AMDの次世代GPU、Radeon RX 9070および9070 XTは、発売初日からLinux環境での高い互換性を提供する見込みだ。オープンソースのRADV Vulkanドライバーが既にこれらのGPUをサポートしており、協調行列演算やビデオのデコード/エンコード機能など一部の機能は未対応だが、これは従来のGPU発売時と比較して大幅な改善である。

通常、新しいハードウェアのLinuxサポートは数週間から数ヶ月遅れることが多かった。今回の対応により、Linuxユーザーは最新のグラフィック性能をいち早く体験できる可能性が高まっている。さらに、Mesa 25.0のアップデートが2月末に予定されており、これによりサポートが強化される見通しだ。

ただし、これらのアップデートを適用するには、Linuxカーネルのバージョン6.13または6.14以降が必要と予想されている。

RDNA 4がもたらすLinux環境の変化

AMDの新世代GPU「Radeon RX 9070」と「RX 9070 XT」が、発売と同時にほぼ完全なLinux対応を実現する。この動きは、従来のAMD製GPUがLinuxでの正式サポートを得るまでに時間がかかっていた状況を一変させるものだ。特に、オープンソースのRADV Vulkanドライバーが発売前から対応していることは、過去の事例と比較しても大きな進展である。

歴史的に見ても、Linux環境で最新GPUを利用する際には、サポートが不十分なまま数週間から数ヶ月待たされることが多かった。特に、ドライバーの最適化が進むまでの期間は、安定した動作を保証するのが難しく、ユーザーにとっては大きな障壁となっていた。しかし、今回のRDNA 4の対応により、Linuxユーザーは発売初日から新しいGPUを十分に活用できる可能性が高まっている。

さらに、オープンソースドライバーの開発が進んでいることで、Mesa 25.0のアップデートを適用することでより安定したパフォーマンスが期待できる。Linux 6.13または6.14が推奨される見込みであるため、最新のカーネル環境を維持することで、より快適な使用が可能になるだろう。

Vulkan VideoとDCCの未対応が意味するもの

AMDのRADVドライバーは、RDNA 4の基本的な機能を発売初日からサポートするが、Vulkan VideoとDCC(デルタカラーデータ圧縮)といった一部の機能はまだ完全には実装されていない。特に、Vulkan VideoはGPUを利用した動画エンコード・デコード機能の最適化を行うものであり、動画編集やストリーミングを重視するユーザーにとっては重要な要素となる。

DCCは、メモリ帯域幅を最適化し、ゲームやクリエイティブ用途でのパフォーマンス向上に寄与する技術だ。この機能が実装されていない段階では、特定の処理において帯域幅の効率が下がる可能性がある。ただし、これらの機能は現在開発が進められており、今後のアップデートで実装される見込みであるため、長期的には大きな問題にはならないだろう。

これらの未対応機能は、発売時点での利便性に影響を与える可能性があるが、最も基本的なグラフィック性能には関与しないため、多くのユーザーにとっては問題にならないと考えられる。特に、一般的なゲームプレイやグラフィックス処理では大きな影響を受けることは少ないだろう。アップデートが適用されれば、これらの機能も順次利用可能になるはずだ。

Linux対応が加速するAMDの戦略と今後の展開

今回のRDNA 4のLinux対応が示すものは、AMDがオープンソースコミュニティとの協力を強化し、LinuxでのGPUサポートを積極的に改善しようとしていることだ。NVIDIAは従来、独自のプロプライエタリドライバーを提供してきたが、AMDはオープンソースドライバーの開発に力を入れており、その姿勢が明確に表れている。

特に、Valveをはじめとする企業がLinux向けのゲームやグラフィック技術を強化していることも、AMDの動きに影響を与えていると考えられる。Steam Deckの成功もあり、Linux環境でのゲーミングが注目される中、GPUの即時サポートはより重要な課題となっている。今回の対応が成功すれば、今後のAMD GPUはさらに早い段階でのLinux互換性を実現する可能性がある。

今後の展開として、RDNA 4のサポートが他のオープンソースドライバーにも拡張されるか、または追加の最適化が行われるかが焦点となるだろう。AMDが継続的にLinux環境のサポートを強化することで、エンドユーザーにとっての選択肢が広がることは間違いない。

Source:NotebookCheck