CES 2025でSamsungが発表した新型「Odyssey」ゲーミングモニターは、業界初の機能を多数備えた3モデルで注目を集めている。中でも27インチ4K OLEDモニター「Odyssey G8」と500Hz対応の「Odyssey G6」は、滑らかな映像表現を追求しつつ、性能が過剰ではないかという議論を呼んでいる。
また、40インチ5Kの「Odyssey G7」は、PCユーザーに向けた新たな選択肢として位置づけられるが、高解像度を活かすには次世代のハードウェアが求められる可能性が高い。価格と発売日の詳細は未発表だが、性能の高さと最新技術に裏打ちされたこれらの製品は、高額になることが予想される。
27インチOLEDモニターの革新性とその課題
Samsungが発表した「Odyssey G8」は、27インチサイズに4K解像度(3,840×2,160)を搭載した業界初のOLEDモニターとして注目を集めている。このモデルは165ppiという高精細な表示を実現しており、240Hzの高リフレッシュレートにより滑らかな映像を提供する。しかし、4Kの恩恵を最大限に享受できる環境は限られるため、このサイズでの4K解像度採用に疑問を抱く声もある。特に27インチでは、QHD解像度(2,560×1,440)との差を体感しづらいケースが多い。これにより、4K表示が「過剰な仕様」となる懸念も存在する。
また、4K解像度で高フレームレートを維持するためには、最新かつ高性能なGPUが必須であり、コスト負担が増大する点も課題となる。TechRadarによると、「GeForce RTX 4090」搭載PCですら、一部のタイトルで安定したフレームレートを維持するために「DLSS」技術を使用する必要があるという。こうした背景から、ゲーマーの中には高解像度よりもフレームレートを重視する選択をする者も少なくない。
このように、Odyssey G8の革新性は市場に新たな価値を提供する一方で、ユーザーの使用環境や目的によってはその真価を発揮しきれない場合もあると考えられる。
500Hzリフレッシュレートが意味する新たな可能性
Odyssey G6の最大の特長は、驚異的な500Hzというリフレッシュレートにある。これにより、入力遅延の少ない応答性が求められるFPSやアクションゲームなどでは圧倒的な滑らかさを実現する。ただし、500Hzを体感するためには500fpsを出力できる環境が前提となるため、最新世代のGPUを搭載したハイエンドPCが必要不可欠である。
500Hz対応モニターは市場にほとんど存在しないため、Samsungのこの技術革新はゲーミングディスプレイの新たな指標を提示するものである。しかしながら、現行のゲームタイトルの多くは、設定を大幅に調整しない限り500fpsに到達しない。TechRadarの記事執筆者も、「設定を妥協してフレームレートを確保する必要がある場合も少なくない」と述べており、一般ユーザーがこのスペックを完全に活かせる状況はまだ限られている。
ただし、eスポーツや競技シーンにおいてはわずかな映像の遅延やカクつきも勝敗に直結することから、こうしたモニターは非常に有利なツールとなる。Samsungはこうしたニーズに応える形で、新たな競技環境を後押ししようとしているといえる。
5K解像度40インチモデルが示す用途の多様化
新型「Odyssey G7」は、40インチサイズに5K解像度(5,120×2,160)を採用した大画面OLEDモニターである。このクラスのモニターは、デスクトップ用途としてはやや大きく感じられるかもしれないが、ピクセル密度の高さにより、視認性や作業効率を高めることができる。特にクリエイターや映像制作者など、高精細な映像表現が求められるユーザーには最適な選択肢となるだろう。
一方、ゲーミング用途では5K解像度での動作が可能なシステム構築が課題となる。Samsungの公式発表ではハードウェア要件について言及されていないが、最新リークによる「GeForce RTX 5090」など次世代GPUの登場が期待されており、それにより高精細なゲーム体験が現実のものとなる可能性がある。
このように、Odyssey G7はただの大画面ディスプレイではなく、高解像度を最大限に活かす新時代のマルチユースモニターとして位置づけられている。ただし、価格の発表はまだなく、多くのユーザーがその価格設定に注目している状況である。Samsungは高価格帯を得意とする一方で、性能に見合う価値を提供するという使命を負っている。