「iPhone 15 Proでゲームをしていたら急にカクついた」「充電しながら使うと本体が熱くなりすぎる」そんな経験はありませんか。

A17 Proチップの圧倒的な性能が話題になった一方で、充電中の発熱やフレームレート低下を指摘する声も少なくありません。実際に表面温度が48℃近くまで上昇したという検証結果や、長時間プレイでFPSが大きく低下するテストも報告されています。

本記事では、iPhone 15 Proシリーズで起きる“充電しながら使うと遅くなる”現象について、チップの構造、バッテリーの仕組み、チタンフレームの特性、iOSの電力制御までをわかりやすく解説します。さらに、今日から実践できる具体的な発熱対策も紹介しますので、快適に使い続けたい方はぜひ最後までご覧ください。

iPhone 15 Proで起きている「充電中の性能低下」とは何か

iPhone 15 Proで話題になっている「充電中の性能低下」とは、故障ではなく熱から本体を守るために意図的に性能を下げる仕組みが強く働く現象のことです。

特に、充電ケーブルをつないだまま高負荷なゲームをすると、数分〜十数分でカクつきや画面の暗さを感じるケースがあります。これはサーマルスロットリングと呼ばれる制御です。

海外メディアNotebookCheckによれば、ゲーム中のiPhone 15 Pro Maxは表面温度が約48℃近くに達し、その過程でクロック周波数が抑えられる挙動が確認されています。

充電中は「SoCの発熱」と「バッテリーの発熱」が同時に起こるため、通常使用よりも温度が急上昇しやすいのが最大のポイントです。

まず、心臓部であるA17 Proは3nmプロセスで作られた高性能チップです。高精細ゲームではCPU・GPU・Neural Engineが同時に動き、短時間で大きな熱を出します。

そこに充電が加わると、リチウムイオンバッテリー内部でも発熱が発生します。Battery Universityが解説している通り、電流が流れると内部抵抗によってジュール熱が生じます。

急速充電では電流が大きくなるため、その分だけ発熱も増えます。つまり本体内部で「二重の熱源」が動いている状態になります。

状態 主な発熱源 体感への影響
通常のゲーム SoC(CPU/GPU) 長時間で徐々に熱くなる
充電のみ バッテリー・電源回路 背面が温かくなる
充電+高負荷ゲーム SoC+バッテリー 急激な発熱・FPS低下・輝度制限

温度が一定の閾値に近づくと、iOSは自動的に性能を抑えます。具体的には、フレームレートが60FPSから30FPS以下に落ちたり、画面輝度が強制的に下がったりします。

さらにAppleのサポート情報でも説明されているように、温度が高すぎる場合は「充電保留中」と表示され、充電自体が一時停止することもあります。

ここで重要なのは、これは不具合ではなく安全機能が正しく働いている結果だという点です。高温状態を放置すると、バッテリー劣化や部品損傷のリスクが高まります。

ライトユーザーの方にとっては「なぜ急に重くなるの?」と感じるかもしれませんが、実際にはスマホが自分自身を守るためにブレーキをかけている状態です。

とくに夏場や、MagSafeなどのワイヤレス充電を併用している場合は、熱がこもりやすくなります。その結果、性能低下がより早く体感されることがあります。

つまりiPhone 15 Proの「充電中の性能低下」とは、高性能化したチップと急速充電がもたらす発熱が重なり、熱の限界に達する前に自動で出力を抑える仕組みが前面に出る現象なのです。

A17 Proと3nmプロセスの進化が生んだ“熱密度”という課題

A17 Proと3nmプロセスの進化が生んだ“熱密度”という課題 のイメージ

iPhone 15 Proに搭載されたA17 Proは、業界初の3nmプロセスで製造されたチップです。一般的に「微細化=省電力で発熱も少ない」と思われがちですが、実際はもう少し複雑です。

たしかにトランジスタ1個あたりの消費電力は下がります。しかし、A17 Proには約190億個ものトランジスタが、非常に小さなシリコン上に詰め込まれています。その結果生まれるのが「熱密度の上昇」という新たな課題です。

つまり、発生する熱の“総量”だけでなく、どれだけ狭い面積に熱が集中するかが問題になるのです。

項目 A16(4nm) A17 Pro(3nm)
製造プロセス 4nm 3nm
トランジスタ数 非公表(前世代) 約190億個
特徴 高性能・高効率 さらに高密度・高性能化

