Garminが次世代スマートウォッチ「Fenix 8」にmicroLEDディスプレイを搭載するという噂が、Garminの従業員によって確認された。これが実現すれば、世界初のmicroLED搭載スマートウォッチとなる可能性がある。
しかし、現在のところmicroLEDディスプレイの生産コストは非常に高く、製造プロセスにも多くの課題が残っている。市場への投入は少なくとも1年以上先となる見込みだ。
Garmin Fenix 8にmicroLEDディスプレイ搭載のリーク情報
Garminの次世代スマートウォッチ「Fenix 8」にmicroLEDディスプレイが搭載されるという噂が、近頃複数のリーク情報を通じて広まっている。これまでのAMOLEDディスプレイに代わり、次世代のmicroLED技術が採用されることで、画質や省電力性能が大幅に向上すると見込まれている。特にmicroLEDは、個々のピクセルが独立して光を放つため、コントラスト比が圧倒的に高く、黒の表現が非常に深いことが特徴である。
これにより、Fenix 8は他のスマートウォッチとは一線を画すディスプレイ品質を実現する可能性がある。さらに、Garminのアプリや互換性リストにも、この新技術を搭載したモデルが確認されており、公式発表前にも関わらず関心が集まっている。しかし、公式にはまだ何も発表されていないため、どの程度の改良が実現するのか、そして実際にリリースされるのかは今後の情報に注目が必要である。
高コストと生産問題が立ちはだかる新技術
Fenix 8のmicroLEDディスプレイは、技術的には非常に先進的だが、その生産においては大きな課題が存在する。現段階での生産効率は非常に低く、全体の10%しか使用可能なパネルが作られていない。残りの90%は製造過程で欠陥品となり、廃棄されてしまう状況である。この低い生産歩留まりがコストを押し上げており、1枚のmicroLEDパネルの製造コストは約100ドルに達すると報じられている。
そのため、Fenix 8に搭載されると想定されるmicroLEDディスプレイは、一般的なスマートウォッチに比べてかなり高価なものとなる可能性が高い。例えば、Google Pixel Watchのディスプレイコストが21ドルであるのに対し、microLEDはその約5倍に相当する。このコストの問題が解決されない限り、大量生産や大規模な市場展開には時間がかかると予測される。
GarminがVuzixと契約、2025年にパネル供給を期待
GarminはmicroLEDディスプレイの実用化に向け、すでにVuzixとの契約を締結していることが報じられている。Vuzixは、ARグラスなどにmicroLEDを搭載してきた企業であり、この分野では確固たる技術力を持つ。Garminはこの技術を活用し、スマートウォッチ市場での差別化を図ろうとしている。特に、高解像度かつ低電力消費というmicroLEDの特性は、アウトドア向けの製品ラインアップにおいて大きな武器となるだろう。
さらに、AU Optronicsも2025年の第1四半期からGarmin向けにmicroLEDパネルを供給する予定であるとされている。この供給が本格化すれば、GarminのFenixシリーズのみならず、他の高価格帯モデルにもmicroLEDが搭載される可能性がある。ただし、これが実現するまでにはまだ多くの技術的な課題が残っており、今後の進展が注目される。
ラグジュアリーモデル向けの新技術の可能性
microLEDディスプレイはそのコストの高さから、当初は主にGarminのFenixシリーズやTAG Heuerなど、ラグジュアリースマートウォッチに採用されると予測されている。これは、これらのモデルが価格的にも技術的にも最先端を求める顧客層をターゲットとしているためである。また、GarminやTAG Heuerはともに高価格帯の製品を多く展開しており、microLEDの導入によってさらにそのプレミアム感が強化されるだろう。
しかし、将来的にはmicroLEDの生産コストが低下し、一般消費者向けのモデルにも広く普及する可能性がある。特に、AU Optronicsのパネル供給が軌道に乗れば、生産コストの低減とともに技術の普及が進むだろう。今後、Garminや他のメーカーがどのようにmicroLED技術を活用していくのか、その動向に注目が集まっている。