Appleが発表した新型スマートフォン「iPhone 16e」は、Apple Intelligence対応のエントリーモデルとして登場した。しかし、600ドルという価格設定の中で、コスト削減のために削られた機能も少なくない。

最大の違いはMagSafe非対応であり、ワイヤレス充電は可能だがApple純正アクセサリーの活用は制限される。また、ダイナミックアイランドが搭載されず、従来のノッチが復活している点も見逃せない。さらに、超広角レンズやカメラコントロールボタンが省略され、写真撮影の自由度が制限される。

プロモデルとの差別化のためか、A18チップのGPUコア数は減らされ、WiFi 7にも対応しない。カラーバリエーションも「黒」と「白」の2色のみとシンプルなものになっている。iPhone 16eは価格を抑えつつ最新機能を一部採用した端末だが、失われた要素を理解した上で選択することが重要だ。

MagSafe非対応の影響 充電環境に与える制限

iPhone 16eはワイヤレス充電に対応しているが、Apple独自のMagSafeは利用できない。そのため、MagSafe対応のアクセサリーやケースはこのモデルでは機能しない。Qi規格のワイヤレス充電は可能だが、磁気吸着による安定した充電や、MagSafe対応バッテリーパックの使用は制限される。この点は、過去のiPhone SEシリーズと共通しており、エントリーモデルではMagSafeが優先されていないことがうかがえる。

また、MagSafe非対応によって影響を受けるのは充電だけではない。MagSafe対応の車載ホルダーやスタンドなども活用できず、利便性が低下する可能性がある。特に、MagSafeは単なる充電手段ではなく、アクセサリーとの接続機能も兼ね備えていたため、その恩恵を受けられないことは見逃せない。

AppleはMagSafeを上位モデルとの差別化要素として位置付けているのかもしれない。しかし、今後Qi2規格が普及すれば、MagSafeなしでも一定の利便性は確保される可能性がある。ただし、現在の時点ではiPhone 16eの充電環境は他のiPhoneと比較して制限があることを理解しておく必要がある。

ノッチ復活とダイナミックアイランド非搭載 画面体験は進化か後退か

iPhone 16eでは、近年のProモデルで採用されてきたダイナミックアイランドが省かれ、従来型のノッチが復活している。ダイナミックアイランドは、通知やアプリの情報を直感的に表示する機能として、使い勝手の向上に貢献していた。特に音楽の再生やマップアプリのナビゲーションでは便利に活用できるため、その機能が使えないのは惜しい点だ。

ノッチの存在は、ディスプレイの没入感にも影響を与える。iPhone 16eは6.1インチのOLED(Super Retina XDR)ディスプレイを採用しており、画質自体は向上しているものの、ノッチが視界を遮ることによるデザイン面の違和感は残る。特に、近年のiPhoneがベゼルレスデザインを強化している中で、ノッチの復活は時代に逆行しているようにも感じられる。

Appleがこの仕様を採用した背景には、コスト削減の目的があるのかもしれない。しかし、ダイナミックアイランドの利便性を知っているユーザーにとっては、使い勝手が制限されると感じるかもしれない。ノッチの存在が日常的にどれほど影響を与えるかは使用環境によるが、見た目や操作性を重視する場合は気になるポイントとなりそうだ。

カメラ機能の削減 超広角レンズ非搭載の影響

iPhone 16eには48MPの「Fusion」レンズが搭載され、従来のiPhone SEシリーズと比べて大幅な画質向上が図られている。しかし、超広角レンズが非搭載である点は注意が必要だ。iPhone 15 ProやiPhone 16が備える広角撮影機能がないため、風景写真やグループ撮影での柔軟性が失われる。

また、超広角レンズがないことで、マクロ撮影の選択肢も狭まる。近年のiPhoneは、超広角レンズを活用したマクロ撮影機能を備えており、小さな被写体を高精細に撮影できる利点があった。しかし、iPhone 16eではこの機能が使えないため、クローズアップ撮影を多用する人にとっては制約を感じるかもしれない。

一方で、iPhone 16eのカメラは48MPセンサーを搭載しており、通常の写真撮影においては大きく進化している。日常的なスナップ撮影には十分な性能を持っているが、カメラの多様性を求める場合は、他のモデルとの比較が必要になるだろう。

Source:Gizmodo