Huawei Watch D2は、血圧モニタリング機能において他のスマートウォッチを圧倒する性能を持つモデルである。革新的な「携帯型血圧モニタリング」(ABPM)機能を備え、ユーザーが日常的に正確な血圧測定を可能にする一方、スマートウォッチとしては機能面でいくつかの制約が見られる。
価格はやや高めであるが、その先進的な健康管理機能は特定のユーザー層にとって非常に魅力的であり、ウェアラブルデバイスとしての新たな可能性を示している。
革新的な血圧モニタリング機能の実装
Huawei Watch D2の最大の特長は、業界初となる携帯型血圧モニタリング(ABPM)機能である。通常のスマートウォッチでは難しい血圧測定を、手軽に行えるようにした点が特筆される。ABPM機能は、時計のストラップ部分に組み込まれたエアバッグによって実現され、これは血圧計のカフに代わるものである。これにより、ユーザーは運動中やリラックスしている時でも簡単に血圧測定が可能だ。
このエアバッグは、26.5mmという超狭幅設計で、装着感を犠牲にすることなく機能する点も優れている。血圧モニタリングは、24時間自動測定プランを設定できるため、睡眠中の血圧変動も追跡可能だ。加えて、ECG分析機能も強化されており、心電図データの精度が向上している。これにより、日常の健康管理に大きく寄与し、心臓疾患の兆候を早期に検知することができる。
とはいえ、米国市場での展開がない点は、市場の拡大を制限する要因となっている。
高精度の測定結果と使い勝手の評価
Huawei Watch D2の血圧モニタリングは、その精度が評価されている。通常の血圧計に匹敵する精度を持ち、ユーザーは信頼できるデータを取得できる。測定の際は腕の正しい位置に配置する必要があるものの、一度適切に装着すれば安定した結果が得られる。この精度の高さは、特に健康リスクを抱えるユーザーにとって大きな魅力となる。
一方で、使い勝手に関しては、特に長時間の装着時に快適性が損なわれることは少ない。エアバッグがストラップに組み込まれているため、通常のスマートウォッチと同様の装着感を保ちながら、追加の健康機能を享受できる点は特筆に値する。ただし、腕の正しい位置に配置することが重要で、誤った位置では測定が失敗することもあるため、今後のモデルでの改善が期待される。
全体的に見て、精度と快適性のバランスが取れているが、さらなる改善が求められる部分も残されている。
スマートウォッチとしての限界
Huawei Watch D2は血圧モニタリングにおいて革新を見せているものの、スマートウォッチとしての機能は限定的である。例えば、非接触決済機能や音楽ストリーミングアプリとの連携機能が欠けており、これらを求めるユーザーには物足りない面がある。特に、SpotifyやAmazon Musicといった主流の音楽サービスを利用できない点は、音楽を楽しみながらトレーニングを行うユーザーにとって不便だ。
また、WhatsAppの音声メッセージを再生できないなど、日常的なコミュニケーションのサポートも不足している。スマートウォッチとしては、基本的な通知や通話機能は備えているものの、他の多機能なスマートウォッチと比較すると物足りなさが目立つ。この点では、より多くの市場を取り込むための機能追加が必要だ。
現時点では、健康管理に特化したデバイスとしての位置付けが強く、スマートウォッチとしての幅広い利用は難しい。
デザインと価格、コストパフォーマンスのバランス
Huawei Watch D2は、デザインにおいても高評価を得ている。1.82インチのAMOLEDディスプレイは、解像度が480×408ピクセル、PPIが347という高精細な表示を誇り、文字やグラフィックスの視認性が非常に高い。フレームはブラックとゴールドの2色展開で、アルミニウム合金製のケースが質感の高さを引き立てている。
ただし、デザイン面での課題も存在する。時計自体がやや厚く、特に13.3mmの厚みが気になる部分である。センサーが出っ張っているため、これが快適な装着感を損なう一因となっている。将来的には、このセンサーの配置を工夫することで、より薄型化され、快適性が向上することが期待される。
価格に関しては、£349.99という設定は、ABPM機能の革新性を考慮すれば納得の範囲内であるが、一般的なスマートウォッチユーザーには高額に感じられるかもしれない。機能と価格のバランスを見極めた上で、購入を検討する価値があるだろう。