Appleが開発を進めるC1 5GモデムのmmWave(ミリ波)対応版は、2026年まで登場しない見込みだ。アナリストのミンチー・クオ氏によると、iPhone 17シリーズには間に合わず、Appleは引き続きQualcomm製モデムを採用するとされている。
C1モデムは電力効率に優れるものの、現時点ではmmWaveをサポートしていない。Appleは将来的に改良版を投入する可能性が高いが、具体的なスケジュールは不透明だ。なお、製造プロセスは28nmとされており、スマートフォン向けではなくAIサーバー向けに最適化される可能性も指摘されている。
AppleのC1モデム、2026年までmmWave対応なしの理由

Appleが開発中のC1モデムは、低消費電力ながらもmmWave(ミリ波)に対応していない。これにより、次世代の高速通信を求めるユーザーにとってはやや物足りない仕様となる。アナリストのミンチー・クオ氏によると、mmWave対応のC1モデムの登場は2026年以降となり、iPhone 17シリーズには間に合わない見込みだ。
AppleがmmWave対応の開発に時間を要する背景には、ベースバンドチップの製造プロセスが関係しているとみられる。C1モデムは28nmプロセスで製造される可能性が高いとされ、これは最新の3nmプロセスを採用したAシリーズチップとは異なる。ベースバンドチップは、最新プロセスを用いた場合のコストと性能のバランスが取りづらいため、Appleは慎重に開発を進めているのかもしれない。
また、Appleの5Gモデム開発は当初から課題が多かった。特にQualcommとの特許係争や、独自モデムの性能問題が影響している。Appleは2019年にIntelのモデム部門を買収し、自社開発へと舵を切ったものの、mmWaveの実装にはさらなる時間を要することになりそうだ。
iPhone 17シリーズの5G戦略、Qualcommモデムの採用継続
クオ氏の予測によれば、iPhone 17シリーズでは引き続きQualcomm製のモデムが採用される。これは、AppleのC1モデムがmmWaveに対応していないためと考えられる。特に、米国市場ではmmWaveの重要性が高く、Appleが完全に自社製モデムへ移行するには、さらなる開発が必要とされる。
現時点でiPhoneに採用されているQualcommのモデムは、安定した通信性能を誇る。最新のSnapdragon X75やX85は、5G Advancedにも対応し、通信速度や安定性の向上が期待される。一方で、Appleは一部モデルで独自モデムの試験導入を進める可能性も指摘されているが、フルスケールでの置き換えは当面先になりそうだ。
Appleが完全に自社製モデムへ移行するためには、技術的なハードルに加えて、通信キャリアとの調整も重要となる。特に米国ではVerizonやAT&TなどがmmWaveを積極的に展開しており、Appleが自社モデムを導入する際には、その互換性を十分に確保する必要がある。
Appleの5G戦略と今後の展望
Appleは5Gモデムの自社開発を進めているが、業界の動向を考えると、今後の戦略は慎重に進める必要がある。現在のトレンドでは、mmWaveよりも5G Advancedの普及が重視されており、Appleが次に目指すべき技術もこの分野にあるかもしれない。
MWC 2025では、Qualcommが5G Advancedに対応するX85モデムを発表し、T-Mobileがすでに実証実験を開始している。また、Huaweiも次世代通信技術を活用したヒューマノイドロボットを披露し、低遅延通信の新たな可能性を示した。こうした動向を踏まえると、AppleもProモデルを中心に5G Advanced対応を進めていく可能性が高い。
AppleのC1モデムは、まずは4G LTEやSub-6GHz 5Gに最適化されると考えられる。しかし、将来的にはmmWave対応のC2モデムや、それ以上の新技術を搭載したモデルが登場するかもしれない。Appleの5G戦略は依然として流動的であり、今後の技術発展や市場の動向によって方向性が変わる可能性もある。
Source:AppleInsider