半導体の専門家の間でも、微細化が進むほど「パワー密度」が上昇しやすいことは広く知られています。高性能化と引き換えに、チップ内部で局所的なホットスポットが発生しやすくなるのです。

特に負荷がかかるのがGPUです。iPhone 15 Proはハードウェアレイトレーシングに対応し、コンソール級ゲームをネイティブで動かせることを強みとしています。しかしレイトレーシングは演算量が非常に多く、GPUがフル稼働状態になります。

さらに、MetalFXによるアップスケーリング処理ではNeural Engineも動員されます。CPU・GPU・NPUが同時に高負荷で動くことで、チップ全体が一気に発熱源へと変わります。

海外レビューサイトNotebookCheckの検証では、高負荷ゲーム中に表面温度が約48℃付近に達し、そこから急激にパフォーマンスが低下する様子が報告されています。これは故障ではなく、サーマルスロットリングという保護機能が働いた結果です。

イメージとしては、高性能スポーツカーのエンジンを小さなボンネットに押し込んだ状態に近いです。瞬間的な加速力は抜群ですが、冷却が追いつかなければ出力を抑えざるを得ません。

3nm化は性能の飛躍をもたらしましたが、同時に“熱をどう逃がすか”という難題も大きくしたのです。ライトユーザーであっても、高画質ゲームや動画編集などを行う場面では、この熱密度の影響を体感する可能性があります。

高性能化の裏側には、常に物理法則とのせめぎ合いがあります。A17 Proは確かにモバイルチップの最前線ですが、その進化は「熱」という新たな壁と表裏一体なのです。

レイトレーシングとMetalFXがもたらす高負荷の実態

iPhone 15 Proの大きな進化ポイントが、ハードウェアレイトレーシングとMetalFXです。どちらも“映像を劇的に美しくする技術”ですが、その裏側では想像以上に重い処理が走っています。

とくにAAAタイトル級のゲームでは、GPUだけでなくCPUやNeural Engineまで同時にフル稼働し、SoC全体が巨大な発熱源になります。ここがライトユーザーにとっての落とし穴です。

レイトレーシングとMetalFXの負荷構造

技術 主な役割 負荷が集中する部分
レイトレーシング 光の反射・影を物理的に計算 GPU(演算ユニット)
MetalFX 低解像度から高精細に補完 GPU+Neural Engine

レイトレーシングは、光の反射や屈折をリアルタイムで追跡する処理です。従来のラスタライズ方式より計算量が桁違いに多く、GPUコアが高クロックで動き続けます。

さらにMetalFXは、内部解像度を抑えつつ高精細に見せるアップスケーリング技術です。対応タイトルでは画質向上が確認されていますが、Wccftechの検証によれば、MetalFX有効時は消費電力とフレームドロップが増加するケースも報告されています。

つまり画質を上げるほど、GPUとNeural Engineが同時に働き続ける構造になっているのです。

レイトレーシング+MetalFX=高画質だが、発熱と電力消費も跳ね上がる

実際、NotebookCheckのテストでは高負荷ゲーム時に表面温度が約48℃に達し、フレームレートが急落する現象が確認されています。これは性能不足ではなく、サーマルスロットリングが作動した結果です。

ライトユーザーの方は「最新チップなのにカクつく」と感じるかもしれませんが、原因は処理能力の限界ではなく、熱の限界にあります。

しかもこれらの処理は短時間のベンチマークでは目立ちません。問題になるのは15分、20分と続けたときです。GPUが高負荷を維持し続けることで熱が蓄積し、一定温度に達するとクロックが下げられます。

結果として、最初は滑らかでも徐々にFPSが30台へ落ち込み、輝度も抑えられます。見た目のリアルさと引き換えに、持続性能が削られていく構図です。

レイトレーシングとMetalFXは確かに次世代体験をもたらしますが、モバイルという限られた放熱環境では常に“熱との戦い”になります。高画質設定を選ぶということは、同時に発熱リスクも選んでいるということなのです。

なぜ充電しながら使うと特に熱くなるのか――バッテリー内部の仕組み

なぜ充電しながら使うと特に熱くなるのか――バッテリー内部の仕組み のイメージ

充電しながらゲームをすると、なぜ一気に熱くなるのでしょうか。ポイントは、スマホの中で「充電」と「放電」が同時に起きていることにあります。

iPhoneに使われているリチウムイオンバッテリーは、充電時も放電時も、内部で必ず熱を生みます。これは故障ではなく、電池の仕組みそのものによる現象です。

米Battery Universityの解説によれば、バッテリーには「内部抵抗」があり、電流が流れるたびにジュール熱が発生します。電流が大きいほど発熱は増え、しかも発熱量は電流の二乗に比例します。

