Appleは2025年後半に「Apple Studio Display」のアップデートを予定していると報じられている。現行モデルはLEDバックライトを採用しているが、新モデルではミニLEDに置き換えられる可能性がある。さらに、最大120Hzのリフレッシュレートを実現するProMotion技術の導入も検討されており、滑らかな映像表現が期待される。
Appleの外部ディスプレイは「Apple Studio Display」と「Pro Display XDR」の2種類のみであり、これまでアップデートはなかった。今回の刷新が実現すれば、ユーザーにとって大きな進化となるだろう。
ミニLEDの採用がもたらす画質の進化とは
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Apple Studio Displayの次世代モデルには、従来のLEDバックライトからミニLEDへの移行が予定されている。ミニLEDは、MacBook ProやiPad Proのディスプレイでも採用されており、より均一なバックライト制御と高コントラストを実現する技術だ。この変更により、より深みのある黒と鮮明なハイライトが表現できるため、特に映像制作や写真編集の分野で恩恵が大きい。
加えて、ミニLEDはローカルディミング技術を活用することで、画面全体の明るさを維持しながら、特定のエリアの輝度を個別に制御できる。これにより、HDRコンテンツの表現力が大幅に向上することが期待される。現行のApple Studio Displayも広色域と高い色精度を備えているが、ミニLEDの導入によって、さらに正確な色再現が可能になるだろう。
ただし、ミニLEDの導入には課題もある。MacBook Proで採用された際には、光がにじむ「ブルーミング」現象が一部で指摘された。特に暗い背景に明るい要素がある場合、この現象が目立つことがあるため、新しいStudio Displayがどの程度この課題を克服するかが注目される。Appleがどのようなチューニングを施すのか、発表を待ちたいところだ。
ProMotionの追加がもたらす体験の変化
次世代Apple Studio Displayには、ProMotion技術が導入されるとみられる。ProMotionは、表示内容に応じてリフレッシュレートを可変化させる技術で、最大120Hzまで対応可能だ。これにより、スクロール時の滑らかさが向上し、細かなアニメーションや映像再生時のブレも大幅に軽減される。
現行のApple Studio Displayは60Hz固定のリフレッシュレートで動作しており、特に動きの多い映像編集やゲーム用途では物足りなさを感じる場面もあった。しかし、ProMotionが加わることで、スムーズな映像表示が可能になり、マウス操作やウィンドウ移動など、日常的な使用感も向上することが予想される。また、リフレッシュレートを自動調整することで、消費電力の最適化にもつながるため、環境負荷の軽減にも貢献するだろう。
一方で、120Hzリフレッシュレートの実現には、高速な映像出力に対応した接続環境が必要となる。AppleがこのモデルでThunderboltの仕様を強化するのか、あるいは現行のまま対応させるのかも気になるポイントだ。もしハードウェア側の制約がある場合、ProMotionの恩恵をフルに活かすには、Mac側のアップデートも求められる可能性がある。
Apple Studio Displayの価格とラインナップの変化はあるのか
新モデルの登場により、Apple Studio Displayのラインナップがどのように変化するかも注目される。現行モデルは27インチ・5K解像度で、価格は約20万円台に設定されているが、ミニLEDとProMotionが追加されることで、より高価格帯へ移行する可能性がある。
Appleはこれまで、上位モデルを追加する際に現行モデルを残しつつ、新機能を搭載したプレミアムモデルを用意することが多かった。たとえばMacBook Proでは、M3チップ搭載モデルとM2チップモデルが並行して販売されている。Studio Displayも同様に、標準モデルと上位モデルの2種類に分かれる可能性があり、現在の価格帯を維持したまま新たな選択肢を提供するのではないかと考えられる。
また、AppleがPro Display XDRとの棲み分けをどう考えるかも重要なポイントだ。Pro Display XDRは6K解像度・32インチという仕様であり、クリエイター向けのハイエンド市場をターゲットにしている。一方、新しいStudio DisplayがミニLEDやProMotionを搭載することで、Pro Display XDRの下位モデルとしての魅力が増すとともに、これまでXDRを選んでいた層の一部がStudio Displayへ流れる可能性もある。
価格設定や市場での位置づけ次第では、新モデルが既存のAppleユーザーだけでなく、他メーカーのディスプレイを使用していたユーザー層を取り込む契機となるかもしれない。Appleがどのような販売戦略を取るのか、今後の発表が待たれる。
Source:AppleInsider