能性がある。
これらの結果を踏まえると、9800X3Dの実力は特定のユーザー層には高評価を受けるものの、ゲーミング分野ではさらなる改善が必要であると考えられる。