つまり、高負荷ゲームで大量の電力を使いながら、急速充電で強い電流を流すと、バッテリーは内側から二重に熱せられることになります。

状態 バッテリー内部で起きていること 発熱の要因
ゲーム中(放電) 化学エネルギーを電気に変換 大電流による内部抵抗熱
充電中 電気を化学エネルギーに変換 充電電流による内部抵抗熱
同時使用 充電と放電が並行 両方の熱が重なる

さらに見落とされがちなのが、バッテリーとSoC(A17 Pro)が物理的に近い位置にあることです。お互いの熱が影響し合う「熱結合」が起こり、温度上昇が加速します。

Appleのサポート情報でも、一定温度を超えると充電を一時停止する「Thermally Limited Charging」が作動すると説明されています。これは安全のための正常な制御です。

また、充電方式によっても内部発熱の大きさは変わります。ChargerLABなどの検証では、20W以上のUSB-C急速充電ではピーク入力が約27Wに達することが確認されています。

電力が大きいということは、バッテリーに流れ込む電流も大きいということです。結果として内部抵抗による発熱も増えます。

ワイヤレス充電の場合は事情がさらに複雑です。電磁誘導によるエネルギー変換ロスが熱となり、コイル自体も発熱します。背面に密着するため放熱も妨げられやすいのです。

充電中の発熱+ゲーム中の発熱+変換ロスの熱。この三重構造が「充電しながらだと特に熱い」正体です。

加えて、バッテリーは使うほど劣化します。MDPIに掲載された研究でも、経年劣化により内部抵抗が増大することが示されています。

内部抵抗が増えれば、同じ電流でもより多くの熱が出ます。つまり、購入直後よりも、数年使った端末のほうが充電中に熱くなりやすい傾向があります。

充電しながらの高負荷利用は、バッテリーにとってもっとも厳しいシナリオの一つです。熱くなるのは偶然ではなく、電気化学の原理に基づいた必然的な結果なのです。

USB-C急速充電とMagSafe充電の発熱リスクの違い

充電しながらゲームをするとき、USB-C急速充電とMagSafe充電では発熱リスクに明確な違いがあります。どちらも便利ですが、熱の観点では同じではありません。

ポイントは「電力の入り方」と「熱の逃げ方」です。ここを理解すると、なぜ体感温度やパフォーマンスに差が出るのかが見えてきます。

項目 USB-C急速充電 MagSafe充電
最大出力 約20〜27W 最大15W
充電効率 高い(有線) 有線より低い(無線)
主な発熱源 バッテリー内部抵抗・PMIC 変換ロス+コイル発熱+内部抵抗
放熱への影響 背面は開放 背面を物理的に覆う

USB-C急速充電は最大27W前後で一気に電力を流します。電流が大きいほど、バッテリー内部抵抗によるジュール熱は増えます。Battery Universityが解説している通り、発熱は電流の二乗に比例します。つまり急速充電は「短時間で多く充電できる代わりに、内部発熱は増えやすい」仕組みです。

実際にChargerLABの充電レビューでも、高出力充電時は低出力時より筐体温度が高くなる傾向が確認されています。ゲームのように放電も同時に行うと、充電と放電の熱が重なります。

一方でMagSafeは最大15Wと出力自体は低めです。しかし油断はできません。電磁誘導によるワイヤレス充電は、有線よりエネルギー変換効率が低く、ロスした分が熱になります。EcoFlowの解説でも、有線の方が効率面で有利とされています。

さらに重要なのが、MagSafeは充電パッドが背面に密着することで放熱を物理的に妨げる点です。コイル自体の発熱も加わり、内部と外部の両方から温度が上がりやすい構造になります。

ゲーム中の発熱リスクは「出力の高さ」だけでなく、「変換ロス」と「放熱の妨げ」が大きく影響します。

つまりUSB-C急速充電は「高出力ゆえの内部発熱型」、MagSafeは「効率ロス+放熱阻害型」と性質が異なります。体感的にMagSafeのほうが本体がじんわり熱くなりやすいのは、この構造的な理由によるものです。

