Samsung Displayが発表した新型QD-OLEDパネルは、ピーク輝度4,000ニットに到達するとされ、業界で最も明るいOLEDパネルを目指すと主張している。このパネルは2025年モデル「Samsung S95F」に採用される可能性が高く、従来モデルと比較して30%の輝度向上を実現する。
一方で、過去のテストでは発表値と実測値に大きな差が見られ、実際の性能が注目されている。LGも同時期に3,700ニット対応の新型パネルを発表し、ハイエンド市場での競争がさらに激化する見通しである。
QD-OLEDパネルの輝度進化と現実的な課題
Samsung Displayが発表したQD-OLEDパネルは、従来モデルから30%の輝度向上を実現し、ピーク輝度4,000ニットを目指すとされる。しかし、昨年テストされた「Samsung S95D」モデルは発表値である3,000ニットを大きく下回る1,868ニットを記録しており、理論値と実測値の乖離が明らかとなった。
TechRadarはHDRパターンウィンドウサイズ10%を基準に現実的な測定を行っており、メーカーの発表数値が日常使用の環境下で再現できるとは限らないことを示唆する。OLED技術は特に輝度向上に課題があるため、メーカーは小サイズのウィンドウや特定の画質モードで数値を引き上げることが一般的である。
しかし、この手法では映像全体の均一な明るさが保たれにくく、視聴時の印象は異なる場合が多い。LGも3,700ニットに達するOLEDパネルを発表しているが、現状では同水準の性能を持つミニLEDテレビと比較すると、OLED技術は依然としてピーク輝度の限界に直面しているといえる。
「Samsung S95F」のGlare Free 2.0技術による革新性
新型パネルの特徴として注目される「Glare Free 2.0」技術は、映像視聴時に多く指摘されてきた黒レベルの不安定さを改善するとされる。OLEDパネルは暗部の階調表現が優れる一方で、過去のモデルでは明るさを強調する際に黒が浮き上がる現象が課題となっていた。
この技術は外光反射を抑え、昼間の視聴環境でもクリアな映像体験を提供することを目指している。ただし、実際のテスト結果が公開されていない現段階では、どの程度効果が向上しているかは未知数である。Sammobileによる報道では、この新型パネルが「2025年モデル」に搭載される可能性が高いとされるが、CES 2025で展示される実機のパフォーマンスが重要な判断材料となるであろう。TechRadarは今後詳細なテストを実施予定と発表しており、技術の革新性を検証する結果が注目される。
ハイエンド市場を巡る競争と新時代のディスプレイ技術
LGとSamsungが次世代OLEDパネルの性能を競う中、8K対応モデルや折りたたみ式ディスプレイなど新たなカテゴリの拡大も進んでいる。特にSamsungは「新時代のSamsung AI」を掲げたミニLEDディスプレイも発表しており、AI技術の進化がディスプレイ市場に新たな競争軸を生み出している。
一方で、LGはQNED 4K TVラインに無線伝送技術を導入し、ケーブルレス視聴環境を提案している。これらの革新は、従来の画質競争に加え、利便性や視聴体験の快適性を求める需要に応えるものといえる。技術革新が進むことで、ユーザーの選択肢はさらに広がり、市場は新たな局面を迎える見通しである。CES 2025の展示会では、これらの最新モデルが具体的な体験を通じて評価される場となるだろう。