AMDがRDNA 4アーキテクチャを採用した新GPU「Radeon RX 9000シリーズ」の発表イベントを今月末に開催する可能性が浮上した。情報元のBenchlifeによれば、このイベントでは新たなGPUの仕様やパフォーマンスの詳細が明らかになる見込みだ。
すでにRX 9070シリーズの3月発売が確定しており、一部の小売業者では在庫が確保されているという。CESでの期待に反し、RDNA 4の詳細は発表されなかったが、今回のイベントが技術面の進化や競争力を示す場となる可能性が高い。
特に、Navi 48 GPUを採用するRX 9070 XTはRTX 4080 Superに匹敵する性能とされ、NVIDIAのBlackwell世代に対抗する重要な選択肢となるかもしれない。AMDはさらに、AIを活用したアップスケーリング技術「FSR 4」の導入も計画しており、競争の激化が予想される。
RX 9070シリーズの性能とNavi 48の技術的特徴
AMDの新GPU「Radeon RX 9070シリーズ」は、RDNA 4アーキテクチャを採用し、Navi 48 GPUを搭載することが明らかになっている。報道によれば、Navi 48のダイサイズは約390mm²とされ、これはNVIDIAのRTX 5080に搭載されるGB203(378mm²)よりわずかに大きい。
このサイズの違いが実際のパフォーマンスにどのような影響を与えるかは不明だが、消費電力や発熱の管理が鍵を握るだろう。RX 9070 XTは、ラスタライズ性能でRTX 4080 Superと同等とされており、特にレイトレーシング性能の向上が期待されている。
AMDのGPUは従来、NVIDIAのDLSSに対抗する技術面で後れを取っていたが、RDNA 4ではAIを活用したフレーム生成技術「FSR 4」が導入される見込みだ。これにより、パフォーマンスの向上だけでなく、よりスムーズなフレームレートの実現が可能となる。
また、AMDは電力効率の改善にも取り組んでいるとみられ、Navi 48はワットパフォーマンスの向上を重視した設計になっている可能性がある。これにより、ハイエンドGPUでありながら消費電力を抑えた運用が期待でき、特に電力効率を気にするユーザーにとっては魅力的な選択肢となるだろう。
消費電力と発熱を抑えつつ、高い演算能力を実現するバランスが、RDNA 4の成功を左右する要因の一つとなる。
NVIDIA Blackwell世代との競争と市場の変化
NVIDIAは次世代GPUアーキテクチャ「Blackwell」を控えており、AMDのRDNA 4はこれにどう対抗するのかが注目されている。特にミドルからハイエンドの価格帯での競争が激化するとみられ、RX 9070 XTはRTX 5080の85%程度の性能を発揮すると噂されている。この数値が正確であれば、NVIDIAの最新世代と互角に戦うには価格面でのアドバンテージが必要になる。
また、NVIDIAはRTX 5070 TiとRTX 5070を発表予定で、これらはRX 9070シリーズと直接競合するとみられる。しかし、RTX 5070の在庫状況次第では、競争の構図が変わる可能性もある。市場に十分な供給がない場合、RX 9070 XTは比較対象がない状態で有利な立場に立つかもしれない。
一方で、NVIDIAはRTX 5060 TiやRTX 5060の発表も計画しているとの情報があり、これらはRX 9060 XTやRX 9060と競争する形になる。価格設定の面でも興味深い動きが予想される。NVIDIAの新世代GPUは平均販売価格(ASP)が高めに設定される傾向があり、AMDがこれに対抗してコストパフォーマンスを重視した価格戦略を取る可能性が高い。
競争が激化すれば、最終的に消費者にとって選択肢が増え、より性能と価格のバランスが取れた製品が市場に登場することが期待される。
RDNA 4の新技術FSR 4がもたらす影響
RDNA 4のもう一つの注目ポイントは、新たに導入される「FSR 4(FidelityFX Super Resolution 4)」の技術だ。AMDのこれまでのアップスケーリング技術であるFSR 3は、NVIDIAのDLSSやIntelのXeSSと比較して、AIによるフレーム補完技術の面で遅れを取っていた。
しかし、FSR 4ではAIを活用したフレーム生成技術が導入されると報じられており、AMDの描画技術にとって大きな前進となる。FSR 4がどのようにDLSSと競争できるかは未知数だが、AMDはオープンソースの技術を活用し、広範なハードウェアでの対応を可能にする方針を取っている。
これにより、AMD製のGPUだけでなく、NVIDIAやIntelのGPUを使用するユーザーにもFSR 4が利用できる可能性がある。この柔軟性は、ゲーム開発者にとっても魅力的であり、FSR 4の採用が広がれば、AMDの技術的なプレゼンスが向上することにつながるだろう。
また、FSR 4のフレーム生成技術がどの程度の品質を実現するかも鍵となる。DLSS 3ではAIを活用したフレーム補完が行われるが、一部のシーンではアーティファクトが発生することがある。FSR 4がこの課題を克服し、より自然なフレーム補完を実現できるかが注目される。AMDが競争力のある技術を提供できれば、今後のGPU市場でのシェア拡大につながるかもしれない。
Source:Tom’s Hardware