Appleのサポート情報でも、温度が上がると充電速度を制限する「サーマルリミット充電」が働くと説明されています。特にワイヤレス充電中はこの制御が発動しやすく、結果として充電が止まったり、パフォーマンスが落ちたりします。

ライトユーザーの方でも、動画視聴や軽いゲームをしながら充電する場面は多いはずです。長時間プレイするなら、発熱リスクの観点ではUSB-C有線のほうがまだ安定しやすく、MagSafeは“ながら高負荷”用途には不向きと言えます。

便利さを取るか、熱リスクを抑えるか。この違いを知っておくだけで、iPhoneの快適さは大きく変わります。

バイパス給電がないことの影響と他社ゲーミングスマホとの違い

iPhone 15 Proシリーズが充電しながらの長時間プレイに弱い最大の理由のひとつが、ユーザーが選択できる「バイパス給電」機能を備えていないことです。

バイパス給電とは、充電器からの電力をバッテリーを経由せず、そのままSoCやディスプレイに直接供給する仕組みです。ASUS ROG Phoneや一部のSamsung Galaxyでは設定から有効化でき、ゲーム時の発熱を大きく抑える切り札になっています。

項目 iPhone 15 Pro 一部Androidゲーミング機
バイパス給電 非対応 対応(設定で有効化)
充電中の電力経路 バッテリーを介する バッテリーを介さず直接給電可能
ゲーム時の発熱源 SoC+バッテリー 主にSoC

Apple Supportコミュニティでも言及されている通り、現行のiPhoneでは充電とシステム給電が同時に行われる構造です。そのため、ゲームで大量の電力を消費しながら充電も進めると、「放電による発熱」と「充電による発熱」が同時発生します。

リチウムイオン電池は内部抵抗によってジュール熱を生みます。Battery Universityの解説によれば、内部抵抗が高いほど発熱は増え、充放電を同時に行う状況は熱的に不利です。つまりiPhoneは構造上、熱源をひとつに絞れません。

一方、バイパス給電対応機ではゲーム中にバッテリーの充放電をほぼ止められます。結果として、発熱源はSoC中心になり、冷却設計が有効に機能します。ベンチマーク動画やストレステストでも、対応機は充電しながらでもフレームレートの維持時間が長い傾向が報告されています。

ここがライトユーザーにとって重要なポイントです。「同じ高性能チップ」でも、給電設計が違うだけで体感は大きく変わるのです。

iPhoneでは温度が上昇すると、輝度低下やフレームレート制限、さらには「充電保留中」の表示が出ることがあります。これは故障ではなく、Appleが安全性を最優先にした結果です。しかしゲーミング用途では、その安全設計がパフォーマンス制限として体感されます。

特に夏場やMagSafe併用時は、熱が逃げにくい状態が重なり、サーマルスロットリングが早期に発動しやすくなります。バイパス給電があれば切り離せるはずの熱源を、iPhoneは構造上抱え続けるわけです。

結論として、iPhone 15 Proシリーズは瞬間的な性能は非常に高いものの、充電しながら長時間プレイする設計思想ではないという点が他社ゲーミングスマホとの決定的な違いです。日常利用では問題になりにくいですが、据え置き機のように電源につないで遊ぶスタイルでは差がはっきり表れます。

チタンフレームは放熱に不利?素材と冷却構造の観点から検証

iPhone 15 Proシリーズで採用されたチタンフレームは、高級感と軽量化という大きなメリットがあります。一方で「チタンは放熱に不利では?」という声も少なくありません。

ここでは素材の物性と、実際の冷却構造の両面から冷静に検証していきます。

素材 熱伝導率(W/m·K) 特徴
アルミニウム合金 約210 非常に熱を伝えやすい
ステンレス 約15 中程度
チタン合金(Ti-6Al-4V) 約6.7〜17 熱を伝えにくい

材料工学のデータによれば、チタンの熱伝導率はアルミニウムの10分の1以下です。つまりチタンは「熱を外へ逃がす素材」としては優秀ではありません

外装がチタンになることで、内部で発生した熱がフレームを通じて外気へ拡散するスピードは理論上遅くなります。

では、iPhone 15 Proは単純に不利な設計なのでしょうか。実際はもう少し複雑です。

Appleは外装をチタンにしつつ、内部フレームには再生アルミニウムを採用し、固相拡散接合という技術で密着させています。これは内部で発生した熱をまずアルミ側で広げ、その後に外装へ伝える構造です。

