NVIDIAの最新GPU「RTX 5090」と中国市場向けモデル「RTX 5090D」において、ドライバーの更新後に動作不能となる深刻な問題が発生しているとの報告が相次いでいる。RTX 5000シリーズは品薄や高騰する転売価格が話題となっていたが、新たに一部ユーザーから「最新ドライバー適用後にGPUが認識されなくなった」との声が挙がっている。
特に、中国のフォーラムやSNSでは「RTX 5090Dがアップデート後に映像出力を失った」との投稿が増えており、ColorfulやGigabyte、Manliといったブランドの製品が影響を受けている模様だ。また、Redditの「r/ASUS」フォーラムでは、RTX 5090に関する同様の症状も報告されている。
さらに、DLSS 4を解放する最新ドライバー適用後に発生したとされることから、ドライバーに起因する不具合の可能性が指摘されている。
一部のユーザーはマザーボードのBIOSを「PCIe 4.0」に強制設定することで回避できたと報告しているが、公式な解決策ではないため、影響を受けたユーザーはNVIDIAの対応を待つ必要がありそうだ。RTX 5000シリーズは入手困難な状況が続いているが、不具合の修正が行われるまで購入を控えるのも一つの選択肢となるだろう。
RTX 5090/Dのドライバー不具合が影響するユーザー環境とは?
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RTX 5090およびRTX 5090Dのドライバー不具合により、ユーザーの環境にさまざまな影響が生じている。最も顕著な問題として、GPUがWindows上で認識されなくなるケースが報告されている。ディスプレイがブラックアウトし、HDMIやDisplayPortの変更を試みても復旧しないことが確認されている。
また、一部のユーザーはPCIe 5.0環境において特に不安定になると指摘している。この問題は、特定のブランドのGPUで発生している可能性がある。ColorfulやGigabyte、Manliの製品が影響を受けているとの報告があるが、ASUS製のRTX 5090においても同様の不具合がReddit上で共有されている。
これにより、ブランドや市場地域を問わず、一定の条件下ではトラブルが発生する可能性がある。また、BIOS設定との関連も注目されている。レビューアーのder8auer氏は、RTX 5080の動作検証時にPCIe 5.0設定ではクラッシュが頻発し、PCIe 4.0に変更することで安定動作することを確認した。
同様の手法がRTX 5090や5090Dにも適用できるかは不明だが、一時的な回避策となる可能性はある。これらの問題が広範囲で発生している場合、今後のドライバー更新やBIOSアップデートが必須となるだろう。
NVIDIAの新世代ドライバーは何が問題なのか?
RTX 5090および5090Dの不具合は、NVIDIAの最新ドライバーが原因とされている。特に、DLSS 4の解放を含むアップデートが適用された後に問題が発生しており、特定の環境でGPUが正しく認識されなくなるとの報告が相次いでいる。
通常、ドライバーは新機能の追加や最適化を目的としたものであるが、今回は逆にシステムの不安定化を引き起こしているようだ。NVIDIAの「Blackwell」アーキテクチャは、前世代の「Ada Lovelace」から大幅な進化を遂げているものの、ドライバーの完成度が十分でない可能性がある。
特に、新しいPCIe 5.0規格との相性が指摘されており、一部のユーザーはBIOS設定を変更することで安定動作を確保できると報告している。しかし、すべてのユーザーがこの手法を試せるわけではなく、より根本的な解決策が求められる。
一方で、NVIDIAがこの問題を認識し、どのような対応を行うのかは現時点で明らかになっていない。AMDのRadeon GPUと比較すると、NVIDIAは通常ドライバーの安定性で優位に立っているとされてきたが、今回のケースはその評価に影響を及ぼす可能性がある。特に、高額なGPUを購入したユーザーにとって、ドライバーの不具合は大きな懸念材料となるだろう。
RTX 5000シリーズの品薄と今後の影響
RTX 5090と5090Dの問題が浮上する中、もう一つの大きな課題が品薄状態の継続である。RTX 5000シリーズは発売直後から供給が非常に限られており、「紙上の発売(Paper Launch)」と揶揄される状況が続いている。特に、転売市場では定価の数倍の価格がつけられるなど、入手困難な状況に拍車をかけている。
これまでのNVIDIAの新型GPU発売と比較しても、今回の在庫不足は顕著であり、今後の供給改善が待たれる。しかし、今回のドライバー問題が影響し、NVIDIAが製品の品質管理を強化する可能性も考えられる。その場合、一部のモデルの出荷が遅れる可能性もあり、RTX 5000シリーズの市場供給がさらに不安定になることもあり得る。
今後、NVIDIAはRTX 5070 TiやRTX 5070の投入を予定しているが、今回の問題が解決されないまま新製品がリリースされると、購入をためらうユーザーも出てくるだろう。また、3月にはAMDの新型Radeon GPUが登場すると予測されており、NVIDIAの競争力が問われる局面となる。現状では、RTX 5090や5090Dの安定性が確認されるまで、購入を慎重に検討するのが賢明かもしれない。
Source:Windows Central