ASUSが最新フラッグシップスマートフォン「Zenfone 12 Ultra」を発表した。従来のUltraモデルよりも早いタイミングでの登場となり、カメラ性能、AI機能、ディスプレイ技術の大幅な進化が注目されている。特に、Snapdragon 8 Eliteを搭載したことにより、処理能力と省電力性能が向上。さらに、第4世代ジンバルスタビライザーを備えたカメラは、より滑らかな動画撮影を実現する。
6.78インチのLTPO OLEDディスプレイは、ピーク輝度2,500ニットと120Hz可変リフレッシュレートに対応。カメラはSony Lytia 700センサーを採用し、3倍光学ズームと最大30倍のデジタルズームが可能。AI機能ではリアルタイム通話翻訳や音声文字起こしなど、実用的なツールが多数搭載されている。
バッテリーは5,500mAhで、65Wの急速充電に対応。現時点で米国では販売されないものの、日本市場への登場が期待されている。
進化したカメラ性能と第4世代ジンバルスタビライザーの実力
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Zenfone 12 Ultraのカメラは、前世代と比較して大幅なアップグレードが施されている。特に注目すべきは、Sony Lytia 700センサーを採用したメインカメラと、第4世代ジンバルスタビライザーの組み合わせだ。Sony Lytia 700は、従来のセンサーと比較してダイナミックレンジが広く、暗所での撮影性能が向上している。
これにより、明暗差の激しいシーンでもディテールを維持した撮影が可能となった。さらに、第4世代ジンバルスタビライザーは±5°のブレ補正が可能となり、前モデルと比較して補正範囲が66%向上した。これにより、手ブレの影響を受けやすい夜間撮影や動画撮影時の安定感が大幅に向上している。特に、アクション動画や手持ち撮影での恩恵は大きい。
また、32MPの望遠カメラは光学3倍ズームに対応し、最大30倍のデジタルズームが可能だ。デジタルズーム時には「ハイパークラリティ」技術が適用され、解像感を維持しながら被写体を捉えられる。従来のデジタルズームでは画質の劣化が避けられなかったが、この技術により遠距離撮影の実用性が高まった。
一方で、カメラモジュールの配置変更により、フラッシュの位置が望遠カメラの隣に移動したことは賛否が分かれるかもしれない。フラッシュの効果が以前と異なり、特定のシチュエーションでは影響を与える可能性がある。ただし、カメラ全体のスペック向上により、総合的な撮影体験は大幅に進化したと言えるだろう。
Snapdragon 8 EliteとAI機能がもたらす新たな体験
Zenfone 12 UltraはQualcommの最新プロセッサー「Snapdragon 8 Elite」を搭載し、パフォーマンスの向上が図られている。このプロセッサーは、従来のSnapdragon 8 Gen 2と比較して処理速度が向上し、電力効率も最適化されている。特に、GPU性能の向上により、負荷の高いゲームや映像編集などの作業において、安定した動作が期待できる。
さらに、AI機能も大きな進化を遂げている。Metaの「Llama 3 8B AIモデル」がデバイスに統合され、クラウドを介さずに高度なAI処理を実行できる。これにより、リアルタイムの通話翻訳や音声認識の精度が向上し、より自然な対話が可能となった。特に、「AI Call Translator」は通話中に即座に翻訳を行い、多言語でのコミュニケーションをスムーズにする機能として注目されている。
また、「AI Transcript」機能では、録音アプリとの連携によって音声をリアルタイムで文字起こしし、話者の識別や翻訳、要約が可能となる。ビジネスシーンだけでなく、日常的なメモ取りや会議の記録にも活用できる。これらのAI機能は、スマートフォンの使い方そのものを変える可能性を秘めている。
ただし、これらのAI機能が実際の使用環境でどこまで実用的かは、今後の評価次第となる。特に、デバイス内でのAI処理がバッテリー消費にどの程度影響を与えるのかは重要なポイントだ。実際に使い込む中で、その利便性と電力消費のバランスが明らかになっていくだろう。
バッテリー性能と充電の実用性はどうか
Zenfone 12 Ultraは5,500mAhの大容量バッテリーを搭載しており、従来モデルよりも持続時間の向上が期待できる。Snapdragon 8 Eliteの省電力設計との組み合わせにより、特に待機時間や軽負荷時の消費電力が改善されている可能性が高い。
急速充電については、有線で65Wの充電に対応しており、短時間での充電が可能だ。また、ワイヤレス充電は15WのQi 1.3規格に対応し、利便性も確保されている。しかし、近年のフラッグシップスマートフォンの中には、ワイヤレス充電が最大50Wを超えるものも登場しており、それと比較するとやや物足りなさを感じるかもしれない。
また、リバースワイヤレス充電の記載がないため、他のデバイスへの充電機能は提供されていない可能性がある。スマートフォンのバッテリーは、単に容量の大きさだけでなく、どれだけ効率的に充電・放電できるかが重要となる。Zenfone 12 Ultraがこの点でどれほど実用的かは、実際の使用環境でのテスト結果を待つ必要がある。
なお、環境配慮の観点から、本体には100%リサイクルアルミニウムが、ディスプレイには22%のリサイクルガラスが使用されている。これは持続可能な製品設計として評価されるが、一方でリサイクル素材の耐久性がどの程度確保されているかは気になる点だ。日常的な使用において、耐衝撃性や耐久性に影響がないか、今後の検証が求められる。
Source:HotHardware