最近、Appleがイーロン・マスクのStarlinkをすべてのiPhoneに「インストールした」という情報が話題になっているが、これは誤解だ。iPhoneはStarlinkを利用できるが、それはAppleの独自機能ではなく、特定のキャリアのネットワーク更新によるものにすぎない。
現在のところ、T-Mobileが提供するStarlink接続がアメリカ国内の一部iPhoneで利用可能になったが、これは1900MHz(Band 25)を利用した通信範囲拡張の一環に過ぎない。iOS 18.3自体に特別なStarlink機能が追加されたわけではなく、AppleとStarlinkの直接的な提携も存在しない。
iPhoneがStarlinkをISPとして利用することは可能だが、それはT-Mobileの衛星通信機能とは別の話である。誤解を避けるためにも、アップデートを控える必要はなく、iOS 18.3への更新が推奨される。
iPhoneのStarlink対応は「インストール」ではなくキャリア依存の仕組み
iPhoneがStarlinkを利用できるようになったという話題が広まっているが、これはAppleが独自に提供する機能ではない。実際には、T-Mobileが自社ネットワークの一部としてStarlinkを活用する仕組みを導入したことに起因している。これにより、T-Mobileの電波が届かない地域でも、一部のiPhoneが衛星通信を通じて基本的な通信が可能になった。
T-Mobileは1900MHz(Band 25)の周波数帯を利用し、地上ネットワークとStarlinkの衛星通信を組み合わせることで、通信エリアの拡大を図っている。この周波数帯は、iPhone 14以降のモデルで標準的にサポートされているため、特別な設定をしなくてもT-Mobileのネットワーク更新によってStarlinkの恩恵を受けることができる。ただし、この機能が利用できるのはT-Mobileユーザーに限られており、他のキャリアを利用している場合は影響を受けない。
さらに、iOS 18.3のアップデートは、T-Mobileの新しい通信方式をサポートするためのものであり、Starlinkに関連する特別な機能が追加されたわけではない。したがって、「AppleがStarlinkをインストールした」という誤解が広まった背景には、技術的な仕組みへの理解不足や誇張された情報の拡散があると考えられる。
Starlinkを通じたiPhoneの通信はどこまで可能なのか
T-Mobileのネットワークを介したStarlinkの利用は、現時点では限定的な機能にとどまっている。現在のところ、この仕組みを利用して可能なのは、T-Mobileの通信圏外でのテキストメッセージ送信に限られており、音声通話やデータ通信には対応していない。これはまだベータ版のサービスであり、T-Mobileの公式サイトを通じて事前申し込みを行う必要がある。
一方で、Starlink自体は既に多くの場所でインターネットプロバイダー(ISP)として機能しており、家庭用の固定回線、ポータブル端末、航空機や船舶向けの接続サービスなど、幅広い用途で利用されている。iPhoneでもWi-Fi経由でStarlinkを利用することは可能であり、T-Mobileを介さなくてもStarlinkの通信網に接続する手段は存在する。
将来的には、T-MobileがStarlinkを活用してモバイルデータ通信にも対応する計画があるが、具体的な時期や料金プランについてはまだ明らかになっていない。また、Starlink自体がモバイルキャリアではないため、T-Mobileのような既存の通信事業者と提携する形でサービスを提供する必要がある。このため、現時点でiPhoneがStarlink経由でモバイルデータ通信を利用できるわけではなく、今後の展開を見守る必要がある。
iOS 18.3アップデートは避けるべきなのか?
iOS 18.3のリリース後、「Starlinkに関連する不安からアップデートを避けるべき」という意見も一部で見られるが、実際にはそのような懸念は不要である。このアップデートは、T-Mobileのネットワーク強化をサポートするためのものであり、iPhoneにStarlink関連の新機能が強制的に追加されたわけではない。
iOSのアップデートには、セキュリティの強化やバグ修正も含まれているため、最新バージョンを維持することはデバイスの安全性向上にもつながる。特に、近年はゼロデイ脆弱性の修正が頻繁に行われており、最新のソフトウェアを適用しないことでリスクを抱える可能性がある。
また、T-MobileのStarlink対応機能を利用したくない場合は、設定から「衛星通信」をオフにすることが可能であり、これにより通常のモバイルネットワークのみを使用することができる。誤った情報に惑わされず、正確な技術的背景を理解しながらアップデートを適用することが重要だ。
Source:9to5Mac