それでも最終的にユーザーの手や空気に触れるのはチタン部分です。出口が狭くなれば、内部温度が高止まりしやすいのは物理法則どおりです。NotebookCheckの報告では、高負荷時に表面温度が48℃近くに達したケースも確認されています。

さらに重要なのが冷却方式です。分解レポートによると、iPhone 15 Proは主にグラファイトシートで熱を拡散しています。グラファイトは面方向には熱を広げられますが、近年Androidの一部機種が採用するベイパーチャンバーのように、相変化で大量の熱を高速移動させる仕組みは搭載されていません。

そのため瞬間的なピーク性能は高くても、長時間の高負荷では熱が飽和しやすい傾向が出やすくなります。

一方で、チタンには強度が高く、薄くできるという利点があります。筐体を軽量化しつつ耐久性を確保できるため、トータル設計としては合理的な選択でもあります。

つまり「チタン=悪」ではなく、高性能SoCとファンレス構造という前提の中では、放熱面で厳しい条件になるというのが正確な理解です。

ライトユーザーであれば通常利用で深刻な問題になることは多くありません。しかし、充電しながら高負荷ゲームを長時間行うような使い方では、素材特性と冷却構造の限界が表面化しやすいのです。

iOSのサーマル制御とゲームモードの限界

iPhoneの発熱対策は、ハードだけでなくiOS側の制御にも大きく依存しています。ですが、**iOSのサーマル制御はあくまで「安全最優先」**であり、ゲーム体験を守るための専用設計ではありません。

Appleのサポート情報によれば、iPhoneは内部温度が上昇すると自動的にパフォーマンスや充電速度を制限し、必要に応じて充電を一時停止します。これは故障ではなく、バッテリーやSoCを保護するための正常な動作です。

実際に高負荷ゲーム中には、次のような優先順位で制御が行われます。

優先度 制御対象 ユーザー体感
最優先 安全性確保(温度上限) 強制的な性能低下・充電停止
ディスプレイ輝度 画面が暗くなる
CPU・GPUクロック FPS低下・カクつき

つまり、**ゲームの快適さは常に「切り捨て候補」**になります。ユーザーが60FPS維持を望んでも、温度が閾値に近づけば容赦なくクロックは下げられます。

iOS 17初期には一部アプリとの競合による異常発熱が報告されましたが、これはアップデートで修正されました。ただしそれはバグの是正であって、物理的な放熱能力が向上したわけではありません。

iOS 18で導入された「ゲームモード」は、バックグラウンド処理を抑え、Bluetooth遅延を減らし、リソースをゲームに集中させる機能です。YouTubeの検証テストでは、短時間の安定性は向上する一方で、長時間プレイでは筐体温度が45℃前後で高止まりする傾向も確認されています。

ここが重要なポイントです。**ゲームモードは「冷やす機能」ではなく、「性能を優先する機能」**です。その結果、発熱そのものは増えやすく、最終的には従来と同じようにスロットリングが発動します。

一部のiOSベータ版ではスロットリングの閾値がわずかに緩和されたとの報告もありますが、これはソフトウェアで許容温度を微調整しているに過ぎません。筐体や冷却構造が変わらない限り、熱の総量という物理的制約は超えられません。

特に充電しながらのゲームでは、Appleが説明している「Thermally Limited Charging」が発動し、充電速度を落とすか停止する挙動が見られます。これはバッテリー保護のためであり、ユーザー側で完全に解除する方法は用意されていません。

結局のところ、iOSのサーマル制御は非常に高度ですが、**ファンレス構造と内部発熱の総量という壁を越えることはできない**のが現実です。ゲームモードをオンにしても万能ではなく、長時間の高負荷プレイでは物理法則が最終的な支配者になります。

GalaxyやROG Phoneとの比較で見える冷却設計の差

ここでGalaxyやROG Phoneと比べてみると、iPhone 15 Proの“冷却思想”の違いがよりはっきり見えてきます。

同じハイエンドSoCを搭載していても、長時間ゲームをしたときの安定感には差があります。その背景にあるのが、ハードウェアレベルの冷却設計です。

機種 主な冷却機構 給電機能
iPhone 15 Pro グラファイトシート中心 バイパス給電なし
Galaxy S23/S24 Ultra 大型ベイパーチャンバー バイパス給電対応
ROG Phone ベイパーチャンバー+外付けファン 完全バイパス給電対応

