サムスンの最新チップExynos 2500の量産が開始されたが、同社の半導体製造部門は引き続き低歩留まりの問題を抱えている。Galaxy S25シリーズではSnapdragon 8 Eliteが全面採用されたものの、今夏発売予定のGalaxy Z Flip 7にはExynos 2500が搭載される見込みだ。
しかし、報道によれば、Exynos 2500の歩留まりは50%未満にとどまり、今後の供給安定性に懸念が残る。サムスンはすでに次世代Exynos 2600の開発を進めているが、試作段階での歩留まりは30%とさらに低く、同社のファウンドリー事業の課題は依然として続いている。
Exynos 2500の性能とベンチマーク結果が示す課題
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Exynos 2500はサムスンが開発した最新の10コア構成のAPであり、Cortex-X925を最上位コアとし、パフォーマンス効率を重視したCortex-A725、さらに省電力設計のCortex-A520を組み合わせている。また、AMDとの協業によるXclipse 950 GPUを搭載し、グラフィック処理の向上が期待されている。しかし、GeekbenchのベンチマークテストではSnapdragon 8 Eliteがシングルコア・マルチコアともにExynos 2500を上回っており、サムスン製APの競争力に疑問が生じている。
この結果を踏まえると、Galaxy S25およびGalaxy S25+にSnapdragon 8 Eliteを採用した判断は、パフォーマンス面でも妥当であったと考えられる。特に、Snapdragon 8 Eliteの処理能力は、ゲームや高負荷なマルチタスク処理においてExynos 2500を大きく引き離しており、消費者にとっては最適な選択となったと言える。Exynos 2500の省電力性能や発熱対策についての詳細は明らかになっていないが、もしこの点での最適化が不十分であれば、Galaxy Z Flip 7の実使用環境でも影響が懸念される。
それでも、Exynos 2500がGalaxy Z Flip 7に搭載される見込みであることから、最適化や改良が進められる可能性はある。特に、折りたたみスマートフォンの特性上、発熱や電力効率のバランスが求められるため、サムスンがどのようにExynos 2500をチューニングしていくのかが重要なポイントとなるだろう。
半導体製造の歩留まり問題がExynosシリーズに与える影響
Exynos 2500の最大の課題は、性能だけでなく、製造歩留まりの低さにある。リーカー@Jukanlosreveの情報によれば、Exynos 2500の歩留まりは50%未満とされ、一般的な量産基準である70%を大きく下回っている。これにより、サムスンは当初予定していた生産量を確保するのが難しくなり、Galaxy S25シリーズではSnapdragon 8 Eliteを全面採用する決断を余儀なくされた。
さらに、サムスンの次世代APであるExynos 2600も試験段階での歩留まりが30%と非常に低く、この問題が2026年以降のフラッグシップモデルにも影響を与える可能性がある。もし歩留まりが改善されなければ、Galaxy S26シリーズもSnapdragon 8 Elite 2 for Galaxyが採用されることになるかもしれない。
サムスンが抱えるこの問題は、同社のファウンドリー事業全体にも波及する。特に、3nmプロセスの量産が成功しなければ、将来的に競合であるTSMCとの差がさらに広がる可能性がある。スマートフォン業界において、自社製のAPを安定供給できることは、コスト削減や最適化の面で大きなメリットとなるため、サムスンがどのようにこの課題に対処するかが注目される。
Galaxy Z Flip 7でのExynos 2500採用はリスクかチャンスか
Galaxy Z Flip 7にExynos 2500が採用される可能性があることは、サムスンにとってリスクとチャンスの両面を持つ。低歩留まりの問題が解決しないまま量産が進めば、供給不足や品質のばらつきが発生するリスクがある。一方で、サムスンがこの問題を克服できれば、Exynosシリーズの信頼回復につながる可能性もある。
Galaxy Z Flipシリーズは、折りたたみスマートフォンという特性上、バッテリー容量や発熱管理に厳しい要件が求められる。Exynos 2500がどこまで省電力性能を高め、発熱を抑えられるかが鍵となる。もし最適化が十分に行われず、Snapdragon 8 Eliteとの差が大きくなれば、ユーザーの評価は厳しくなるだろう。
とはいえ、Galaxy Z Flip 7が新たな試みとしてExynos 2500を採用することで、サムスンはAPの改良に向けたフィードバックを得ることができる。これが次世代のExynos 2600やそれ以降のチップに活かされるならば、長期的な視点ではプラスの要素とも言える。問題は、今回のExynos 2500がどの程度の完成度に仕上がるかだ。ユーザーにとっては、単なるスペックではなく、実際の使用感がどうなるかが重要であり、最終的なパフォーマンスと安定性が評価の分かれ目になるだろう。
Source:PhoneArena