iPad miniシリーズは、コンパクトなサイズで高い性能を誇るタブレットとして長年支持されている。2024年に発表された新型iPad miniは、3年ぶりのアップデートとして期待を集めたが、2021年モデルからの進化はどれほどのものなのか。
新型ではA17 Proチップの搭載によりパフォーマンスが向上し、Apple Intelligenceの対応が追加される一方で、ディスプレイやカメラの大幅な変更は見られない。本記事では、両モデルを比較し、アップグレードする価値があるかを検証する。
デザインとディスプレイの違いは?
iPad mini 2024と2021のデザインは、基本的に同じである。7.69インチ×5.3インチのサイズ感や8.3インチのLiquid Retinaディスプレイ、解像度2266×1488ピクセル(326ppi)の仕様は変更されていない。両モデルともにTrue Tone技術やP3広色域のサポートを継続し、反射防止コーティングも健在だ。
唯一のデザイン上の違いはカラーバリエーションである。2024年モデルには新たにブルーが追加され、ピンクが廃止された点が特徴だ。また、キーボードの公式アクセサリーは依然として存在せず、Apple Pencilの対応も2世代目からPro版に変わったのみである。見た目の大きな進化はないが、細部にわたる調整が施されている。
パフォーマンスの向上とその影響
iPad mini 2024の最大の改良点は、A17 Proチップの搭載である。これにより、CPUパフォーマンスが約30%、グラフィック性能が約25%向上するとされる。これまでのA15 Bionicチップ搭載モデルと比較すると、アプリの動作やマルチタスクがより快適になることが期待される。
また、2024年モデルはApple Intelligenceに対応する初のiPadであり、AI機能の追加が予定されている。このAI機能は、iOS 18.1およびiPadOS 18.1のアップデートにより順次提供される見込みである。一方で、M1チップやそれ以上のハイエンドモデルと比べると、特にプロ用途での使用においては性能差が依然として存在するため、一般ユーザー向けの強化に留まると言える。
カメラとバッテリー性能の比較
カメラ性能については、iPad mini 2024と2021で大きな違いは見られない。両モデルともに12メガピクセルの広角カメラと超広角フロントカメラを備え、Center Stage機能による自動トラッキングも引き続きサポートされている。日常的な撮影やビデオ通話には十分だが、iPhoneのような高性能なカメラを期待するユーザーには物足りないだろう。
バッテリーも前モデルと同様で、Wi-Fi利用時で最大10時間、セルラー接続時で最大9時間の使用が可能である。充電回数の増加や長時間使用に対する耐久性も、従来と変わらないとされる。つまり、日常の使用において大きな不満は生じないが、革新的な改善は見られない。
新しいiPadOSとApple Intelligenceの可能性
iPad mini 2024では、新しいiPadOSとともにApple Intelligenceが導入される予定だ。これは、AIを活用した執筆支援や集中モード、コミュニケーション機能の強化を目指すものである。現時点では、初期のAI機能はアップデートで提供される予定だが、将来的にはさらなる機能拡充が期待される。
一方、2021年モデルはこのApple Intelligenceを利用することができない。これは、将来的なアップデートのサポート年数にも影響を与える可能性があり、2024年モデルのほうが長期間にわたるアップデートの恩恵を受けられると予測される。AI機能に魅力を感じるユーザーにとっては、2024年モデルの購入が有力な選択肢となる。