GoogleがiPhone向けに「Circle to Search」に似た新機能を導入した。この機能により、画面上の任意のオブジェクトをハイライトし、瞬時に検索できる。しかし、Android版とは異なり、対応アプリの制限があるため、利便性には差がある。
Android版との違いは?「Circle to Search」の本来の強み
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Googleが2024年にAndroid向けに提供を開始した「Circle to Search」は、単なる検索機能ではなく、直感的な操作性とシームレスな情報取得を実現する点で注目されている。この機能では、画面上の対象物を円で囲む、タップする、またはハイライトするだけで即座に検索が可能となる。
特に利便性を高めているのが、アプリを切り替えずに検索できる点だ。たとえば、Instagramで気になるスニーカーを見つけた際、画面上で円を描くだけでGoogleが関連情報を提示する。これにより、商品名やブランドを入力する手間なく、素早く詳細を知ることができる。また、ニュース記事やSNSの投稿内で見かけた専門用語やトレンドワードをすぐに調べる際にも、検索体験がスムーズになる。
一方、今回iPhone向けに提供された「Googleレンズを使った検索画面」は、基本的な機能こそ似ているものの、ChromeやGoogleアプリ内でしか利用できない。この違いは、iOSの制約によるものと考えられる。Android版がどのアプリでも動作するのに対し、iPhoneでは特定のGoogle製アプリ内でしか使用できないため、利便性の面で大きな違いが生じている。
それでも、iPhoneユーザーにとっては新たな選択肢が増えたことになる。従来の方法では、スクリーンショットを撮り、Googleレンズを開いて画像をアップロードしなければならなかったが、今回の機能追加によって、その手間が軽減されることは確かだ。
なぜiPhone版は制限付き?Appleのエコシステムとの関係
Android版の「Circle to Search」と異なり、iPhone版では対応アプリが「Chrome」と「Googleアプリ」に限定されている。これは、Appleのエコシステムにおける制約が関係していると考えられる。
Appleは自社のソフトウェアとサービスの統合を重視しており、サードパーティ製アプリがOSレベルで広範囲な機能を提供することには慎重だ。例えば、デフォルトの検索エンジンをGoogleに設定していても、Safariでは「Circle to Search」に類する機能は利用できない。iPhoneでウェブ検索をよりスムーズに行うには、GoogleアプリやChromeを使う必要がある。
また、Appleはプライバシー保護を強化するために、アプリ間のデータ共有を厳しく制限している。そのため、Androidのように「どのアプリ上でも機能する」仕組みをGoogleが提供するのは難しい。この影響で、今回の「検索画面」機能もGoogleのアプリ内に限定されている可能性が高い。
ただし、今後のアップデートによって、AppleとGoogleの間で技術的な調整が進めば、対応アプリの拡大も期待される。例えば、GoogleがAppleの開発ガイドラインに沿った形で機能を改善すれば、将来的にはより広範なアプリで利用できるようになるかもしれない。
iPhone版は実用的か?ユーザー体験の視点で評価
iPhoneユーザーにとって、今回の「検索画面」機能はどこまで実用的なのかが気になるポイントだ。対応アプリが限られている点を考慮すると、日常的な利用シーンでは工夫が求められる。
例えば、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを利用している最中に、気になったアイテムをすぐに検索したい場合、Android版ならば「Circle to Search」がシームレスに機能する。しかし、iPhone版では、これらのアプリをChromeまたはGoogleアプリで開かない限り、新機能を使うことはできない。そのため、利便性という点では、Android版ほどの直感的な操作感は得られない。
一方で、ChromeやGoogleアプリをメインのブラウザとして利用しているユーザーにとっては、大きな利点となる。例えば、ウェブサイトやニュース記事を読んでいる際に、知らない単語や気になるアイテムを即座に検索できる点は評価できる。従来のコピー&ペースト操作やスクリーンショットを撮って後から検索する手間が省けるため、特に情報収集の効率化には役立つ。
現時点では、Android版と比べると制約が多いものの、Googleが今後のアップデートで対応アプリを拡張する可能性もある。ユーザーがどのようにこの機能を活用していくか、今後の展開に注目したい。
Source:MUO (MakeUseOf)