ASUSがRyzen AI Max「Strix Halo」プロセッサを搭載したAMD製のNUCを開発している可能性が浮上した。最大16コアのZen 5 CPU、40基のRDNA 3.5 GPUコンピュートユニット、そして次世代XDNA 2 NPUを統合したこの新型APUは、コンパクトながらゲーミングやAI処理にも対応できる高性能PCを実現するかもしれない。

もともとIntelのブランドだったNUCは、ASUSがその開発と販売を引き継いでいる。これにより、AMD製のNUCが市場に登場する可能性が高まった。今回リークされたASUS NUCのリストによると、AMDの「Strix Halo」を搭載するモデルがテストされている模様だ。

特に、強力な統合GPUを持つこのAPUは、専用GPUなしでもゲーミングやクリエイティブ作業を快適にこなせる可能性を秘めている。ただし、ASUSがNUCブランドでAMDモデルを展開できるのかは不透明だ。仮にIntelとの契約上、NUCブランドがIntel製品に限定されている場合、ASUSは別のブランド名で小型PCを投入する可能性もある。今後の正式発表が待たれる。

AMD Ryzen AI Max「Strix Halo」がもたらす新世代のパフォーマンス

ASUSが開発中とされるAMD製NUCの核となるのが、Ryzen AI Max「Strix Halo」プロセッサである。このAPUは、最大16コアのZen 5 CPUと40基のRDNA 3.5 GPUコンピュートユニットを搭載し、一般的なモバイル向けAPUを大きく超える処理能力を持つ。さらに、AI処理を担うXDNA 2 NPUを統合することで、AI支援機能や機械学習関連のタスクにも最適化されている。

特に注目すべきは、統合GPUの性能だ。リークされた情報によると、このAPUの内蔵グラフィックスはAMD Radeon R 8060Sとして知られ、NvidiaのRTX 4070モバイル版に匹敵する性能を示している。これにより、専用GPUを搭載せずとも多くのAAAタイトルを快適に動作させることが可能となるかもしれない。

従来の小型PCではグラフィックス性能がボトルネックになりがちだったが、Strix Haloの登場でその課題が解決に向かう可能性が高い。さらに、統合型APUのメリットとして冷却設計の簡素化が挙げられる。

通常のデスクトップPCではCPUとGPUをそれぞれ冷却する必要があるが、APUならば一体化された冷却システムで対応できるため、小型筐体でも高性能を維持しやすい。ASUSのNUCがこの特性を活かし、静音性とコンパクトさを兼ね備えた高性能PCを実現するかが今後の焦点となる。

ASUSがAMD製NUCを展開する可能性と課題

ASUSがNUCブランドの運営を引き継いだことで、AMD製のNUCが市場に登場する可能性が高まっている。しかし、現時点ではIntelとの契約によりNUCブランドがIntel製品に限定されているかどうかは不明だ。この制約がある場合、ASUSはNUCブランドではなく独自のシリーズとしてAMD搭載小型PCを展開する可能性も考えられる。

また、AMDベースのNUCが市場に受け入れられるかも重要なポイントだ。NUCは従来、Intel製プロセッサを基盤にしており、企業向けやエッジコンピューティング用途での採用例が多い。そのため、ASUSがAMD版NUCを投入する場合、ターゲット市場や用途の再定義が求められる可能性がある。

特にゲーミング用途やクリエイター向けワークステーションとしての活用が想定されるが、NUCブランドが持つビジネス向けのイメージとどのように折り合いをつけるのかも課題となる。一方で、AMDのStrix Halo APUのパワーを活かせば、競争力のある小型PCが実現することは間違いない。

特に統合GPUの性能が大幅に向上している点は、コンパクトなゲーミングPCを求めるユーザー層にとって魅力的な要素となる。もしASUSがROGブランドを活用し、AMD製NUCをゲーミング向けに特化したモデルとして展開するのであれば、新たな市場の開拓につながる可能性がある。

Strix Halo搭載NUCがもたらす小型PCの進化

Strix Haloを搭載することで、ASUSのNUCは従来の小型PCの概念を大きく変える可能性がある。これまでNUCは、省スペース性を重視する一方で、高性能なグラフィックス処理やゲーム用途には不向きとされてきた。

しかし、AMDの次世代APUは、CPUとGPUのバランスを最適化しつつ、高性能を維持する設計となっており、ゲーミングやクリエイティブ用途にも十分対応可能と考えられる。さらに、APUの進化により、小型PCのコストパフォーマンスも向上する可能性がある。

従来、ゲーミングPCやクリエイティブ向けワークステーションを構築する場合、CPUとGPUを個別に選択し、それぞれに適した冷却システムを導入する必要があった。しかし、Strix Halo APUならば、統合型GPUが高性能であるため、別途GPUを搭載せずとも高い描画性能を確保できる。その結果、部品点数が減り、コスト削減やシンプルな構造の実現が期待される。

ただし、実際にどの程度の性能が発揮されるのかは、ASUSがどのような冷却機構を採用するかに大きく左右される。APUの発熱が適切に管理されなければ、性能が制限される可能性もある。加えて、小型筐体では冷却性能と静音性のバランスを取ることが難しくなるため、ASUSがどのような設計を施すかが重要なポイントとなるだろう。

いずれにせよ、AMD製のNUCが登場することで、コンパクトなPC市場に新たな選択肢が生まれることは間違いない。今後の正式発表に注目が集まる。

Source:OC3D