AMDが次世代のRyzen Z2シリーズハンドヘルドAPUを発表した。ラインアップには、Z2 Extreme、Z2、そしてエントリーレベルのZ2Gが含まれており、それぞれ異なるGPUアーキテクチャとCPUコア構成を持つ。特にZ2 Extremeは、RDNA 3.5グラフィックスコアとZen 5アーキテクチャを搭載し、次世代ゲーミングハンドヘルド市場に向けた最上位モデルとなる。

AMD、Z2シリーズAPUの詳細を公開

AMDは次世代ハンドヘルドAPUである「Ryzen Z2」シリーズを発表し、ゲーミングデバイス市場に新たな風を吹き込む準備を進めている。今回のラインアップには、最上位モデルの「Z2 Extreme」、標準モデルの「Z2」、そしてエントリーモデルの「Z2G」が含まれており、それぞれが異なるアーキテクチャを採用している。これにより、さまざまなニーズに応じた選択肢が提供される。

特に注目すべきは、これらのAPUが最大で12基のGPUコアを搭載し、RDNA 3やRDNA 2といった最新のグラフィックスアーキテクチャを採用している点である。Z2シリーズは、AMDのZenアーキテクチャと組み合わせることで、従来のRyzen Z1シリーズを大きく上回るパフォーマンスを実現している。これにより、ゲーミングデバイスの進化が加速し、ユーザー体験が飛躍的に向上すると期待されている。

これまでAMDは、ハンドヘルドゲーミング市場においてIntelに対して優位な立場を維持してきたが、今後はIntelの新世代チップ「Lunar Lake」との競争が激化すると予想される。この激戦区において、Z2シリーズがどのような成果を上げるかが注目される。

Z2 Extreme:RDNA 3.5アーキテクチャとZen 5コア搭載

最上位モデルの「Z2 Extreme」は、RDNA 3.5アーキテクチャを採用し、最大12基のGPUコアを搭載している。このAPUは、Zen 5とZen 5Cコアの組み合わせによって、圧倒的なパフォーマンスを発揮することが期待されている。特に、RDNA 3.5は従来のRDNA 3からさらなる性能向上を果たし、高解像度かつ高フレームレートでのゲーミングを可能にする。

当初、AMDはZ2 Extreme Xという16基のGPUコアを搭載したモデルを計画していたが、最終的には12コア版のZ2 Extremeに統一された。この変更により、性能と消費電力のバランスが最適化されている。さらに、Strix Pointと呼ばれるプロセッサ構造を採用し、最先端の4nmプロセス技術によって製造されている。

このZ2 Extremeは、2025年上半期に市場投入される予定であり、次世代のゲーミングハンドヘルド機器において、トップレベルのパフォーマンスを提供する存在となるだろう。特に、ハイエンドユーザーやプロゲーマー向けに開発されていることから、今後の展開が非常に注目されている。

Z2G:エントリーレベルのハンドヘルド向けチップ

「Z2G」は、エントリーレベルのゲーミングデバイス向けに設計されたAPUであり、コストパフォーマンスに優れた選択肢となっている。このモデルは、Zen 3+コアをベースにしており、グラフィックスアーキテクチャにはRDNA 2が採用されている。RDNA 3やRDNA 3.5を採用する上位モデルとは異なるが、依然として最大12基のGPUコアを搭載し、十分な性能を提供する。

Z2Gは、より低消費電力の設計となっており、9Wから30Wの範囲でTDPが調整される。このため、バッテリー寿命を重視した小型のハンドヘルドデバイスや、コストを抑えた製品に最適である。また、製造には6nmプロセス技術が採用されており、これもコスト削減の要因となっている。

RembrandtアーキテクチャをベースにしたこのAPUは、ゲーミングだけでなく、エントリーレベルのクリエイティブ用途や軽量な作業にも対応できる性能を持つ。これにより、AMDはあらゆる価格帯のゲーミング市場を網羅することを目指している。

インテルとの競争が激化する市場

現在、ハンドヘルドゲーミング市場においてAMDは圧倒的なシェアを誇っているが、今後はインテルとの競争が激化することが予想される。インテルは次世代のLunar Lakeシリーズを投入し、「Core Ultra 200V」などの新しいSoCを2025年初頭にリリースする予定である。これにより、AMDがリードしている市場での地位に変化が生じる可能性がある。

特に、インテルのLunar Lakeシリーズは、より高性能なGPUとCPUを組み合わせたSoCとして期待されており、ゲーミングだけでなく、より広範な用途での性能向上が図られる。この動きに対抗して、AMDのZ2シリーズはさらなる進化を遂げる必要がある。

今後、AMDとインテルの競争は、消費者にとっては技術革新の恩恵を受ける機会でもある。どちらの企業も、新しいプロセッサやグラフィックス技術を搭載したデバイスを市場に投入することで、ゲーミング体験を大きく変えることが期待される。