Appleがエントリーレベルの新型iPad(2025)を発表した。搭載チップはA16に刷新され、ストレージは最低128GBに増量。それでも価格は据え置きの349ドルからとなっている。しかし、多くのユーザーが期待したAI機能「Apple Intelligence」には非対応。
デザインやディスプレイ、バッテリー持続時間は前モデルとほぼ同じ。目立つ変更点は、物理SIMスロットが廃止されeSIM専用になったことと、処理速度の向上程度にとどまる。2022年モデルからの買い替えは微妙だが、旧世代iPadを使っているユーザーには魅力的な選択肢となりそうだ。
新型iPadの進化はA16チップのみ スペック比較で見える違い

新型iPad(2025)はA16チップを搭載し、前モデルのA14 Bionicから処理能力が向上した。Appleによれば、A16はA14と比較して約30%高速で、2021年の第9世代iPadと比べると50%のパフォーマンス向上が見込めるという。また、RAMも4GBから6GBに増量され、アプリのマルチタスクや高負荷処理がよりスムーズになっている。
一方で、その他のスペックは2022年モデルとほぼ変わらない。ディスプレイは「11インチ」と表記されているが、実際のサイズは10.86インチで、解像度や輝度も同じ。リアカメラは12MPのままだが、Smart HDR 4に対応し、より鮮明な写真が撮影可能になった。物理SIMスロットが廃止され、eSIMのみになった点も変化の一つだが、ユーザー体験に大きな影響を与えるものではない。
スペックの違いを総合的に見ると、処理能力向上とストレージ増加を除けば、新型iPadは2022年モデルと大きな違いがない。価格も据え置きの349ドルからとなっており、コストパフォーマンスの観点では悪くない。しかし、ハードウェア面での進化が最小限にとどまっていることを考えると、すでに2022年モデルを使用しているユーザーにとっては買い替える決定的な理由にはならないだろう。
Apple Intelligenceは非対応 エントリーモデルが抱える制約
今回のiPad(2025)は、Appleが発表したAI機能「Apple Intelligence」には対応していない。Apple IntelligenceはiPad ProやiPad Airなどの上位モデルに導入され、生成AIによるスマートな補助機能が利用できる。しかし、A16チップを搭載しているにもかかわらず、新型iPadではAI機能が使えない。
Appleがこの判断を下した理由の一つは、エントリーモデルの価格を抑えるためと考えられる。AI機能をフル活用するには高い処理能力と専用のハードウェアが必要になり、それを低価格のiPadに搭載するのはコスト面で難しいのかもしれない。
また、エントリーモデルの主なターゲットは学生や教育機関であり、AI機能がなくても基本的な学習用途には十分対応できるという判断も影響している可能性がある。ただし、Apple Intelligenceが今後のiPadOSの主要機能になっていくとすれば、このエントリーモデルの立ち位置は難しくなる。
上位モデルとの格差が広がり、より多くのユーザーがAI機能のあるモデルを求めるようになれば、次の世代ではAI対応が求められるかもしれない。現時点では、シンプルなタブレットとしては十分な性能を持つが、将来的に物足りなさを感じる可能性もある。
2022年モデルからの買い替えは必要か? 判断ポイントを整理
新型iPad(2025)の購入を検討する際、最も重要なのは「2022年モデルからの買い替えが必要かどうか」だ。今回のアップグレードで主な変更点は、A16チップの搭載と最低ストレージが128GBに増えたこと。逆に、デザインやディスプレイ、バッテリー持続時間などはほぼ同じで、Apple Intelligenceにも対応していない。
もし現在64GBのiPad(2022)を使っていて、ストレージ不足を感じているなら、新型の128GBモデルは魅力的な選択肢になる。しかし、すでに256GBモデルを持っているなら、性能差だけでは買い替えの決め手にはなりにくい。
一方、旧世代のホームボタン付きiPad(第9世代以前)を使っている場合、新型iPadは大幅な進化となる。全面ディスプレイやUSB-Cポートの採用、処理能力の向上により、より快適な使用感が得られるだろう。特に、A16チップは数年先まで快適に動作する可能性が高く、長く使いたいユーザーにとっては良い選択肢となる。
結論として、2022年モデルのユーザーにとっては買い替えの優先度は低い。しかし、より古いiPadを使っている人や、ストレージ不足に悩んでいる人にとっては、コストパフォーマンスの良い選択肢となるだろう。
Source:Digital Trends