Windows 10のサポート終了が迫る中、多くのPCゲーマーがWindows 11へのアップグレードを躊躇している。特にスチームユーザーの約半数が依然としてWindows 10を使用しており、その移行ペースは非常に遅い。
Windows 11の互換性問題やパフォーマンスの不安定さが、その要因として挙げられる。さらに、レトロゲームを楽しむゲーマーたちは、Windows 10での快適な環境を失いたくないという声も少なくない。

スチームユーザーの移行状況:緩やかな変化

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Windows 10からWindows 11への移行が予想以上に進んでいない。特にスチームユーザーの間では、その傾向が顕著である。2024年のスチームユーザー調査によると、約半数のゲーマーが依然としてWindows 10を使用しており、その移行ペースは非常に遅い。サポート終了が近づいているにもかかわらず、Windows 11への移行が進まない背景には、互換性やパフォーマンスに対する懸念が根強く存在している。

Windows 11のリリース当初には、TMP 2.0や最新のCPU要件といった厄介な条件が多く、ゲーマーたちを困惑させた。これらの要件がスムーズな移行を妨げた要因の一つである。しかし、時間が経つにつれてこれらの要件に対処する方法が広まってきており、一部のユーザーはようやく移行を検討し始めている。

とはいえ、Windows 11が提供する新機能が、ゲーマーにとって魅力的かというと疑問が残る。大多数のゲーマーは、Windows 11がWindows 10に比べてそれほど大きな進化を遂げていないと感じている。そのため、現状では多くのゲーマーが、サポート終了の期限ギリギリまでWindows 10を使い続けるだろう。

互換性とパフォーマンスへの懸念

PCゲーマーがWindows 11への移行を躊躇する大きな理由は、互換性とパフォーマンスに対する懸念である。特に、長年Windows 10を使い続けてきたゲーマーにとって、新しいOSへの移行は未知の領域への一歩となる。Windows 11では、過去にAMD Ryzenのキャッシュ遅延がパフォーマンスに大きな影響を与えた事例があり、これが一部のゲーマーに不安を抱かせている。

さらに、TMP 2.0が求められる点も大きな障壁となっている。多くのゲーマーは、現行のシステムがWindows 11をサポートしていないというメッセージを受け取り、これが移行を阻む要因となっている。ハードウェアが最新であっても、この要件を満たすためにはシステム設定を変更する必要があり、時間や労力を要することが問題となる。

ゲーム用PCに多くの時間を費やすことができないユーザーにとって、この手間は大きなデメリットである。結果として、互換性とパフォーマンスのリスクを避けるため、Windows 10に留まるユーザーが多い状況が続いている。

レトロゲームの愛好者が直面する課題

レトロゲームを楽しむゲーマーにとって、Windows 11への移行はさらなる問題を引き起こす可能性がある。特にDOSベースの古いタイトルを楽しむゲーマーにとって、Windows 11ではこれらのゲームが正常に動作しない場合がある。Windows 10では、互換性モードやDOSBoxといったツールを用いて、比較的容易に古いゲームをプレイすることができた。

しかし、Windows 11に移行すると、これまでの設定やツールが再び必要となり、インストールや設定がより複雑になる。たとえば、「The Elder Scrolls II: Daggerfall」などの古いタイトルをプレイするために必要なソフトウェアを再インストールする手間は、ゲームプレイの楽しさを損なう大きな要因となり得る。

また、レトロゲームのパフォーマンス自体は、Windows 10と11で大きな違いがない場合が多いが、慣れ親しんだ環境でゲームをプレイしたいという心理的な抵抗感が強い。特に、レトロゲーム愛好者にとって、Windows 11への移行は不要なリスクや手間を伴うものとして捉えられている。

知り慣れたOSを好むゲーマー心理

PCゲーマーは、一般的に慣れ親しんだ環境に強い愛着を持つ傾向がある。これは、彼らが何時間もかけてカスタマイズし、自分好みに仕上げたWindows 10というOSに対する心理的な安定感によるものだ。ゲームフォーラムやソーシャルメディアでの議論を見る限り、Windows 11に移行することに対して積極的なゲーマーは少数派である。

多くのゲーマーは、OSのアップデートに対して慎重な姿勢を示している。彼らにとって、Windows 10はすでに安定しており、未知のトラブルに見舞われるリスクを冒すよりも、現状維持を選ぶ方が賢明と考えている。そのため、Windows 11に移行するのは、サポート終了間際や新たなハードウェアを導入する際に限られるだろう。

また、Windows 11に移行したゲーマーの中には、インターフェースをWindows 10に似せる設定を行う者も多い。これは、彼らが新しいOSに対して依然として不慣れであり、使い勝手の面で旧OSに戻りたいという心理を反映している。