AMDの次世代プロセッサ「Kraken Point」がGeekbenchに登場し、Ryzen AI 5 340として注目を集めている。このチップは、6コアデザインに加え、AI機能に特化したXDNA 2 NPUを搭載し、最大50TOPSの性能を誇る。Zen 5とZen 5cコアを3つずつ組み合わせ、Radeon 840M iGPUを内蔵するが、4つのRDNA 3.5計算ユニットという控えめなGPU性能から、ゲーム向けというよりは汎用用途に適している。
基本周波数は2GHz、12スレッドをサポートし、効率性と性能のバランスが特徴とされる。このプロセッサは手頃な価格帯のAI対応デバイスやメディア用途をターゲットにしていると見られ、2025年のCESでさらなる詳細が発表される可能性が高い。AMDは同シリーズでRyzen AI 7 350などの上位モデルも計画中とされ、低電力で高度なAI性能を実現する次世代CPUへの期待が高まっている。
AMD Ryzen AI 5 340が描くAI対応デバイスの未来
Ryzen AI 5 340は、中低価格帯向けでありながらXDNA 2 NPUを搭載し、AI機能を大幅に強化している。このNPUは最大50TOPSの計算性能を持ち、MicrosoftのCopilot+ AIのような先進的なAI機能をサポート可能だ。これにより、軽量なノートPCやタブレットでも高度なAI処理を実現し、デバイスの用途が広がることが期待されている。
このチップは、Zen 5とZen 5cコアを融合した設計により、効率性と性能を両立している点が特筆される。特にZen 5cコアはIntelのEコアとは異なり、フル機能を保持しているため、性能低下を最小限に抑えつつ低消費電力を実現している。これにより、Ryzen AI 5 340はAIアプリケーションを活用する学生やビジネスパーソンにとっても魅力的な選択肢となる可能性が高い。
AMDは、この製品をCES 2025で正式に発表する可能性が指摘されており、低価格帯デバイスにAI機能を浸透させる戦略が具体化する見込みである。一方で、Intelや他の競合メーカーがこれにどう対抗するのかも注目される。
iGPU性能の限界と多用途デバイスへの展望
Ryzen AI 5 340に搭載されているRadeon 840M iGPUは、わずか4つのRDNA 3.5計算ユニットで構成されている。この構成は、グラフィックス性能を求めるユーザーには物足りないが、一般的なウェブブラウジングやオフィス作業には十分な性能を発揮する。特に、軽量ゲームやレトロゲームエミュレーターを快適に動作させる用途には適しているといえる。
一方、このiGPU構成は、グラフィックス重視の携帯型ゲーム機やクリエイティブ用途には適していない。特に、RDNA 3.5アーキテクチャを用いていながら4基に制限されている点は、デザイン的な妥協があった可能性を示唆している。しかし、これにより冷却装置の要件が低減し、静音性や軽量性の向上に貢献しているという利点もある。
AMDの製品戦略として、このチップはAI対応機能を前面に押し出しながらも、メディアプレイヤーやサブPCとしての役割を狙っている可能性が高い。軽量なデバイス市場でどのような反応が得られるかが今後の焦点となるだろう。
上位モデルRyzen AI 7 350への期待と競合への影響
Ryzen AI 5 340に続く形で、より高性能なRyzen AI 7 350の存在が予測されている。このモデルではZen 5コア4基、Zen 5cコア4基、さらに8つのRDNA 3.5計算ユニットを搭載する可能性が指摘されている。これにより、CPUとGPU性能の両面で顕著な向上が見込まれる。
この上位モデルは、15Wから35Wの電力予算内で動作することが予想され、省電力ながら高性能を実現することを目指している。特に、AMDの効率的なアーキテクチャ設計が、競合他社の製品との差別化ポイントとして機能する可能性が高い。一方で、これが価格にどのように反映されるかは重要な課題となるだろう。
IntelやQualcommも同様にAI機能を搭載したCPUを開発しており、CES 2025では激しい競争が繰り広げられることが予想される。AMDがKraken Pointシリーズで市場にどのようなインパクトを与えるか、今後の動向から目が離せない。