Frameworkが、ついに初のデスクトップPC「Framework Desktop」を発表した。本機は、AMDの最新APU「Strix Halo」を搭載し、豊富なI/Oポートと高いカスタマイズ性を備える。Frameworkの製品らしく、モジュール式デザインを採用し、フロントポートの変更やケースデザインのアレンジも可能。ミニPCサイズながらもPCIe Gen4スロットを備え、柔軟な拡張性を持つ。

最上位モデルには16コアのRyzen AI Max 395+ Strix Haloを搭載し、128GB LPDDR5xメモリ、40基のRDNA 3.5 CUsを内蔵。エントリーモデルには8コアのRyzen AI Max 385が採用される。メモリの増設は不可だが、NVMeスロットによるストレージ拡張が可能で、最大16TBまで対応。さらに、Wi-Fi 7モジュールや5Gbps対応のEthernetポートも標準装備する。

価格は最上位モデルが1,999ドル、エントリーモデルが1,099ドルと、競合製品と比較しても手頃な設定。すでに予約受付が開始されており、出荷は2025年第3四半期を予定している。Frameworkが手がける初のデスクトップは、PC市場にどのような影響を与えるのか注目だ。

AMD Strix Haloがもたらすパフォーマンスと電力効率のバランス

Framework Desktopの心臓部には、AMDの最新APU「Strix Halo」が搭載されている。このチップは、デスクトップ向けCPUのような高性能を持ちながら、消費電力を抑えた設計が特徴だ。最上位モデルのRyzen AI Max 395+は16コアを備え、RDNA 3.5アーキテクチャの40基のコンピュートユニットを搭載。

これは、従来のノートPC向けAPUを超える性能を持ちながら、消費電力を抑えることで発熱を最小限に抑える構成となっている。一方で、最大86Wの消費電力は、従来のAPUに比べると高めの数値であり、デスクトップPCとしての冷却対策が求められる。

Frameworkはこの点に対応するため、120mmクーラーとNoctua製ファンを標準搭載。静音性と冷却性能の両立を図っている。また、ユーザーが独自の冷却ソリューションを導入できる設計になっており、好みに応じたカスタマイズが可能だ。

この仕様から考えられるのは、Strix Haloのパフォーマンスがデスクトップ環境においても十分通用するという点だ。特に、グラフィック性能が強化されているため、軽量なクリエイティブ作業やゲーミング用途にも対応できる可能性がある。消費電力を抑えながらも、高いグラフィック性能を求めるユーザーにとっては、魅力的な選択肢となりそうだ。

Frameworkならではの拡張性とカスタマイズ性

Framework Desktopの大きな特徴は、同社のモジュール式デザインのコンセプトをそのままデスクトップPCにも適用している点だ。特に、フロントポートの交換が可能な点は、用途に応じたカスタマイズの幅を広げる。標準でUSB 4.0ポートが2つ、DisplayPortが2つ、HDMIポートが1つ、5Gbps対応のEthernetポートが搭載されており、必要に応じて異なるポート構成に変更できるのが魅力だ。

また、本体には21個のタイル状のモジュールが用意されており、外観やデザインを自由に変更できる。これにより、個々のユーザーが独自のデスクトップ環境を作り上げることが可能となる。持ち運びを容易にするハンドルの追加など、デスクトップながらポータブル性も考慮されているのも面白い点だ。

一方で、メモリの増設ができない仕様は賛否が分かれそうだ。最上位モデルでは128GBのLPDDR5xメモリが搭載されているため、多くの用途では問題にならないが、後からアップグレードしたいユーザーにとっては選択肢が限られる。

一方、ストレージについては最大16TBまで増設が可能なため、用途に応じたカスタマイズは可能だ。Frameworkのコンセプト通り、既存のデスクトップPCの枠にとらわれない自由な構成を実現できる点は、特にDIY志向のユーザーにとって大きな魅力となるだろう。

価格と競合製品との比較 Framework Desktopは本当にお得か

Framework Desktopの価格設定は、最上位モデルが1,999ドル、エントリーモデルが1,099ドルとされている。この価格は、他の同クラスのミニPCやカスタマイズ可能なデスクトップPCと比較すると、かなり手頃な部類に入る。特に、ASUSの同様の製品と比べると、拡張性やカスタマイズ性を備えつつ、競争力のある価格を実現している。

一方で、コストを抑えた設計の影響もある。例えば、電源には400WのFlexi-ATX PSUが採用されているが、ハイエンドなデスクトップPCに比べると電力供給の余裕は少なめだ。また、専用GPUを搭載できないため、外付けGPUを利用する場合は別途eGPUケースが必要となる。この点は、特にゲーミングや本格的なクリエイティブ用途を考えているユーザーには注意が必要だ。

それでも、Framework Desktopは、その価格に見合った機能を備えており、特に自由なカスタマイズを求めるユーザーにとっては大きな魅力がある。予約注文はすでに開始されており、出荷開始は2025年第3四半期とされているため、今後の展開にも注目したい。Frameworkのデスクトップ市場参入が、他のメーカーの製品戦略にも影響を与える可能性は十分にあるだろう。

Source:NotebookCheck