OnePlus Watch 3が間もなく発表される。最も注目すべきは、そのバッテリー性能の進化だ。通常使用で5日間、ヘビーユースでも3日間持続するとされ、Apple Watch Ultra 2やGalaxy Watch Ultraを凌駕する可能性がある。

この長時間駆動を実現する鍵は、新たに採用されたBES2800コプロセッサと独自のシリコンナノスタックバッテリーにある。これにより、消費電力を抑えながら高性能を維持する仕組みが構築された。さらに、チタンベゼルや回転クラウンの搭載など、デザイン面でも進化を遂げている。

スマートウォッチ市場は、これまで機能性やデザインが重視されてきたが、バッテリー競争が本格化しつつある。OnePlus Watch 3の登場によって、他メーカーもさらなる長時間駆動を目指し、新たな技術革新を迫られることになりそうだ。

OnePlus Watch 3が実現する長時間駆動の秘密とは

OnePlus Watch 3は、スマートウォッチ市場で群を抜くバッテリー持続時間を実現している。その背景には、ハードウェアとソフトウェアの両面からの最適化がある。特に注目すべきは、新たに採用されたBES2800コプロセッサの存在だ。このコプロセッサは6nmプロセスで製造されており、従来のBES2700(12nm)よりも電力効率が向上している。

Wear OS搭載スマートウォッチは、一般的にメインプロセッサと低消費電力のMCU(モバイルコプロセッサ)を組み合わせるが、OnePlus Watch 3はMCUの性能を大幅に強化することで、メインプロセッサの稼働時間を削減している。これにより、電力消費を抑えながら、スムーズな動作を維持できる仕組みだ。また、バッテリー技術にも工夫がある。

OnePlus独自の「シリコンナノスタックバッテリー」は、シリコンとグラファイトを組み合わせることで、エネルギー密度を高めながら発熱を抑えている。この技術により、従来モデルよりも22%多くのエネルギーを蓄えられるようになった。従来のリチウムイオンバッテリーと比較して、経年劣化が少なく、長期間にわたって高い性能を維持できる点も特徴的だ。

このようなバッテリーの最適化は、長時間駆動を求めるユーザーにとって魅力的な要素となる。一方で、デバイス本体の重量が増す可能性も考えられる。特にOnePlus Watch 2は軽量モデルがなく、一部のユーザーから重さを指摘されていた。そのため、新モデルでも同様の課題が生じるかどうかが注目される。

他社とのバッテリー競争が加速する可能性

OnePlus Watch 3のバッテリー性能が話題となる中、競合メーカーも同様の技術開発を進めている。特にSamsungとAppleは、新たなバッテリー技術の研究を加速させており、今後数年でさらなる進化が期待される。

Samsungは、Galaxy Watchシリーズにおいて全固体電池(Solid-State Battery)の採用を検討している。この技術はエネルギー密度を高めながらバッテリーの安全性を向上させるものであり、従来のリチウムイオン電池と比べて小型化が可能になる。一方、Appleはより効率的な充電アルゴリズムを開発し、短時間での急速充電とバッテリー寿命の延長を両立させる方針とされる。

しかし、OnePlus Watch 3はこうした競争の中で独自のアプローチを採用している。Snapdragon W5チップセットを活用しながら、ソフトウェアの最適化によって消費電力を抑えている点が特徴的だ。また、5日間のバッテリー駆動時間を実現するためのテスト環境では、BluetoothのオンオフやGPSの使用時間などが細かく制御されていた。

これは、実際の使用環境によって持続時間が変動することを示唆している。他社が新技術によるバッテリー性能向上を模索する中、OnePlusは既存の技術を最大限に活用し、消費電力を抑えるアプローチを取った。この方針がスマートウォッチ市場でどのような影響を与えるかが注目される。

OnePlus Watch 3がもたらすスマートウォッチの未来

OnePlus Watch 3の登場は、今後のスマートウォッチ市場の方向性を示唆するものとなる可能性がある。これまでのスマートウォッチは、機能面やデザインの進化が重視されてきたが、バッテリー持続時間という要素が新たな競争軸として浮上してきた。

特に、Wear OS 5の登場により、ソフトウェア側での最適化が進んでいる。Googleは、Wear OSの電力管理システムを改良し、バックグラウンドでの消費電力を抑える技術を導入している。OnePlus Watch 3のバッテリー持続時間の向上は、こうしたOSの進化と相まって、今後のスマートウォッチ全体の方向性を示すものと言える。

また、Qualcommは「Snapdragonチップで1週間駆動するスマートウォッチを目指す」と発表しており、今後のハードウェア進化によってさらにバッテリー寿命が延びる可能性もある。カスタムコアやRISC-Vアーキテクチャを活用した新世代のチップが登場すれば、スマートウォッチはより長時間の駆動を実現することができるだろう。

一方で、OnePlus Watch 3のようなバッテリー性能を重視したモデルが登場することで、他メーカーも同様の技術開発を進めることが予想される。特にAppleやSamsungといった大手メーカーが、独自のバッテリー技術を取り入れることで、スマートウォッチ市場全体が変革を迎える可能性が高い。

これまでスマートウォッチ市場では、通知機能や健康管理機能が注目されてきたが、今後は「どれだけ長く使えるか」が重要なポイントになる。OnePlus Watch 3は、その流れを加速させるきっかけとなるかもしれない。

Source:Android Central