2019年2月、サムスンは世界初の本格的なフォルダブルスマートフォン「Galaxy Fold」を発表し、モバイル業界に新たなカテゴリを築いた。従来のスマートフォンの形状を覆すこのデバイスは、初期の耐久性問題を克服しながら進化を続け、現在では「Galaxy Zシリーズ」として定着している。

折りたたみガラスを採用した「Galaxy Z Flip」、世界初の防水対応モデル「Galaxy Z Fold 3」、スリムデザインと強化ヒンジを備えた「Galaxy Z Fold 5」など、サムスンは革新的なアップグレードを重ねてきた。そして2024年、ZシリーズはIP48等級の防水・防塵性能を実現。今後、トライフォールドやより手頃な価格帯のモデルも登場する見込みだ。

フォルダブルスマートフォン市場の先駆者として、サムスンは技術革新を続け、新たなユーザー体験の創造に挑み続ける。

フォルダブル市場の進化を牽引するサムスンの挑戦

サムスンは2019年にGalaxy Foldを発表して以来、フォルダブルスマートフォン市場の最前線を走り続けてきた。その技術革新は、耐久性の向上、防水・防塵対応、ヒンジ機構の改良など、多岐にわたる。特にGalaxy Z Fold 3で実現したIPX8等級の防水性能や、Galaxy Z Flip 5で採用された隙間のないヒンジデザインは、フォルダブルデバイスの実用性を大きく向上させた。

また、フォルダブルガラスの導入や、Sペン対応の拡張など、従来のスマートフォンでは実現できなかった機能が次々と加わっている。これらの技術進化は、折りたたみスマートフォンを単なるコンセプトモデルから、日常使いできるデバイスへと押し上げる重要な要素となった。サムスンが積み重ねてきた改良の軌跡を見れば、フォルダブル市場における同社の影響力の大きさがよくわかる。

さらに、サムスンはフォルダブル技術の新たな方向性として「トライフォールド」デバイスを計画している。2025年には、画面サイズが9.9インチから10インチに達する可能性が示唆されており、これが実現すればスマートフォンとタブレットの境界をさらに曖昧にすることになるだろう。今後、サムスンがどのような技術革新を打ち出すのか、注目が集まる。

サムスンが克服した課題とフォルダブルスマホの未来

Galaxy Foldの初代モデルは、多くの期待を集める一方で、耐久性に関する問題が浮上した。特に、画面保護フィルムの剥がしミスによるディスプレイ破損や、折りたたみ構造の耐久性不足が指摘された。しかし、サムスンはこれらの課題に素早く対応し、わずか4カ月後に改良版を投入。ヒンジ構造を強化し、フィルムの誤剥離を防ぐ設計に変更した。

その後のモデルでは、耐久性をさらに向上させるために、フォルダブルガラスや防水機能を導入。Galaxy Z Fold 3では初のSペン対応を実現し、Z Flip 5ではカバーディスプレイのサイズ拡大によって操作性を大幅に向上させた。これらの改良は、フォルダブルスマートフォンが実用レベルに達するために不可欠だった。

今後、フォルダブルスマートフォンはさらに普及が進むと見られている。特に、耐久性のさらなる向上と、価格の低下が鍵となるだろう。噂されている「Galaxy Z Flip FE」のような手頃な価格帯のモデルが登場すれば、より多くの人がフォルダブルスマートフォンの魅力を体験できるようになる。サムスンが直面する次の課題は、フォルダブル技術をより多くのユーザーに届けることにある。

トライフォールドがもたらす新たなスマートフォン体験

フォルダブルスマートフォンの次なる進化形として、サムスンは「トライフォールド(3つ折り)」デバイスの開発に取り組んでいる。これが実現すれば、1つのデバイスでスマートフォン、タブレット、さらにはノートPCのような用途を兼ねることが可能になる。特に、展開時に約10インチのディスプレイを確保できる点は、ビジネス用途やエンターテインメント用途の拡大につながる。

また、トライフォールドデバイスが市場に投入されれば、従来のフォルダブルスマートフォンとは異なるユーザー層を開拓する可能性がある。例えば、クリエイターやモバイルワーカーにとっては、大画面を持ち運びできることが大きな利点となるだろう。さらに、サムスンがどのようなヒンジ技術を採用し、耐久性を確保するかも注目されるポイントだ。

ただし、トライフォールドが一般的なスマートフォンとして普及するには、デバイスの厚みや重量、価格といった要素の調整が必要になる。現時点ではまだ開発段階にあるが、サムスンがこの新カテゴリをどのように市場に投入するのか、今後の動向が期待される。

Source:SamMobile