2024年第4四半期、インドのスマートフォン市場において、Vivoがサムスンを抜き首位の座を獲得した。Counterpoint Researchの最新レポートによれば、Vivoは市場シェア19%を達成し、続くXiaomiが17%を占め、サムスンは第3位に後退した。この変化の背景には、Vivoの強力なオフライン販売網とサブブランドiQOOの成功があると分析されている。
一方、サムスンはプレミアムモデルであるGalaxy Sシリーズに注力した結果、手頃な価格帯のモデルの販売が減少したと指摘されている。また、インド市場で出荷されたスマートフォンの78%が5G対応であり、次世代通信技術の急速な普及も注目すべき点である。
市場価値の観点では、Appleが引き続きリーダーの座を維持しており、iPhone 15が2024年第4四半期で最も多く出荷されたデバイスとなった。さらに、Nothingが577%という驚異的な成長率を記録し、急成長を遂げたブランドとして注目を集めている。
チップセット市場では、MediaTekがQualcommを上回り、52%の市場シェアを獲得した。Vivoの成功は、強力なオフライン販売網と多様な製品ポートフォリオが市場攻略において重要な要素であることを示している。
インド市場でVivoがサムスンを追い抜いた理由とは
Vivoがインド市場で首位に立った背景には、複数の要因が関係している。最大のポイントは、強力なオフライン販売網の構築だ。インドでは依然として実店舗での購入が主流であり、Vivoは全国各地に販売パートナーを拡大。これにより、都市部だけでなく地方市場においても圧倒的な存在感を確立した。
さらに、Vivoは多様な価格帯の製品を投入し、エントリーモデルからハイエンドモデルまで幅広く展開。特に、コストパフォーマンスの高いミッドレンジモデルの人気が高く、サブブランドiQOOのゲーミングスマートフォンも注目を集めた。この戦略が、若年層を中心に市場での支持を獲得する決定打となった。
一方、サムスンはハイエンドモデル「Galaxy Sシリーズ」や「Galaxy Zシリーズ」への注力が目立ち、手頃な価格帯のモデルの販売が相対的に弱まった。その結果、販売台数ではVivoやXiaomiのような中国メーカーに遅れを取ることとなった。この変化は、インド市場の消費傾向が今後どのように推移するかを占う重要なポイントとなる。
5G普及の加速が市場の勢力図を変える
2024年第4四半期、インドで出荷されたスマートフォンの78%が5G対応機種だった。これは、5G通信の普及が急激に進んでいることを示しており、各メーカーが5G対応端末の開発と販売に注力している証拠でもある。VivoやXiaomiは手頃な価格で5Gスマートフォンを提供し、多くのユーザーが次世代通信環境に移行しやすい状況を作り出した。
サムスンも5G対応モデルを展開しているが、フラッグシップモデルに比重を置いているため、より低価格帯の5Gスマートフォンを求めるユーザー層をカバーしきれていない。この点で、VivoやXiaomiのようなメーカーに市場シェアを奪われた形となる。
また、インド政府の通信インフラ整備が進み、5Gネットワークの利用環境が拡大していることも追い風になっている。通信キャリアも積極的に5Gプランを提供しており、5G対応端末の需要は今後さらに高まると予測される。この状況において、より手頃な価格で5Gスマートフォンを提供できるメーカーが有利な立場を確立する可能性が高い。
急成長を遂げるNothingが市場を揺るがすか
VivoやXiaomiの台頭だけでなく、新興ブランド「Nothing」の急成長も注目すべきポイントだ。Nothingは2024年第4四半期に577%という驚異的な成長率を記録。これは、主力機種「Phone (2a)」のヒットに加え、新ブランド「CMF」のローンチが奏功したためである。
Nothingのスマートフォンは、シンプルで洗練されたデザインに加え、手頃な価格でありながら高性能な仕様を実現している点が評価されている。また、独自のマーケティング戦略として、限定販売や招待制の販売方法を活用することで、ブランドの独自性を強調。特に若年層を中心に支持を集めている。
この急成長が今後も続けば、2025年には市場ランキングに本格的に食い込む可能性もある。Nothingは次期モデル「Phone (3a)シリーズ」の投入を予定しており、これが市場に与える影響は大きいだろう。既存の主要メーカーにとっては、新たな競争相手の台頭を見据えた戦略の見直しが求められる局面となる。
Source:Gizmochina