Nvidiaは、GeForce 572.16 WHQLドライバーをリリースし、新機能「DLSS Override」を追加した。この機能により、対応ゲームのDLSSバージョンを最新のものへアップグレードできるようになり、より高品質な画像処理が可能となる。

RTX 20、30、40、50シリーズのユーザーが恩恵を受けることができ、特にRTX 50シリーズでは「Multi Frame Generation」に対応することで、さらなるフレームレート向上が期待される。加えて、新ドライバーではRTX Video Super Resolutionの強化、Nvidia Broadcastのアップデート、新たなG-SYNC対応ディスプレイの追加など、多数の改良が施されている。

DLSS Overrideはすでに75以上のゲームで利用可能で、「Cyberpunk 2077」「Alan Wake 2」などのタイトルにも適用される。Nvidiaは今後もAI技術を活用した画質向上を進めていく方針だ。

DLSS Overrideの仕組みと期待される効果

DLSS Overrideは、対応タイトルのDLSSバージョンを手動で最新のものに置き換えることができる新機能だ。これにより、開発者側で最新のDLSSを実装していないゲームでも、プレイヤーが直接最新バージョンへアップデートし、高品質なAIアップスケーリング技術を活用できるようになった。

特にDLSS 3とDLSS 4の違いは大きく、DLSS 4では「Multi Frame Generation」や「RTX Mega Geometry」などの新技術が導入されており、これまでよりもさらに自然なフレーム補完や高精細な描画が実現される。この機能の大きなメリットは、ゲームのアップデートを待たずにDLSSの最新機能を試せることだ。

例えば、「Cyberpunk 2077」のような高負荷なタイトルでは、最新のDLSSを適用することでパフォーマンスと画質の向上を同時に得られる可能性がある。さらに、DLSS OverrideはNvidiaの公式アプリを通じて設定できるため、従来のように手動でDLLファイルを置き換える手間が不要になった。

一方で、DLSS Overrideはすべてのゲームに対して完全に最適化されているわけではない点には注意が必要だ。最新バージョンのDLSSが本来想定していないゲームで動作することで、意図しないグラフィックの不具合が発生する可能性もある。しかし、Nvidiaが積極的に対応タイトルを拡充し、公式のサポートを強化することで、この機能の利便性は今後さらに向上することが期待される。


RTX 50シリーズのDLSS 4対応がもたらす進化

GeForce RTX 50シリーズでは、DLSS 4がフルサポートされており、特に「Multi Frame Generation」が重要な役割を果たしている。従来のDLSS 3ではフレーム間に1つのAI生成フレームを挿入する仕組みだったが、DLSS 4では2つ以上のAI生成フレームを組み合わせることが可能になった。

これにより、フレームレートを最大8倍に向上させることができ、特に高解像度でのゲームプレイが快適になることが期待される。また、DLSS 4には「Neural Radiance Cache」という新技術が搭載されており、ゲーム内の照明や影の処理をより高精度に行うことが可能になった。

これにより、レイトレーシングを活用したゲームでは、光の反射や屈折がよりリアルに表現されるようになり、映像の没入感が飛躍的に向上する。特に「Alan Wake 2」や「Star Wars Outlaws」のようなグラフィックにこだわったタイトルでは、DLSS 4の恩恵が大きいと考えられる。

しかし、DLSS 4はRTX 50シリーズ専用となっているため、RTX 40シリーズ以前のユーザーはこの技術の恩恵を受けることができない。これにより、DLSS 4の導入が新世代のGPUへの移行を促す要因の一つとなる可能性もある。一方で、DLSS Overrideを活用すれば、RTX 40シリーズでも一部のDLSS 4機能が試せるため、現行ユーザーにとっても一定のメリットがあるだろう。


GeForce 572.16がもたらすその他のアップデートと注目ポイント

DLSS Overrideの導入だけでなく、GeForce 572.16ドライバーには多数のアップデートが含まれている。その中でも特に注目すべきなのは「Nvidia Smooth Motion」だ。これは、2つのレンダリングフレームの間にAIによる補間フレームを挿入することで、映像のブレやカクつきを抑える技術である。

特に高速な動きが多いアクションゲームやレースゲームでは、よりスムーズな映像が期待できる。また、「RTX Video Super Resolution」の強化も見逃せないポイントだ。これは、YouTubeやNetflixなどのストリーミングコンテンツをAIを活用して高解像度にアップスケールする技術であり、今回のアップデートによりより自然な映像処理が可能になった。

特に、低解像度のコンテンツを大画面ディスプレイで楽しむ際に、その効果を実感できるだろう。さらに、今回のドライバーでは19種類の新しいG-SYNC対応ディスプレイが追加されており、特にリフレッシュレートの高いゲーミングモニターを利用しているユーザーには嬉しい改善となる。

これにより、より滑らかな映像体験を求めるゲーマーにとって、Nvidiaのエコシステムがさらに充実したものとなった。今回のGeForce 572.16ドライバーは、DLSS Overrideを筆頭に、多くの新技術を搭載している。

特にDLSS 4関連の進化は、今後のゲーム体験を大きく変える可能性があり、RTX 50シリーズユーザーにとっては見逃せないアップデートとなるだろう。一方で、DLSS 4が新世代専用となったことで、旧世代GPUとの格差も広がることが予想される。今後のアップデートや最適化が、どのように進むのか注目したい。

Source:OC3D