最大の違いは、ベイパーチャンバーの有無です。GalaxyやROG Phoneは、内部に液体を封入した薄型ヒートパイプ構造を採用し、気化と凝縮のサイクルで熱を素早く拡散させます。

YouTube上のストレステストでは、同じゲームを高画質設定で20分以上プレイした場合、iPhone 15 Pro Maxは序盤こそ高FPSを記録するものの、時間経過とともにフレームレート低下が大きい傾向が報告されています。一方、Galaxy S23 Ultraは低下はあるものの比較的粘る挙動を見せています。

iPhoneは「瞬間最大性能重視」、GalaxyやROG Phoneは「持続性能重視」という設計思想の違いが見えてきます。

さらに決定的なのが、バイパス給電の存在です。SamsungやASUSは、充電中でもバッテリーを介さずにシステムへ直接給電する機能を用意しています。これにより、充電由来の内部抵抗発熱を抑えられます。

Apple Support Communityでも確認できるとおり、iPhone 15シリーズにはユーザーが有効化できるバイパス給電モードはありません。充電しながら高負荷をかけると、バッテリー発熱とSoC発熱が同時に起きる構造です。

ROG Phoneに至っては、外付けクーラーファンを前提に設計されており、物理的に熱を排出する“拡張型冷却”という発想です。これは一般的なスマホとは思想がまったく異なります。

素材面でも違いがあります。iPhone 15 Proはチタン外装を採用していますが、チタンの熱伝導率はアルミニウムより大きく劣ります。技術系メディアでも指摘されているように、外装が放熱経路としてはやや不利になる可能性があります。

冷却機構・給電設計・素材選択まで含めて、ゲーミング志向のAndroid機は“熱と戦う前提”で作られているのに対し、iPhoneは総合バランス型という位置づけです。

ライトユーザーにとっては大きな問題にならない場面も多いですが、「充電しながら長時間ゲーム」という使い方を想定するなら、この冷却設計の差は無視できないポイントになります。

今日からできる発熱・スロットリング対策とおすすめ運用法

充電しながらゲームをすると急にカクつく、画面が暗くなる──それは故障ではなく、48℃前後で作動するとされるサーマルスロットリングが働いているサインです。Notebookcheckの検証でも、高負荷時に表面温度が約48℃に達し性能が急落する挙動が報告されています。

では、今日から何を変えればいいのでしょうか。ポイントは「熱を増やさない」「熱を逃がす」「熱がこもる状況を避ける」の3つです。

最も効果が高いのは「MagSafeを使いながらの高負荷プレイをやめる」ことです。ワイヤレス充電は変換ロスが熱になり、さらに背面をふさいで放熱を妨げます。

充電方法ごとの熱リスクを整理すると次の通りです。

充電方法 最大出力 発熱傾向 ゲーム中の推奨度
USB‑C(20W以上) 約27W 高い
MagSafe(15W) 15W 非常に高い ×
USB‑C(5〜10W) 5〜10W 比較的低い

ChargerLABなどの充電レビューでも、高出力充電時は筐体温度が大きく上がる傾向が確認されています。長時間プレイする日は、あえて5〜10W程度の低出力アダプタを使うだけでも温度上昇を緩やかにできます。

次に「物理的に冷やす」工夫です。ケースを外すだけでも数℃変わることがあります。さらに背面ファンやペルチェ式クーラーを使うと、スロットリング開始までの時間を大きく延ばせます。実機検証動画でも、外付けクーラー使用時はFPS低下が遅れる傾向が示されています。

設定面では、画質とフレームレートを少し下げるのが現実的です。最高画質60FPSよりも、中画質60FPSや高画質30FPSの方がGPU負荷が安定し、結果的に体感は滑らかになります。MetalFX対応タイトルではアップスケールを活用するのも一案ですが、負荷増大の報告もあるため状況に応じて切り替えてください。

さらに、設定の「充電上限80%」を有効にすると、満充電付近での発熱ストレスを避けられます。Appleのサポート情報でも、温度が高い場合は充電が制限されると明記されています。

理想は「事前に充電を済ませ、涼しい室内で、ケースを外し、必要なら外部冷却を使う」運用です。少しの工夫で、A17 Proの本来のパフォーマンスをより長く引き出せます。

参考文献