Samsungの最新フラッグシップモデル、Galaxy S25 UltraとS25 Plusは、表向きには従来と同じ45Wの有線充電に対応している。しかし、これらのモデルには見逃せない充電性能の向上が隠されている。同梱されるUSB-C to USB-Cケーブルが「15V/3A」の仕様となり、適切な充電器を使用することで、45Wのフルスピード充電が可能となったのだ。

これは、前モデルのGalaxy S24シリーズで同梱されていた25W対応ケーブルからの大きな進歩である。ただし、Samsungは依然として競合他社の高速充電技術には遅れをとっており、例えばOnePlus 13は100W充電に対応している。それでも、今回のケーブル改良はユーザーにとって歓迎すべき変化と言えるだろう。

Samsungの充電技術の進化はなぜ遅れているのか

Samsungはスマートフォン業界のリーダーの一角を占めるが、充電技術に関しては他社に後れを取っている。Galaxy S25 UltraとS25 Plusでは充電ケーブルの仕様が強化されたものの、有線充電の最大出力は依然として45Wにとどまる。一方、OnePlusやXiaomiなどの競合メーカーは、100W以上の高速充電を実現している。なぜSamsungはここまで慎重なのか。

一因として、Samsungがバッテリーの安全性を重視している点が挙げられる。過去に発生したGalaxy Note 7の発火問題を教訓に、同社はバッテリー管理システムの強化を図り、急速充電によるバッテリー寿命の短縮や発熱リスクを抑える方向に進んでいると考えられる。

また、Samsungはワイヤレス充電技術にも注力しており、有線充電の高速化よりも利便性向上を優先している可能性もある。もう一つの要因として、Samsungのエコシステム戦略がある。Samsungは、自社のデバイス間の互換性やバッテリー管理の一貫性を重視し、すべてのスマートフォンで一定の充電基準を維持する傾向がある。

これは、バッテリーの消耗を均一化し、長期的なユーザー体験を向上させるための方針とも考えられる。しかし、高速充電を求めるユーザーにとっては、充電速度の進化が遅いことが不満につながるかもしれない。

今後のSamsungの充電技術の進化には、バッテリーの安全性と充電速度のバランスが鍵となる。競合メーカーが急速充電を強化する中、Samsungがどのように対応していくのか注目したい。

充電器非同梱時代に求められる「適切な充電環境」とは

Galaxy S25 UltraとS25 Plusには充電器が同梱されておらず、適切な充電環境を自分で整える必要がある。この流れはAppleがiPhone 12シリーズで充電器を同梱しなくなって以降、多くのメーカーに広がっている。環境負荷の軽減を理由としているが、実際のところユーザーはどのように充電環境を整えればよいのか。

Samsungの純正充電器を使用すれば、Galaxy S25シリーズは45Wの高速充電が可能だ。しかし、純正品は価格が高めであり、代替品を選ぶユーザーも多い。重要なのは、充電器の出力とUSB-Cケーブルの仕様が適合しているかどうかだ。Galaxy S25シリーズの付属ケーブルは「15V/3A」に対応しているため、これを活かすには「PD(Power Delivery)3.0」対応の充電器を選ぶのが最適といえる。

また、ワイヤレス充電を活用する手もある。Samsungの公式ワイヤレス充電器は最大15Wに対応し、長時間の充電には向いている。ただし、ワイヤレス充電は有線充電に比べて効率が低く、発熱の影響もあるため、急ぎの際には有線充電の方が有利だ。充電器を同梱しないというトレンドが今後も続く中、ユーザー側が知識を持って最適な環境を選ぶことが求められている。

Samsungの充電仕様の変更は、ユーザーにとって充電環境を考え直すきっかけにもなる。今後は、より効率的で安全な充電方法を見極めることが重要になりそうだ。

Source:Tech Advisor