Samsungの最新フラッグシップ「Galaxy S25 Ultra」が登場した。前モデルのS23 Ultraと比べ、デザインの微調整、カメラ性能の向上、AI機能の追加など、着実なアップグレードが施されている。しかし、S23 Ultraから買い換える価値があるほどの進化なのかは慎重に見極める必要がある。
S25 Ultraはチップセットの強化により処理能力が向上し、冷却性能の改善も図られた。カメラでは広角と望遠の画素数がアップし、動画撮影のプロ向け機能が追加されている。しかし、Bluetooth対応のSペンが廃止されるなど、改悪と感じられる部分もある。
価格面ではS25 Ultraの値上がりが目立つ一方で、S23 Ultraの市場価格が下がっており、コストパフォーマンスを考慮すると前モデルの選択肢も十分に魅力的だ。本記事では、S25 Ultraの進化点を整理し、どちらを選ぶべきかを検討する。
Galaxy S25 Ultraの進化点 デザインとディスプレイの改良は本当に体感できるか

Galaxy S25 Ultraは、前モデルと同様の四角いフレームを維持しながらも、細かな改良が施されている。最大の変化は本体の重量で、S23 Ultraより約15g軽くなったことで、長時間の使用時に手への負担が軽減される。また、角の形状がわずかに丸みを帯びたことで、グリップ時の快適さも向上した。高級感のあるチタン合金フレームは引き続き採用されており、耐久性とプレミアム感を両立している。
一方で、SペンのBluetooth機能が削除された点は、前モデルのユーザーにとって大きなマイナスといえる。S23 UltraではSペンをリモートシャッターやプレゼン操作に活用できたが、S25 Ultraではこれらの機能が失われた。コスト削減の影響とも考えられるが、ユーザー体験の面では後退しているといえる。
ディスプレイに関しては、6.8インチから6.9インチへとわずかに大型化し、ベゼルが15%狭くなったことで、より没入感のある視聴体験が可能になった。加えて、Gorilla Armor 2の採用により、耐傷性や耐衝撃性が向上している。さらに、反射防止技術の進化により、屋外でも視認性が高まった。ただし、普段使いにおいてこれらの違いを明確に感じられるかは疑問が残る。S23 Ultraのディスプレイも非常に優れているため、劇的な進化とは言い難い。
カメラ性能は進化したのか 望遠レンズの変更と新たな画像処理技術
S25 Ultraのカメラは、メインの200MPセンサーこそ据え置きだが、望遠と超広角カメラがアップグレードされている。特に注目すべきは、ペリスコープ望遠レンズが10MP 10倍ズームから50MP 5倍ズームへと変更された点だ。画素数の向上により、ズーム時のディテール再現度は確実に向上している。しかし、倍率が10倍から5倍に変更されたため、遠距離撮影を多用するユーザーにとっては微妙な選択肢となるかもしれない。
超広角カメラは12MPから50MPへと大幅に向上し、より細部まで鮮明な撮影が可能になった。特に風景やグループショットで恩恵を感じられるだろう。さらに、新たに搭載されたProVisual EngineとSpatio Temporal Filterにより、写真の色再現性やノイズ処理が強化されている。特に肌の色合いがより自然になったとされ、人物撮影において違いを感じる場面が増えると考えられる。
また、S25 Ultraでは動画撮影機能が強化され、8K解像度でのLog撮影に対応した。これは映像制作者向けの機能で、ポストプロダクションでの編集自由度が大幅に向上する。ただし、一般ユーザーが日常的に活用するかというと疑問が残る。S23 Ultraのカメラも依然として優秀であり、通常の撮影では劇的な差を感じるシーンは限られるだろう。
パフォーマンスとAI機能の進化 体感できる違いはあるのか
S25 Ultraでは、最新のSnapdragon 8 Elite for Galaxyを搭載し、前モデルのSnapdragon 8 Gen 2 for Galaxyと比べて処理能力が向上している。特にAI処理やマルチタスクのパフォーマンスが強化され、より快適な動作が期待される。さらに、基本モデルのRAMが8GBから12GBに増強され、負荷の高い作業でもスムーズな動作が可能になった。
冷却性能の向上も見逃せないポイントだ。S25 Ultraは新しいベイパーチャンバーを採用し、長時間の高負荷作業でも安定したパフォーマンスを発揮する。特にゲームや動画編集の際に発熱を抑えられるのは大きな利点だ。しかし、通常のアプリ使用ではS23 Ultraとの差を感じにくい可能性がある。
AI機能の追加もS25 Ultraの特徴の一つだ。新たに導入された「Now Brief」機能は、文章の要点を自動で要約する機能で、情報収集の効率化に役立つ。また、AI検索やGemini AIアシスタントの強化により、よりスマートな操作が可能になった。ただし、これらの機能はAndroid 15とOne UI 7のアップデートによってS23 Ultraにも提供される可能性が高く、S25 Ultraならではの強みとは言い切れない。
結論として、S25 Ultraのパフォーマンスは確かに向上しているが、S23 Ultraでも依然として快適な動作が可能であり、日常使用での違いは限定的といえる。
Source:Tech Advisor