2024年第3四半期、ウェアラブル市場に大きな変化が訪れた。IDCの最新報告によると、リスト型デバイス全体の出荷台数は前年比でわずかに減少する中、HUAWEIがAppleを抜いて首位に立つという歴史的な動きを見せた。
同社の出荷台数は前年同期比44.3%増と驚異的な成長を記録し、アジア太平洋や中東地域での戦略が成功の鍵とされる。一方、スマートウォッチ市場全体の減少傾向が浮き彫りとなる中、フィットネスバンド市場が堅調に成長を続けている。この動きは競争の新局面を示唆し、今後の市場動向に注目が集まる。
スマートウォッチ市場の縮小とフィットネスバンドの台頭
IDCの報告によると、2024年第3四半期のスマートウォッチ市場は全体的に減少傾向を示した。1億1,220万台の出荷台数は前年同期比で3.8%減少しており、市場全体の成長が鈍化していることが明らかとなった。一方で、フィットネスバンド市場は12.7%の成長を見せ、2,680万台の出荷台数を記録。
低価格帯でシンプルな機能を求める消費者層の支持が、この成長を後押ししたと考えられる。これらの動向は、消費者の購買傾向が多機能性から実用性へと変化している可能性を示唆している。また、スマートウォッチのプレミアム市場で競争が激化している中、より手軽に健康管理を始めたい層にはフィットネスバンドが選ばれている。
市場全体の収益は減少しているが、メーカーが異なる顧客層をターゲットに新たな戦略を模索する余地があるといえるだろう。
HUAWEIの戦略的成功の背景
HUAWEIがAppleを抜いて市場首位に立った背景には、新製品の成功と地域ごとの戦略的展開がある。同社はWatch GT 5やGT 5 Pro、Watch D2といった新モデルを発表し、これらが多くの地域で好評を博した。特にアジア太平洋や中東・アフリカ地域での販売が成長を支えたとされる。
2024年第3四半期のHUAWEIの出荷台数は2,360万台に達し、前年同期比で44.3%の増加という驚異的な伸びを見せた。この成功は、単なる製品開発にとどまらず、地域の市場ニーズに応じた価格設定やマーケティングが重要な要因である。
Appleが高価格帯製品に依存している一方で、HUAWEIはミドルレンジやエントリーレベルの市場もカバーしており、この多角的アプローチが競争優位性をもたらしていると考えられる。今後もこうした戦略が維持されるのか注目される。
中国市場の急成長とその影響
世界的に成長が鈍化する中、中国市場が例外的な成長を示している。2024年前3四半期で中国の出荷台数は4,580万台に達し、前年同期比20.1%増加した。特に都市部の消費者をターゲットにした製品やサービスが成功し、国内需要の高まりが他地域の停滞を補う形となった。
この成長は、政府の健康推進政策やテクノロジー製品に対する高い需要によるものとも解釈できる。加えて、XiaomiやBBK(OPPO、OnePlus、Vivoの親会社)といった国内メーカーが高機能かつ手頃な価格の製品を提供し、新興市場での消費者を引き込むことに成功している点も見逃せない。
中国市場の成長が世界市場全体をどこまでけん引できるかは未知数だが、この地域に焦点を当てた戦略が各メーカーの成功にとって鍵となるだろう。競争が激化する中、次の成長の波をつかむためのイノベーションが期待される。