Oppoの新型折りたたみスマートフォン「Find N5」が正式に発表された。超薄型設計と先進技術を搭載しながらも、グローバル市場での展開は見送られ、特にヨーロッパでの発売が行われないことが明らかになった。
さらに、前モデルでOnePlus版としてリリースされた「OnePlus Open」の後継機も登場しないことが確定。OppoとOnePlusが共有する折りたたみスマホ戦略の変更が示唆されている。折りたたみスマホ市場が拡大する中、なぜOppoはグローバル展開を控えたのか。Find N5の特徴とともに、その戦略を探る。
Find N5の耐久性と実用性はどこまで向上したのか
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Oppo Find N5は、折りたたみスマホにおける耐久性の新基準を打ち立てたモデルと言える。特に、Titanium Flexion Hingeの採用により、ヒンジが26%小型化されながらも剛性が向上している点は見逃せない。
また、7000シリーズのアルミニウムフレームを採用し、これまでの折りたたみスマホの弱点だった耐久性が強化されている。これにより、折りたたみ回数が増えてもヒンジの劣化が抑えられ、長期間の使用でも安定した開閉動作が期待できる。
さらに、防水性能に関してもIPX6、IPX8、IPX9を取得しており、折りたたみスマホとしては初の加圧水流や完全水没への耐性を備えた。これにより、日常的な使用においても水濡れによる故障のリスクが低減され、雨の日やキッチンなどの水回りでも安心して使用できる。
ただし、IPX9対応であっても防塵性能は明記されておらず、砂やホコリが多い環境での使用には注意が必要かもしれない。一方で、Find N5の薄型設計が耐久性にどのような影響を与えるのかについては、実機レビューを待つ必要がある。
特に、これまでの折りたたみスマホはヒンジ部分がデリケートで、長期間の使用で隙間にホコリが入り込むことで故障するケースもあった。Find N5では改良されたヒンジ構造によって折り目の目立ちにくさが向上しているが、それが耐久性の向上につながるのかは実際の使用環境での検証が求められるだろう。
Snapdragon 8 Gen 3 Eliteは従来モデルと何が違うのか
Oppo Find N5には、QualcommのSnapdragon 8 Gen 3 Eliteが搭載されている。このチップセットは、通常のSnapdragon 8 Gen 3と比較して、パフォーマンスコアが1つ削減されている点が特徴だ。これは、処理能力の最適化と発熱抑制を目的としたものであり、折りたたみスマホにおいてより安定した動作を実現する狙いがあると考えられる。
通常のSnapdragon 8 Gen 3は、1つの高性能コア(Prime Core)と5つのパフォーマンスコア、2つの効率コアで構成されている。しかし、Elite版ではこのパフォーマンスコアの1つが省かれており、これにより消費電力のバランスが調整されている可能性が高い。
折りたたみスマホはディスプレイのサイズが大きいためバッテリー消費が激しく、発熱も問題となることが多い。Oppoはこの点を考慮し、発熱を抑えつつも十分な処理性能を確保するためにElite版を採用したのではないか。
また、Find N5には16GBのRAMと512GBのストレージが搭載されており、ハイエンドスマホとしては十分なスペックだ。ゲームや動画編集などの負荷が高い作業でも快適に動作することが期待できる。ただし、通常のSnapdragon 8 Gen 3搭載機種と比較してどの程度パフォーマンスに差があるのかは、ベンチマークテストや実際の使用感の報告を待つ必要がある。
Find N5がグローバル展開されない理由を考察する
Oppo Find N5は、中国やシンガポール市場に限定されたリリースとなり、ヨーロッパやアメリカ市場への展開は見送られた。これは単なる販売戦略の問題ではなく、折りたたみスマホ市場の成長戦略や競争環境を反映した判断である可能性がある。
まず、ヨーロッパ市場ではSamsung Galaxy Z FoldシリーズやGoogle Pixel Foldがすでに確固たる地位を築いている。折りたたみスマホ市場は急成長しているとはいえ、依然として一般的なスマートフォンに比べて市場規模が小さく、Samsungのブランド力が強い欧米市場で競争するのは容易ではない。
特に、Samsungはキャリアとの協力を強化し、下取りプログラムや購入補助を提供することで、Foldシリーズの販売を積極的に促進している。このような状況では、新規参入するブランドがシェアを獲得するのは難しいと考えられる。
次に、OnePlus版のFind N5(OnePlus Open 2)がリリースされないことも、Oppoの戦略変更を示唆している。OnePlusはこれまで欧米市場向けにOppoのハードウェアを流用したモデルを展開していたが、今回その動きがないことから、折りたたみスマホ市場での欧米展開を見送る意向が強まっている可能性がある。
これは、開発コストや市場規模を考慮し、リスクを最小限に抑える狙いがあると考えられる。さらに、欧米市場では折りたたみスマホに求められるソフトウェア最適化やアプリの対応が複雑である点も影響しているかもしれない。Samsungは長年にわたり折りたたみディスプレイ向けのソフトウェア最適化を進めており、GoogleもPixel Foldで独自の最適化を施している。
一方、OppoはColorOSをベースに独自のUIを採用しており、欧米市場向けのカスタマイズやソフトウェア開発には追加のリソースが必要になる。これらの要因を総合的に考えると、OppoがFind N5をグローバル展開しなかった理由は、市場の競争状況や開発コスト、販売戦略のバランスを取った結果であると考えられる。
Source:KnowTechie