Windows 11には、Microsoft Defender Antivirusが標準搭載されており、リアルタイムでマルウェアからシステムを保護している。しかし、特定のファイルやフォルダーを手動でスキャンしたい場合もあるだろう。
そのための方法として、エクスプローラーからの右クリック操作、Windowsセキュリティアプリのカスタムスキャン、コマンドプロンプトを使用したスキャン、そしてPowerShellを利用したスキャンの4つが用意されている。これらの手法を活用することで、特定のデータに対して迅速かつ確実に安全性を確認することが可能である。
Windows 11の手動スキャンが必要なシチュエーションとは
Windows 11にはMicrosoft Defender Antivirusがリアルタイムで動作し、システム全体を保護している。しかし、自動スキャンだけでは検出できないリスクが存在するため、特定のファイルやフォルダーを手動でスキャンする必要があるケースもある。
例えば、インターネットからダウンロードしたファイルは、一見安全に見えてもマルウェアが仕込まれている可能性がある。特に、圧縮ファイル(ZIPやRAR)は解凍しないと検知されないケースがあるため、開く前に手動でスキャンするのが賢明だ。
また、USBメモリや外付けHDDなどの外部ストレージから取得したファイルは、送信元の環境が不明なため、感染リスクが高い。さらに、メールに添付されたファイルも注意が必要だ。フィッシング攻撃の一環として、悪意のある実行ファイルやスクリプトが埋め込まれるケースがあり、手動スキャンを行うことで不審なファイルを開くリスクを軽減できる。
このように、Windows 11のリアルタイム保護だけでは対処できないシチュエーションが多々あるため、手動スキャンを活用することで、より安全な環境を維持できる。
コマンドラインを使うメリットとは
エクスプローラーやWindowsセキュリティアプリを使えば、視覚的に簡単にスキャンできるが、コマンドプロンプトやPowerShellを使うことで、さらに高度な操作が可能となる。特に、コマンドラインを使ったスキャンは、柔軟性や詳細な設定が求められる場面で役立つ。
例えば、複数のフォルダーや特定の種類のファイルのみを一括でスキャンする場合、コマンドラインの活用が有効だ。スクリプトを作成すれば、指定したディレクトリ内の特定の拡張子(例えば.exeや.dll)のみをスキャンすることもできる。これにより、システム全体をスキャンする必要なく、重要な部分だけを効率的にチェックできる。
また、定期的にスキャンを自動実行する場合も、コマンドラインは便利だ。タスクスケジューラと組み合わせることで、指定した時間に特定のフォルダーをスキャンする設定が可能となる。これにより、手動で実行する手間を省きつつ、定期的にファイルの安全性を確認できる。このように、コマンドラインを活用することで、より効率的かつ高度なセキュリティ対策を実施できる。
手動スキャンの限界と併用すべき対策
手動スキャンは、特定のファイルやフォルダーの安全性を確認するために有効だが、それだけでは十分とは言えない。なぜなら、マルウェアの種類によっては、検出を回避するための手口が巧妙化しているためだ。例えば、ポリモーフィックマルウェアは、自己変異を繰り返しながら活動するため、パターンベースのウイルス定義では検知が困難になる。
また、ファイルレスマルウェアは、ファイルとして存在せず、メモリ上でのみ動作するため、通常のファイルスキャンでは見つけることができない。こうした脅威に対処するためには、Windows 11の「リアルタイム保護」機能を有効にすることが重要だ。加えて、Microsoft Defender以外のセキュリティツールとの併用も検討すべきだ。
たとえば、定期的なフルスキャンを行うサードパーティ製のアンチウイルスソフトや、疑わしい動作を監視する挙動検知型のセキュリティソフトを導入することで、手動スキャンでは見つけにくい脅威を補完できる。このように、手動スキャンと他のセキュリティ対策を組み合わせることで、より強固な防御体制を構築できる。
Source:Windows Central