Microsoftは、Windows Server 2025プレビュー版の最新ビルド26304を発表した。このビルドでは、Desktop ExperienceとServer Coreという2つのインストールオプションが提供されている。さらに、セキュリティ強化を目的としたWindows Defender Application Controlや、350以上の設定を含むセキュリティベースラインプレビューなどが新たに加わっている。

Windows Server 2025の新機能:Desktop ExperienceとServer Core

Windows Server 2025プレビュー版ビルド26304では、Desktop ExperienceとServer Coreという2つのインストールオプションが提供されている。Desktop Experienceは、従来のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を提供するもので、ユーザーフレンドリーな操作環境を提供する。一方、Server Coreは、より軽量でパフォーマンスを重視した環境であり、グラフィカルインターフェースを削減することで、システムのリソースを効率的に活用することができる。

これら2つのインストールオプションにより、ユーザーはシステムの用途や環境に応じて最適なインストール方法を選択できる。企業向けの大規模なデータセンター運用では、Server Coreが選ばれることが多い一方、従来のGUIを重視するユーザーはDesktop Experienceを選択することができる。この柔軟性は、様々なシステム管理のニーズに対応できる点で、Windows Server 2025の大きな強みである。

さらに、このビルドではContainer HostおよびAzure Editionのインストールも提供されており、クラウドネイティブなインフラストラクチャを構築するための選択肢がさらに広がっている。こうした多様なインストールオプションは、システム管理者にとって、最適なインフラストラクチャを構築するための重要な選択肢となるだろう。

セキュリティ向上:Windows Defender Application Controlの導入

Windows Server 2025ビルド26304では、セキュリティ機能がさらに強化されている。特に注目すべきは、Windows Defender Application Control(WDAC)の導入である。この機能は、許可されたソフトウェアのみを実行できるようにすることで、サーバーの攻撃面を減少させる役割を果たす。これにより、外部からの不正アクセスやマルウェア感染のリスクが大幅に軽減される。

WDACは、ビジネス向けに設計されたものであり、サーバー上で実行できるソフトウェアを厳密に制御することが可能である。Microsoftは、この新機能に対して「デフォルトポリシー」を提供しており、PowerShellコマンドレットを通じて簡単に適用できる。これにより、管理者はセキュリティ設定を迅速に実装でき、運用の効率化が図られる。

このWDACの導入により、サーバーのセキュリティレベルはこれまで以上に強化されており、特にクリティカルな業務を担うサーバー環境においては、必須の機能となるだろう。サイバー攻撃が高度化する中で、こうしたセキュリティ機能の強化は、Windows Server 2025の大きな競争力となっている。

350以上の設定を含むセキュリティベースラインのプレビュー

Windows Server 2025ビルド26304では、新たにセキュリティベースラインのプレビューが提供されている。このベースラインは、Microsoftが推奨する業界標準のベストプラクティスに基づいたものであり、350以上の事前構成されたセキュリティ設定が含まれている。この設定は、サーバーの役割に応じて、ドメインコントローラー、メンバーサーバー、ワークグループメンバーの3つのカテゴリーに分類されている。

セキュリティベースラインは、サーバーの役割ごとに最適化されたセキュリティ設定を提供することで、管理者がサーバー環境の安全性を確保するための重要なツールとなる。これにより、セキュリティリスクを最小限に抑えつつ、業務に必要な柔軟性を維持できる。特に、サーバーの設定を手動で行う場合、セキュリティの抜け穴が生じるリスクがあるため、こうした事前設定されたベースラインは有用である。

ただし、このベースラインはまだプレビュー段階にあるため、本番環境に適用する前にテスト環境での検証が推奨されている。すべての設定がリバーシブルではないため、慎重な運用が求められる。このようなセキュリティベースラインの提供は、Windows Server 2025がセキュリティ面で大きな進化を遂げていることを示している。

ユーザーからのフィードバック収集に便利な新しいFeedback Hubアプリ

Windows Server 2025プレビュー版ビルド26304では、ユーザーのフィードバックを収集するための新しいアプリ「Feedback Hub」が導入されている。これは、Desktop Experienceのユーザーを対象としたアプリであり、システムの問題や改善点について簡単に報告できる仕組みを提供する。このアプリは、自動的に最新バージョンに更新されるが、手動でアップデートを確認することも可能である。

Feedback Hubは、Windows Serverの改善プロセスにおいて重要な役割を果たしており、ユーザーが直面する問題や機能の改善提案をMicrosoftに直接送信できる。これにより、ユーザーの意見が迅速に反映され、次期ビルドでの改善が期待される。特に、大規模な企業ネットワークやデータセンターの運用を行うシステム管理者にとっては、重要なコミュニケーション手段となるだろう。

また、このアプリの導入は、Microsoftがよりユーザー中心の製品開発を目指していることを示している。実際に運用されているシステムからのフィードバックをリアルタイムで収集し、製品に反映することで、より使いやすく信頼性の高いシステムが構築される。