NVIDIA は、新たな低遅延技術「Reflex 2」を発表した。だが、この技術はローンチ時点で GeForce RTX 50 シリーズ専用 となり、旧世代の RTX GPU では利用できない。新たに採用された「フレームワープ」技術により、最大 75% の遅延削減 を実現し、特に競技性の高い FPS ゲーム向けに最適化されている。

NVIDIA は、Reflex 2 が DLSS 4 の「マシンフレーム生成」と深く結びついていることを理由に、RTX 50 シリーズ限定の提供を決定。旧世代 GPU への対応も予定されているが、具体的な時期は明言されていない。対応ゲームは現時点で『The Finals』と『Valorant』のみであり、今後の展開が注目される。

Reflex 2 の「フレームワープ」が生み出す新たな低遅延技術とは

NVIDIA Reflex 2 の最大の特徴は、新技術「フレームワープ」の導入にある。従来の Reflex は、フレームの生成と表示のタイミングを最適化することで遅延を削減していた。しかし Reflex 2 では、それに加えて GPU が既存のフレームをリアルタイムで補正し、カメラ視点のズレを最小限に抑える ことで、さらなる遅延削減を実現している。

この技術は、プレイヤーの操作入力をより迅速に反映させる仕組みを持つ。具体的には、フレームが GPU から出力される直前に「補正処理」を行い、直前のマウスやコントローラー入力を考慮した映像をディスプレイに送る。これにより、フレームが画面に表示された時点での視点の遅れを最小限にする ことが可能となる。

この機能は、特に反応速度が重要な FPS やバトルロイヤルゲームで大きな効果を発揮する。たとえば『The Finals』のテストでは、Reflex 2 を適用することで最大 75% の遅延削減 を実現したと報告されている。これにより、敵の動きを捉えやすくなり、ヘッドショットの精度向上や、すばやい回避行動が可能になると期待されている。

また、フレームワープは GPU の負荷を最小限に抑えながら動作するため、高リフレッシュレートのディスプレイ環境でも効果を発揮する。特に 240Hz や 360Hz のモニターを使用するプレイヤーにとっては、フレーム更新のズレをさらに小さくできる点が大きな利点となる。

RTX 50 シリーズ限定の理由 DLSS 4 との関係とは

Reflex 2 が RTX 50 シリーズに限定された理由の一つに、DLSS 4 の「マシンフレーム生成」との密接な関係がある。DLSS 4 は AI を活用し、既存のフレームデータから新たなフレームを生成する技術 であり、フレームレートの向上を目的としている。

しかし、AI によって生成されたフレームにはわずかな遅延が生じるため、NVIDIA は Reflex 2 を組み合わせることで、この問題を解決しようとしている。DLSS 4 では、AI によるフレーム生成処理が行われるため、一般的なレンダリングよりもわずかに遅延が発生する。

この遅延を補正するために、Reflex 2 のフレームワープが活用され、最終的なフレームの表示を最適化するという仕組みになっている。これにより、高フレームレートと低遅延の両立が可能になり、特に高性能 GPU を必要とする最新タイトルでその効果を発揮すると考えられる。

また、DLSS 4 のマシンフレーム生成は RTX 50 シリーズの「Blackwell」アーキテクチャに最適化されており、旧世代の RTX GPU ではハードウェア的な制約がある可能性が指摘されている。つまり、DLSS 4 のフル機能を活用するには RTX 50 シリーズのハードウェアが必要であり、その流れで Reflex 2 も現時点では RTX 50 シリーズ専用となっていると考えられる。

とはいえ、NVIDIA は Reflex 2 を旧世代の RTX GPU でも利用できるようにする計画を明言している。しかし、その具体的な対応時期は明かされておらず、RTX 40 シリーズや RTX 30 シリーズのユーザーは、今後のアップデートを待つ必要がある。

今後の対応ゲーム拡大に期待 Reflex 2 はどのジャンルに最適か

現在、Reflex 2 をサポートしているタイトルは『The Finals』と『Valorant』の 2 作品のみだが、今後対応ゲームが増えていく可能性が高い。特に Reflex 2 の遅延削減効果は、競技性の高い FPS や TPS で有効とされており、今後の対応タイトルには eSports シーンで人気のゲームが含まれる可能性がある。

たとえば、『Call of Duty』シリーズや『Apex Legends』などは Reflex 1 のサポートをすでに受けており、次のアップデートで Reflex 2 に対応する可能性がある。また、『Rainbow Six Siege』や『Counter-Strike 2』のような戦術 FPS においても、Reflex 2 の低遅延技術が有効と考えられる。

特にプロプレイヤーにとっては、1フレーム単位の遅延削減が勝敗を左右する場面も多いため、Reflex 2 の恩恵は計り知れないものとなるだろう。一方で、MOBA や RPG などのジャンルでは Reflex 2 の恩恵は限定的と考えられる。

これらのゲームではフレーム単位の正確な操作が求められる場面は少なく、入力遅延がプレイに与える影響も FPS ほど大きくない。そのため、Reflex 2 は FPS やバトルロイヤル、戦術系シューターなど、リアルタイムでの正確な操作が求められるジャンルに特化した技術といえる。

今後の動向としては、NVIDIA が Reflex 2 をどのようなタイトルに展開していくかが注目される。特に、大手ゲームパブリッシャーが Reflex 2 に対応することで、その普及が加速する可能性がある。既存の Reflex 1 対応タイトルのアップグレードや、新作ゲームでの標準採用が進めば、より多くのプレイヤーが Reflex 2 の恩恵を受けられるようになるだろう。

Source:Tech4Gamers